八ツ場とダム事業

 今度の予算見直しで国と水資源機構が建設中の直轄ダムは全国56、うち48ダムで現段階の工事は行うものの、次段階に進まないことになり、ダム建設が一時ストップする。今年度は新たに用地買収や本体建設工事の契約手続に進まない。来年度は来年度に対応する。中止されるのはダム本体工事であって、周辺整備事業は中止にならない。国直轄56ダムのうち、すでにダム本体があり、放流能力増大など維持管理段階にある8ダムは除く。48ダムは建設中だが、現段階から▽用地買収▽生活再建工事▽水の流れを切り替えるための転流工工事▽本体工事の次段階に移ることは今年度はしないとなっている
 昨日八ツ場の悲劇と題し、その前は八ツ場ダムと幻の細川内(ほそごうち)ダムと題して八ツ場の歴史もあわせて紹介した。いずれにしてもこれらのダムと言われる事業は、長い間自民党と官僚の治水利水論議の象徴として、また役所では手っ取り早い予算の嵩上げとして利用されて来た。
 それでも、日本経済が右肩上がりの戦後復興期には、ダムは造るのは当たり前的発想で今日まで来たのが実情だ。しかし昨今の自然保護への関心の強さからこのダム建設が日本の美しい自然環境、原風景、ふるさと、文化というものを同時に破壊してしまうことになると言う事に気付いた。よってダム建設の見直しはただ単に政権交代によるものだけでなく、必然の結果であると思われる。