野田首相の政敵は自公では無く小沢一郎であった

 消費税増税関連法案への協力が先か、それとも衆院解散が先か-自民党の腰が定まらない。谷垣禎一総裁は法案成立前の解散を主張してきたが、石原伸晃幹事長らからは解散の確約の条件付きで増税法案の採決を優先させるべきだとの声が出始めた。谷垣氏自身も2日の講演で「話し合い解散」を排除しない考えを示唆した。対決姿勢一辺倒では世論の批判を浴びかねないとの懸念からだが、いかに政権奪還を図るか明確な方針を打ち立てられないところに自民党の苦悩がある。
 「けじめをつけず政治に関わるのは間違った選択だ。新たなマニフェスト政権公約)を掲げ、衆院解散をして国民との信頼関係を作り直すべきだ」
 谷垣氏は講演で、消費税増税など民主党の公約違反は目に余るとして、早期解散を促す「けじめ」を13回も繰り返した。
 その一方で「(民主、自民両党が)ぶつかり合った後に少し違う『けじめ』が出てくれば、(話し合い解散を)排除するとは言っていない」とも述べた。
 これまで谷垣氏が「話し合い解散」に慎重だったのは、増税法案に協力しても、野田佳彦首相から解散の約束がほごにされるとの懸念があるためだ。さらに、今国会中に解散に追い込めなければ、自民党内で9月の総裁選を前に「谷垣降ろし」が噴出しかねないとの焦りもある。
 だが、党内では谷垣氏の戦略に異論が相次いだ。平成22年の参院選自民党は消費税増税を公約に掲げた経緯があり、森喜朗元首相らベテランを中心に、早期解散を唱えるよりも、増税法案への協力を優先すべきだとの声が根強い。
 石破茂政調会長も2日のTBS番組で、解散前の法案成立について「それはあるべきだ。知恵も力も貸して『さすがは自民党だ』ということをみせるのもやり方だ」と指摘した。
 党内の声に配慮し、石原氏は1日、増税法案への対応について、民主党小沢一郎元代表との決別や解散時期を明確にすれば「自民党が賛成して成立する芽が出てくる」と述べた。
 ただ、党内には「話し合い解散」に持ち込むのは困難との見方もくすぶる。以前は「話し合い解散」に前向きだった首相経験者ですらこう漏らす。
 「(増税法案で)こちらの修正内容を受け入れたものの、首相に『解散はしません』と言われたら法案に反対できない状況になる。そこが難しい…」)
 
産経新聞の記事である。
 
 
 先日野田首相が意を決し、消費税増税法案の閣議決定を成したのは、恐らく全ての識者、学者や政治家が唱えていたために、錦の御旗でも取った気分であったろうと推察される。だが、彼の思いは直ぐにそれは、容易ならざる事と気付くにはそんなに時間は掛からなかったと思われる。
 何故なら小沢グループの固い意志が想定外だったからである。彼は楽観視していた。そのための輿石東幹事長起用だったからである。超党派の名の下の小沢封じの妙案であり、党内とマスコミ、ひいては小沢に理解の最大の譲歩であった。が、野田首相は余りにも輿石幹事長を過大視しすぎていた。最近の輿石幹事長は首相のイエスマンで有過ぎた。決してそれを小沢は見逃さなかった筈である。小沢にとってはそんなに悲観視してないだろう。その時々の考えを重視する性格だからである。
かっての側近達、船田元(自由民主党) 、中西啓介(死去)、野田毅自由民主党)、二階俊博(保守党から自由民主党)等しかり、最近では藤井裕久の各氏であり、去るものは追わずの典型であるからである。
 どうも野田首相の心の内は、楽観視そのものであったろうと推測するには非常に簡単である。何故なら戦国時代の明智光秀と同じ「敵は本能寺にあり」で、つまり敵は外(自公)では無く身内(小沢G)にあったからである。その懐柔が輿石東幹事長だったのだからである。
 今の政権党民主党の政敵は何の事は無い、野党では無く小沢一郎その人そのものなのである。