アンケートは今年6~9月、消防団を置いていない大阪市を除き、道府県庁所在地45市の消防局・消防本部・一部事務組合などを対象に実施。全ての消防が回答した。45市には4月時点で10万2127人の消防団員がおり、活動実績に関わらず、条例で定められた報酬(年1万3000~5万円)が原則支給される。消火活動や訓練への参加があれば、それとは別に出動手当も支払われる。
出動手当の対象になる消火活動などへの参加実績がない消防団員数について尋ねると、岡山市が348人で最多。以下は和歌山市137人▽佐賀市134人▽松江市124人▽宮崎市114人。
これらの団員には、手当の対象外である子供の見守りや祭りの警備などに参加した人も含まれるとみられるが、実態は不明。
一方、活動実績のない消防団員がゼロと回答したのは山形、横浜、金沢、名古屋、京都、徳島、那覇市などの11消防。横浜市や京都市では消防団員の活動履歴を調べ、活動していない人には報酬を支給していない。京都市では毎年約70人が未支給の対象になっており、担当者は「経費の無駄を省き、災害時に出勤できる消防団員をより正確に把握するため」としている。
「幽霊」分を水増し請求
茨城県桜川市で5年以上、消防分団の一員として活動する30代男性は「うちの分団幹部も複数の『幽霊団員』を出動扱いにして、手当を水増し請求している」と証言した。
男性が所属するこの分団では、3年以上活動していない団員が複数おり、「歓迎会に来たきり、来なくなった人もいる」。男性がある消火活動に参加した際、分団長がこうした幽霊団員も出動したことにして消防本部に報告しているのが聞こえてきたという。
幽霊団員の報酬や手当は、分団の飲み会や旅行の代金に消えている可能性がある。同市では、団員への報酬や手当が分団や分団長の口座に振り込まれ、男性は入団以来、報酬や手当を一度も手にしていないという。男性は「行政も見て見ぬふりをしているのではないか」と憤る。
「実態把握すべき」