安倍官邸の事実伏せや発言否定は宰相最後の「スケベ根性」が出た報いと言えよう

 安倍晋三首相と面会した事実が伏せられたり、首相官邸が否定したりする事態が相次いでいる。面会中に首相が語ったとされる発言が、後で否定されることもある。「あったことをないことに」する姿勢は、政治不信を招きかねない。
 
 ■口つぐむ県議ら/岸田氏会見と矛盾/河村氏、一夜で撤回
 7月25日夕、首相公邸。首相の地元・山口から訪れた県議ら約30人が首相の秘書らに案内されて、公邸内のソファで談笑していた。官邸での公務を終えた首相も午後6時42分、公邸に入った。
 首相動静を追う報道各社の総理番の記者たちは、県議らが首相と面会すると考え、会合の終了を待って出席者への取材を始めた。そもそも官邸は政府の行事は事前公表するが、首相の政治家としての政務は普段から積極的に発信することはない。
 代表して取材に応じた自民党山口県連の友田有・幹事長は記者団に「首相は不在。公邸を見学させてもらった。会っていない」と断言。何度確認しても面会を認めず、朝日新聞は26日付朝刊で、首相動静への掲載を見送った。
 他の県議たちも「私の口からは言えない」と口をつぐんだ。官邸側も「(山口県議とは)会っていない」と説明した。
 その後、朝日新聞の取材に対して、出席者の一部が面会を認めた。会費1万円を集めたが、酒類は振る舞われず、夕食を楽しんだという。首相は県議たちが座った四つのテーブルを順番にまわり、首相は西日本の豪雨災害への対応について、「全国的に川の浚渫(しゅんせつ)をしないといけない」などと語ったという。
 首相にとっては自民党国会議員による懇親会「赤坂自民亭」に出席し、西村康稔官房副長官ツイッターで写真を公開したことが批判を浴びたばかり。県議の一人は「自民亭のことでたたかれたから、表に出したくないんでしょう」とみる。友田県連幹事長は面会の事実を明かさないよう呼びかけたという。個人のカメラなどでの首相の写真撮影も禁じられた。
 首相との面会を公式に認めた自民党幹部の発言を官邸が否定したケースもあった。党総裁選への立候補を見送った岸田文雄政調会長が24日の記者会見で、23日に「直接お会いして話をさせていただいた」と明言。菅義偉官房長官が翌日「会ったことはない」と説明した。
 岸田氏はその後、表だった反論を控えている。朝日新聞は確認できていないが、7月6日には菅長官に近い無派閥の自民党議員らとの会食に首相が出席したと、日本テレビが独自に報じた。いずれも首相動静には載っていない。
 面会の際の首相発言を明かした議員が、撤回するケースもある。6月20日夜、首相は麻生太郎財務相自民党二階俊博幹事長らと東京・銀座のステーキ店で食事した。出席した河村建夫衆院予算委員長が記者団に、首相が「もう集中審議は勘弁してくれ」と語り、河村氏が「なかなかそうもいかないでしょ」と応じたとの会話を紹介した。
 野党から「不適切、不誠実な発言」などと批判が相次ぐと、河村氏は翌21日に発言自体が「間違いだった」と撤回した。首相自身も6月25日の参院予算委員会で「そのような発言をした事実はございません」と語った。だが、別の出席者は「首相が軽く言ったものを河村氏がそのまま紹介してしまった」と明かす。(太田成美)
 
 ■面会隠せば、加計答弁揺らぐ
 最高権力者の動静や発言は、国民が政治の動きを知るうえで重要な情報だ。それを伝える首相動静は、先の通常国会加計学園獣医学部新設問題をめぐり焦点になった。首相が加計孝太郎・学園理事長との面会を否定する際、首相動静に記載がないことを根拠の一つに挙げたためだ。
 愛媛県は5月21日、学園側からの報告として、首相が2015年2月25日に加計氏と面会し、「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」と述べたとする文書を国会に提出。新設計画を初めて知ったのは、国家戦略特区諮問会議で学園が学部設置の事業者に決まった17年1月20日だと説明してきた首相の主張と文書との食い違いが問題となった。
 首相は5月23日の衆院厚生労働委員会で「15年2月25日」の面会を否定した上で、こう述べた。「自宅に帰っている。官邸でも自宅でも記者が出入りする人の名前を逐一確認している。動静にも載っておらず、自宅も含めて会っていない」。その後も首相は「当日の私の日程は官邸として作って残す記録はない」などとし、首相動静をもとに面会を否定し続けた。
 だが、首相側が山口県議らさまざまな面会の事実を隠すことは、こうした答弁の根拠を自ら失わせるものだ。橋本政権で首相秘書官を務めた江田憲司衆院議員(無所属の会)は1日、朝日新聞の取材に「私はいろいろな裏道を使って首相を人に会わせてきた。『首相動静に載っていないから会っていない』なんてあり得ない」と指摘している。(斉藤太郎)
 
 ■入り口複数、秘密会談も 「首相動静」、記者が面会確認
 首相の面会や動向を記録する首相動静は、総理番の記者が主に首相官邸の正面玄関や首相が出席する会合の会場前で、出入りする面会者に確認して執筆している。最高権力者たる首相の動きや発言を確認するのは、国民が政治の動きを知る上で必要な情報であり、権力監視の基本だ。
 通信社の記者だけが代表取材を認められるケースがあるほか、官邸や公邸の入り口は正面玄関以外にも複数あるため、面会のすべてを完全に把握できるわけではない。通信社の記事を引用したり、首相秘書官に面会の有無や相手を問い合わせたりして、間接的な情報で記事化することもある。
 歴代首相の中には、面会の一部を公にしないために、ホテル内で秘密裏に移動したり、秘書官との食事の際に別室で面会したりするケースがあった。しかし、過去の政権で首相秘書官を務めた一人は「記者から問い合わせを受ければ、ごまかしたり、答えなかったりすることはあっても、ウソをついたことはない」と語る。
 
 
これ『(時時刻刻)首相、会ってない、言ってない、記録ない 「なかったことに」次々』と題した朝日デジタル8/2() 5:30の有料配信記事である。
 
 
この記事は大まかに言って、安倍政治が独裁と言われる所以であろう。そもそも党則を変えてまでやろうとする、安倍官邸の横綱相撲とも言えず、何を恐れていたのだろう。「モリカケ」問題に見る「嘘つき」の権化の否定のためのセキュリティ操作と言え「嘘つき」の上塗りと言えよう。
これによって稀に見る戦後の長期権力者安倍晋三内閣総理大臣は、悲しいかな稀に見る戦後最大の最低のレッテルを貼られた宰相としての名を後世に留め、本人の望とは正反対の評価となった。もっと早く退陣してれば、そんな汚名を着せられずに済んだものを。最後に「スケベ根性」が出た報いと言えよう。可哀そうな男である。