2019年参院選広島選挙区での河井案里氏(元参院議員・失職)陣営の巨額買収事件で、その原資とも指摘されている自民党本部からの1億5000万円について、二階俊博幹事長が「関与」を否定したことで、同事件の“闇”が一段と深まった。「相場の10倍」とされる巨額の選挙資金が、幹事長の決裁もなく支出されたとなれば、国民の税金から成る政党交付金を受け取る公党としての資格が問われ、次期衆院選での自民党への「政治とカネ」批判を倍加させて、菅義偉首相の今後の政局運営も揺るがしかねない事態につながるからだ。
二階氏は5月17日の記者会見で1億5000万円について、「支出について、私は関与していない」と記者団をにらみ付け、側近の林幹雄幹事長代理が、「当時の(甘利明)選対委員長が広島選挙区を担当していた」と補足説明した。ところが甘利氏(党税制調査会会長)は翌18日、「1ミクロンも関わっていない」と真っ向から否定。与党内から「責任のなすり合いで、自民党はまるで伏魔殿」(公明党幹部)との批判が噴出したため、24日に林氏は甘利氏の関与も否定し、二階氏が「組織上の責任は我々にある」と軌道修正して沈静化を図った。
すでに買収事件の捜査で支出総額の大半の1億2000万円が政党交付金と確認されており、5月12日には広島県連会長の岸田文雄前政調会長らが、二階氏ら党執行部に「早急な使途解明と国民への説明」を強く申し入れた。ただ、林氏は「検察から書類が戻れば、報告書を作成し、総務省に届ける」と従来の説明にとどめていた。それだけに、今回の二階氏の関与否定は、買収事件に巻き込まれた自民広島県連会長代理が「無責任で情けない発言。県民をこれほど侮辱した言葉はない」と発言撤回を要求するなど、地元の怒りを爆発させる結果となった。
◇“安倍封じ”や“二階降ろし”の臆測も
19年の参院選広島選挙区(改選数2)には自民と野党の現職に挑む形で、案里氏が自民新人として立候補し、激烈な自民分裂選挙の末、岸田派重鎮の現職を抑えて初当選した。しかし、同年秋には河井陣営による選挙戦での大規模な買収事件が発覚し、20年6月に夫の克行元法相と案里氏が公選法違反容疑で検察に逮捕された。さらに、今年2月には案里氏が有罪確定による当選無効で失職、与野党対決となった4月の再選挙で自民が野党に敗北した。一方、3月下旬に突然買収を認めて衆院議員も辞職した克行被告は、5月18日の公判で結審、6月18日に判決が下される。捜査の結果、河井夫妻は買収に約3000万円使ったとされ、克行被告は「(原資は)すべて私の手持ち資金」と主張するが、政界では「党本部への責任追及を避けるための虚偽」(共産党)との見方が少なくない。
そもそも、自民幹事長には選挙での党公認や資金配分などの権限が集中し、1億5000万円もの支出を決められるのは「党総裁か幹事長」(自民幹部)というのが党内の常識だ。となると、決裁したのは当時の安倍晋三首相(党総裁)か二階氏に絞られる。ただ、案里氏に肩入れしたのは安倍氏や当時官房長官の首相だっただけに、「安倍さんが甘利さんに(資金支出を)頼んだ」との噂も流れた。このため、今回の二階氏の発言をめぐっては「安倍さんに責任をかぶせ、復権を封じる謀略」との指摘がある一方で、「逆に“二階降ろし”の動きが出る」などと、生臭い臆測も飛び交う。菅政権発足後初の国政選挙だった「4・25トリプル選」の自民全敗も、「“政治とカネ”が理由」とされるだけに、党内には「今回の騒動が次期衆院選での大逆風につながる」との不安が募るばかりだ。
これ『「1.5億円」で二階氏不関与の“闇”』と題した時事ドットコム【点描・永田町】政治ジャーナリスト・泉 宏「地方行政」5月31日号よりの2021年06月06日18時30の記事である。
何のこと無いバカな広島県選挙民が自民党の政局争いに利用されただけでの話だ。バカの上乗せはそれをその当事者であるバカな選挙民自身が気付いていない事である。笑うしか無い話である。
これを紐解けば、この広島選挙区は改選数2であった筈である。自民党当局は改選2を全て独占しよう等と表向きほざきながら、裏ではあの安倍晋三をコキ降ろした改選現職議員溝手顕正を落選せしめようとの企みであった事は誰しも解っていた事だった。だからこの選挙での1億5000万円提供は、あの安倍晋三の図り事だった事は容易に理解できる。そんな政局まがいに利用された選挙民程哀れなものはなかったと言って良い。本当に広島の選挙民は正直なのかバカなのか、当事者である政治家よりも選挙民の矜持が疑われると言うものである。