米映画「スーパー・チューズデー ~正義を売った日~」(ジョージ・クルーニー監督、主演)が丸の内ピカデリー、シネ・リーブル梅田ほかにて公開中だ。米大統領予備選における選挙参謀たちの暗躍ぶりをサスペンスタッチに描いたストーリー。かつて自民党でも選挙の“参謀”として注目された世耕弘成参議院議員に映画と現実の“参謀”、今語る自民総選挙の裏、そして映画の見所について聞いた。
■“参謀は誇り
世耕「(参謀と呼ばれることは)褒め言葉だと思っています。選挙は本当に総力戦。総裁選の規模になると、全体のコーディネート力、広報など総合能力が求められます。それで役立つ人間だと評価されているとしたら、私にとってはうれしいことですね。私が嫌なのは、世論を操る人間のように言われること。一番嫌だったのは『自民党のゲッペルス(ナチス・ドイツの宣伝大臣として国民を扇動)』と言われたときですよ。これは冗談じゃない。そんなつもりでやってないし、メディアをコントロールしたり操ったりできるなんて思っていませんから、あれは本当に嫌な評価でしたね。選挙を仕切るのが上手い、その参謀だと言われることについては、非常に誇りに思います」
-選挙の仕切り屋としてダメなパターンは?
世耕「民主党の代表戦で若手がよくやっている、電話をかけて『よろしくね』『わかっている、わかっている』これは絶対ダメ。会いに行かなきゃ。会いに行って『どうだ』と聞いたときの相手の反応を見る。まずはそこから」
-映画では議員表を呼び込むのに裏取引もあった
世耕「相手によっては『ひどいじゃないか。この裏切りは許さない』と言うこともありますよ。映画みたいなことはないですけど(笑)。あとは、その人の選挙区事情とか人間関係とかね。どれだけ頭に入っているかというのは参謀として腕の見せ所です」
■候補者の悪口が一番聞ける場所は…
-映画と似た部分が日本の選挙にはある?
世耕「選挙は『現代社会において唯一認められた合法的な戦争』。まさに血を流さない、武器を使わない戦争だということを、映画では痛感できました。選挙をそばでやっている人が、一番候補者の弱点をよく知っているんです。僕がよく言っていることだけど、候補者の悪口を聞きたければどこへ行けばいいか。その候補者自身の事務所ですよ、そこに10分も座っていれば、『頭が高い』『スピーチが下手だ』とか候補者の悪口がたっぷり聞けますよ(笑)」
-総裁選でも?
世耕「もちろん。選挙スタッフは、候補者を心の底から尊敬している人も中にはいるかもしれないけど、多くの人はそれを機会に自分もステップアップしようっていう野望を持った人たち。そういう意味では、忠誠心とか愛情とかよりも、『自分が、自分が…』となるのが、選挙の生々しいところですね」
■今語る総裁選「谷垣氏vs河野氏」裏側
-河野氏のときは負けた
世耕「あの時はしんどかった。自民党が野党になって、何か変わらなきゃいけない。何か変化を求めているときに、まさに河野太郎は過激な変化を表現してくれる候補者だった。僕は河野さんに勝ち目があると思っていた。ところが、総裁選が始まって数日戦ってみて、これはまずいと思った。谷垣陣営は全派閥が付いていて、秘書軍団もいて、電話作戦や手紙を送ったりする資金もある。河野陣営は、全然それがない。最後にやれることとしたら、プロのテレマーケティングセンターに頼んで、『今、自民党を変えるには河野太郎しかない。従来型の派閥の押している人を選んでいたら、また同じことになってしまう』というメッセージを100万人の党員に伝えること。だけどお金がなくて…」
「でも、自分の選挙区の和歌山県だけは僕の選挙参謀と言われている人間の沽券にかけても勝とうと思って、自腹で実際にやったんです。自分の後援会を全部動員して、電話をかけ、全ての人に僕の直筆の手紙も封書で送った。和歌山は他の議員全員が谷垣陣営に入っているという、すごく厳しい環境の中での河野さん圧勝だった。党員票4票のうち3票が河野、谷垣さんは1票だった。勝てたのは、河野さんの地元の神奈川県と和歌山県だけ。もし、これを全国でやっていたら河野さんは勝てたかもしれない。そのときは非常に悔しい思いをした」
「基本的には候補者を愛して、今、この人がなった方がいいだろうと思ってやっている。僕自身が大臣になりたいという感覚でやっていたわけではないんです」
■次の総裁に推したい人、嫌な人
-次に誰かの参謀を頼まれたら
世耕「私は安倍さんを深く尊敬し、今のリーダーの中では彼しか日本を立て直すことはできないと思っています。安倍さんが出てくれるなら、参謀として粉骨砕身がんばりたいと思う。他の人で参謀をやる気はありません。私はきわめて忠誠心が高いので(笑)。河野太郎のときは、自民党の危機だと思ったから『これぐらいの劇薬を使わなきゃダメだ』という思いでやりましたけども、安倍さんが今こういう状態でいる以上は、ぜひ勇気を持って立ってもらって、われわれにとっての禊(みそぎ)。あの内閣のあの結末に対する、新しい責任の取り方としてもう一回チャレンジしたい」
-この人は嫌だなという人は?
世耕「それは言えません(笑)」
■映画と現実…日本にもある選挙の“えげつなさ”
世耕「最後の候補者自身を脅かして自分がのし上がっていくっていうところが注目ですね。そこまでえげつないところを私は経験したことはないですけど、選挙は『そういうことがあってもおかしくはない世界』なんだということは分かってほしい。国会議員は、選挙で少なくとも何万人、何十万人から自分の名前を書いてもらってきているわけで、人間としてただ者ではない。今、わりと小ばかにする風調がありますけど、政治家っていうのはそれを通り抜けてきている。自分で選挙をすると、ガラっと変わりますよ。僕だって、サラリーマンから政治家になりましたけど、人間変わりました。いろいろな意味で(笑)」
■世耕弘成 自由民主党参議院議員(和歌山県選出)。当選3回。昭和61年NTT入社。本社広報部報道部門を経て、米国ボストン大学コミュニケーション学部大学院留学後、本社広報部報道担当課長。平成10年参議院議員選挙初当選。総務大臣政務官、参議院総務委員長、安倍では内閣総理大臣補佐官を務める。その後、議院運営委員会筆頭理事、参議院自由民主党幹事長代理を経て、現在、参議院自由民主党国会対策委員長代理。
■「スーパー・チューズデー ~正義を売った日~」
米大統領候補、モリス知事(クルーニー)の片腕、スティーヴン(ライアン・ゴズリング)はモリスに絶対の忠誠を誓う、野心に満ちた若き選挙参謀。スーパー・チューズデーを1週間後に控え、ライバル陣営の選挙参謀から極秘面会を持ちかけられ…。
この記事見てて、途中で私は笑いをこらえた。
まず第一に、本人は派閥弊害云々をあれこれ言いながら、結局派閥的お金と人とに間接的に負けたとした思いが端々に見える。これ等派閥弊害と言いながら自分がそれを出来なかったために負けたとした言い訳にしか聞こえない。
第二に、参謀としてのくだりを見れば、これ等、第一世代前の手法であり、誇る事でも何でもない。民主の小沢の選挙手法のいろはと言え以前の手法でもある。笑ってしまうというより、マスコミに良く話したと、褒めたい限りである。これで自画自賛してるくらいだと自民党の現状も解かろうと言うものだ。しかし、国会議員たる者こんなにも程度が低いのだろうか。
そして第三には、恐ろしくて病気だと言って(もちろん後で都合悪くて病気にした)宰相を逃げ出した、かの有名な安倍晋三を担ごうと言う事である。自民党幹部でさえ「過去の人」と思ってる人である。これ等は私はもう論評に値しないと思うので、皆さんに考えて頂きたいと思う。考えるより宰相に再挑戦しようとする当の本人の国民への気持ちの問題だろう。私は恥ずかしくて出来ないが。
国民の前に出る事すら恥ずかしい。