政治評論家・屋山太郎に反論

 今朝の産経ニュースに政治評論家屋山太郎が「菅氏も小沢氏も存在意義失った」と題した次のような記事が載っていた。菅氏はともかく次の小沢氏への下りを抜粋して見る。
 『代表選が裏の人事の駆け引きなしで争われるのは結構だが、そもそも3カ月前に辞任した小沢氏が代表選に出る資格があるのか。辞職の原因となった「政治とカネ」について、小沢氏は何ら弁明責任を果たさず、頬かぶりしたまま代表選に出ようというのである。その恥知らずな政治行動に強い憤りを覚える。また、この任期をもって政界を引退すると明言した鳩山前首相が小沢氏を推す理由は「自分を総理にしてくれた恩返し」だという。下劣な発想だ。
 各種世論調査では、菅氏の続投は8対2ないし7対3で支持されている。菅氏の業績があったわけでもなく、手腕が期待されているわけでもないが、国民世論は漠然とそれが道理だと考えているのだろう。小沢氏については政権獲得までは賞賛されたが、その後の独裁的な党運営や子分を増やしているが如き政治資金の運営について党内には憤りがある。議員の小沢支持は半分以上に達しているといわれるが、小沢氏の独裁手法を再び望む者は少なかろう。どのぐらいの小沢離れが進むか見ものだ。』とある。
 私はこの記事を見て、政治評論家たるものこれしきの見識しか持ってないのかと正直目を疑った。
 「政治とカネ」問題の本質を知らな過ぎる。と言うよりこじ付けに聞こえる。恐らく先天的な小沢嫌いだからだろうと思う。
 今回の小沢一郎陸山会の問題は、まず政治資金の問題に関して「全く問題ないこと」、政治家として「好ましくないこと」、「違法なこと」、「犯罪として処罰すべきこと」、この4つに区別されると思う。
 とすれば、法的には「違法なこと」、「犯罪として処罰すべきこと」にあたるかだが、これは、とうに不起訴となっているからクリアしている。とすれば後は政治家として「好ましくないこと」となる訳だが、厳密にはマスコミ等が騒ぐのはこれである。しかし法的には司法に一般国民の常識を反映させるという目的で、検察審査会法第4条により検察審査会の議決が残っているが、これは法というより法律でできなかった事に対するある1種の常識と言っているが、要は感情である。小沢氏の場合は確かにこの議決が残っているが従来の裁判で言うと不起訴だったのにである。私は決して法に異議を唱えるつもりではないが、この問題に対しては、経理的な専門家である公認会計士である、細野祐二氏が専門的立場から検証しても、法的には政治資金規正法が部分単式簿記を前提としている以上、ここには犯罪事実そのものが存在しないと言う結果に至った事を証明している事実もある事を考えると、おのずから解かるものではないのか思ったからここで反論したのである。
 私は結論的に屋山氏は、大マスコミと同じように、さも法を犯した犯罪者的評価らしく断罪するのではなく、初めから倫理的に好まざる人物とか、政治家として好ましくない人物として正直に言うべきではと私は思った。
 
参考までに小沢氏の資金管理団体をめぐる動き(肩書は当時)を下記に示す。

2009年
12月27日 東京地検特捜部、小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体陸山会」の土地購入問題で石川知裕衆議院議員を任意聴取
2010年
 1月 5日 大久保隆規公設第一秘書を任意聴取
 1月13日 陸山会や小沢氏の個人事務所、鹿島本社等を一斉捜索
 1月15日 石川知裕衆議院議員と池田光智私設秘書を政治資金規正法違反容疑で逮捕
 1月16日 大久保隆規公設第一秘書を政治資金規正法違反容疑で逮捕
 1月23日 小沢氏を任意聴取
 1月23日 小沢氏を再聴取
 2月 4日 石川議員ら3人を起訴、小沢氏は不起訴処分
 4月27日 東京第5検察審査会、04年 05年分の虚偽記載で起訴相当を議決
 5月15日 特捜部が小沢氏を3回目聴取
 5月21日 小沢氏をあらためて不起訴処分
 6月 2日 鳩山由紀夫首相が対人表明、小沢氏の民主党幹事長辞任が決定
 7月15日 東京第1検察審査会、07年分の虚偽記載で小沢氏の不起訴不当を議決