自民党からの1億5000万円が選挙買収に使われたのか。公判で元法相河井克行被告(58)は、広島県の地元議員らに配った現金について党の資金は「1円も使わなかった」と説明したが、矛盾する証言もあり、疑念は晴れないままだ。党による説明も尽くされたとは言い難い。
河井被告と妻の案里元参院議員(47)=有罪確定=がそれぞれ代表を務める選挙区支部には、2019年7月の参院選前に党本部から選挙資金として計1億5000万円が送られた。相場の10倍とされ、うち1億2000万円は税金を元にする政党交付金だった。
被告人質問で河井被告は、地元議員ら100人に配った計約2900万円は「議員歳費など全て私自身の手持ちから支出した」と説明。案里氏も現金の原資は自身の「たんす預金」と述べていた。
しかし、公判で検察側は、河井被告の指示で選挙スタッフ3人に振り込まれた計約220万円について、「党本部から提供された資金が原資だった」と供述した陣営元会計担当者の調書を読み上げた。スタッフへの現金配布も起訴内容に含まれ、被告の発言と矛盾する。
検察側は、河井被告に金融機関から借り入れがあったと指摘。「借り入れがあるのに配るポケットマネーがあったのか」と問われた被告は「あったから配った」と説明。一方で、配布前に自宅金庫に保管してあったとする手持ちの現金がいくらだったかは「記憶にない」と答え、説得力に欠けた。
自民党はこれまで、「検察からの関係書類返還後に監査する」との説明を繰り返している。支出決定について、二階俊博幹事長ら幹部は軒並み関与を否定。案里氏の擁立を主導した安倍晋三前首相や菅義偉首相の関与を疑う声もあるが、党はいまだ明確な説明をしていない。
これ『1.5億円使途、晴れぬ疑念=「1円も使わず」証言に矛盾―参院選買収』と題した時事通信 2021/06/19 09:55の配信記事である。
政党政治の政権党の中枢である国の宰相が、これだけのカネの資金の移動を知らないと言う事があるのか。もしそうだとしたら資本主義社会のガバナンスが根底から崩壊してしまい国の政治は行き詰まり崩壊するのが確実となってしまう。現世の民主主義社会ではあり得ない事だと言えるだろう。
本当に安倍政権になってからの政治の私的利用が過ぎる。余りにも意識が低すぎる。
経済の発展した国になるほど、独裁は不可能になり集団的指導体制に沿う合議の政治が当然になる。そういう事から考えてもこの事件は余りにも私的過ぎる。何故なら今回の事件の背景にはトップの私的な遺恨が絡んでいるからである。自党の重鎮が自らの意に沿わないからと言って、自党に対立候補を立てしかも選挙資金として、ルール上の金額の10倍もの資金を公に配るなんて狂気の沙汰としか考えられない。しかもその事について何の異議も発しない自民党所属議員の不可思議さ、これが政権党の姿とは言えるのだろうか。これは独裁以上の何物でもない。例えは全然違うかもしれないが、説明責任を果たしていない、「森友学園問題」や「加計学園問題」と全く一緒である。