加計学園問題的確な見方の自民党元行革担当相村上誠一郎さ、だったら何故もっと早く言わなかった?

▼官邸への論功で決まる「お役人人事」
 
▼「博友会」パーティー券入金で“加計”は突出

 一連の疑惑の説明に背を向け続けてきた政権への国民の不信が、東京都議選での自民党惨敗という形で噴出した。安倍晋三首相は反省を口にしたが依然、その姿勢に変化は見られない。党内からも退陣を求める声が上がり始めた。

「私の不徳の致すところで大変厳しい選挙になった。副幹事長の先生方は、各候補者支援の調整をお願いしていたが、その努力が無になった。おわびしたい」

 都議選投開票2日後の7月4日、東京・永田町の自民党本部であった副幹事長会議で、下村博文幹事長代行は力なくうなだれた。永田町関係者が解説する。
 

「都議選終盤に加計(かけ)学園から下村氏への『闇献金疑惑』が報道され、自民党はさらに窮地に追い込まれました。投票前日の1日、安倍首相はJR秋葉原駅前で応援演説をしましたが、群衆から強烈な『安倍は辞めろ』コールを浴びた。惨敗を象徴する場面でしたね。下村氏は、責任を取って党都連会長の辞任を表明しました」

 重苦しい空気に包まれた同会では、都内選出のメンバー2人が発言を促される場面もあったが、2人は沈黙。秋葉原街宣での野次(やじ)に対し、安倍首相が「こんな人たちに負けるわけにいかない」と声を荒らげたことを捉え、出席者からこんな自嘲が漏れた。

「『こんな人たちに負けるわけには……』のこんな人たちに負けたんだよ」
 都議選惨敗を受け、安倍首相は次のように語った。

「『安倍政権に緩みがあるのではないか』という厳しい批判があったのだと思う。そのことは、しっかりと真摯(しんし)に受け止めなければならない。反省すべき点は反省しながら、謙虚に丁寧に、しかし、やるべきことはしっかりと前に進めていかなければならない」(3日・報道陣の取材に)

 反省を口にしたが、その後の対応にはやはり首をひねらざるを得ないのである。自民党は、10日に衆参両院で閉会中審査の実施を提案。加計学園問題について、「行政が歪(ゆが)められた」と証言した前川喜平・前文部科学事務次官らを参考人招致することとなった。ところが当日は、先頭に立って疑惑の説明に当たるべき首相が、妻昭恵氏とともに外遊中なのだ。
 
 自民党関係者は「獣医学部新設の国家戦略特区の手続きは正当に進められたわけだが、『決定した事業者は安倍さんと仲の良い加計学園じゃないか』と言われると、いくら説明しても堂々巡りになる」と首相の立場を慮(おもんぱか)る。
 とはいえ、この問題が都議選に大きく影響したことは否定しないのだ。
世論調査によると、自民支持層の4050%が自民候補に投票しなかった。消費税導入時や野党に転落した選挙を思えば元々、自民支持者というのは問題があれば他党に投票する。政治的関心の高い『健全な無党派層』なわけです。それにしても、わざわざフェイスブックで加計孝太郎理事長との関係をアピールするなど、昭恵さんは亭主の足を引っ張っているよね」(前出関係者)
 
憲法より優先する課題がある」
 党内からは、安倍首相退陣論も浮上している。

「執行部に総裁に直言できる人を採用し、憲法改正よりも財政・金融・社会保障を立て直すことが、喫緊の課題。しかし、安倍さんにそれができますか。ならば、トップの座を代わっていただくしかない」

 元行革担当相の村上誠一郎自民党衆院議員は、こう語気を強める。今回の都議選の敗因には次の六つが挙げられるという。

 (1)稲田朋美防衛相ら閣僚らの失言・失態(2)豊田真由子衆院議員ら「魔の2回生」による不祥事(3)加計学園問題など「総理のお友達」のために行政を歪めたという疑惑(4)共謀罪などの成立にみられる強引な国会運営(5)前川氏への官邸による人格攻撃(6)政策の優先順位の誤り――だ。

「稲田さんは弁護士でありながら、応援演説で自衛隊を政治的に利用するというあり得ない失言をしました。そればかりか、森友学園との関係についての国会答弁、南スーダンの日報紛失問題と失点続き。復興相であった今村雅弘さんは1回の失言で責任を取らされたのに、3回も問題発言をした稲田さんは総理にかばってもらえる。加計問題と併せて人事でも仕事でも『お友達優遇』との批判は免れない。かつて、中曽根(康弘)さんは、後藤田正晴さんや梶山静六さんら考えは違っても有能な人物を登用する度量と器量がありましたが、安倍さんにはそれがあるでしょうか」(村上氏)
 
 村上氏は、政策の優先順位変更の重要性を説く。

憲法9条に3項を加えるだけで自衛隊が合憲化できるとか、獣医学部を全国に何カ所も作るという発言のように、総理は憲法問題や特区について積み上げられた議論を理解されているのでしょうか。国民の多くが貧困に直面する中、自分の好みの課題を優先させるんですか、という話ですよ。財政・金融・社会保障や教育の立て直しこそ、次の世代が生き残るための最優先課題だと思います」

 また、モノ言わぬ自民党議員にも苦言を呈する。

「8月にも内閣改造と報道されると、誰も何も言わなくなる。また、都議選であれだけ大惨敗したのに総務会などを開いて総括や反省をすることもない。都議選は1000万人による世論調査と同じ。いま、反省して党の表紙をどうするかということを考えないと、『あすは我が身』ということです」(村上氏)

 都議選ショックで揺れた永田町だが、そんな中で森友学園加計学園の問題でそれぞれキーマンとなった官僚2人の人事も話題となった。森友問題で、木で鼻をくくったような答弁でおなじみになった佐川宣寿(のぶひさ)財務省理財局長が国税庁長官に昇格。そして加計問題で、文科省獣医学部新設をごり押ししたとされる内閣府の藤原豊審議官が、出身官庁の経済産業省に戻ることになった。
 
官僚のモラル低下は必至の人事

「佐川氏は、国有地の大幅値引きの経緯を示す文書について『既に廃棄した』『データは自動的に消去される』などと、いかにもうそ臭い答弁を続け、官邸を守った。国税庁長官は4代続けて理財局長からの就任で順当とも言えるのですが、事実に背を向け官邸への忠勤によって出世したとの印象は拭えないでしょう」(永田町関係者)

 ツイッターでは「税務調査が来たら『うちは半年たったら記録が自動で消去される』と言う」「税金払う気がしない」といった書き込みが後を絶たない。

 もう一人の藤原氏は、獣医学部新設について「官邸の最高レベルが言っている」と、文科省をせかしたとされる。彼の異動はまさに「臭い物にふた」なのである。官邸関係者が語る。

「現担当になって3年ほどたち異動時期ではあるのですが、やはり加計問題で注目されたことが影響しているでしょう。藤原さんは、同じ経産省出身で首相の懐刀の今井尚哉(たかや)・首相秘書官に近いとされる。『いつ寝ているんだろう』と言われるほど仕事はするし優秀なのですが、部下にも厳しく、ついていけなかった職員は多い」

 こうした官邸流人事について、「官僚のモラル低下につながる」との批判は多い。加計問題で厳しく政権を追及してきた森ゆうこ自由党参院議員は嘆息する。
 

「藤原さんは(獣医学部が計画されている愛媛県今治市の担当者とも直接やり取りをしていた。安倍首相は丁寧に説明する、真摯に対応すると言いながら、疑惑のキーマンとなる藤原さんを二度とこの問題で答弁しない立場に動かしたわけです。いわば異動という形の口封じです」

 森氏は、傍若無人に振る舞う政権の悪影響は既に官邸の役人たちにも広がっているとして、こんなエピソードを明かす。
「首相答弁が無駄に長いこともあって、私が予算委員会で質問した際、1、2問で終了しました。すると、安倍さんは小声で『森さん、空振りだったね』と満面の笑み。トップのこうした態度が役人にも悪影響を与えています。農水委員会に出席を求めた政府高官が、外遊で来られなかったのですが、内閣総務官室の職員は電話連絡で済まそうとした。私の事務所に呼んで『それはおかしい』と問うと、外務省の職員は事情を説明して丁寧にわびました。一方、総務官室職員は表面上は謝罪しましたが、露骨にふて腐れた態度だったので驚きましたね」
 
人事で浮上図るも効果は限定的
 一方、下村氏については、文科相を務めていた2013、14年、同氏の後援会「博友会」が、加計学園から計200万円分のパーティー券購入を受けていたのに、政治資金収支報告書に記載していなかった、とされる。記者会見で、下村氏は「加計学園の秘書室長(当時)が事務所を来訪し、11の個人・企業から預かった現金計200万円を持参した」と違法性を否定している。
 本誌は、博友会の内部資料とみられる「入金状況」と題する一覧表を入手した。資料には、入金日、氏名、所属、金額などの欄があり、備考欄に出欠予定が記されている。資料によると、パーティー券は1枚2万円。13年9月27日と141010日の項に、それぞれ「加計学園」「1000000(円)」と記入されており、11者の購入を取りまとめたことをうかがわせる記述は見当たらない。
 また、組織名で購入している大手ゼネコンや名の通った証券、通信、化学メーカーといった会社も2万~8万円程度である中、加計学園の100万円は極めて突出している。さらに、その他の学校法人関係者による購入も目立つ。本誌は11者の内訳について、下村氏の事務所に取材を申し込んだが、回答はなかった。
 8月上旬にも内閣改造・党内人事で再浮上を図るとされる安倍政権だが、先行きは厳しいというのが衆目の一致するところだ。政治ジャーナリストの角谷(かくたに)浩一氏が解説する。
 

「人事で求心力は保てるかもしれないが、改造後の展望がないとその効果も続かない。首相は秋の臨時国会改憲議論を本格化させたい考えですが、高支持率があってこその(憲法改正の発議に必要な衆参両院の議席の)3分の2であって、思惑通りにはいかないでしょう。逆に改憲をあきらめると、首相のコアな支持層はガックリとくる」

 また、力の源泉だった解散権もこれまでのように、ほしいままにはならないとの見立てだ。

「次期衆院選から適用される新たな区割りの党内調整に見通しがつかないと、選挙日程も組めない。来年になると消費増税も解散の判断に影響してきます。いずれにせよ、安倍首相自身が疑惑について説明しないと国民は納得しない。各議員も地元からの突き上げを食うでしょうし、『解決策は首相交代だ』との声が党内でも強まってくるのではないでしょうか」(角谷氏)

 異を唱える人々を指さして「こんな人たち」呼ばわりをし、国民との溝を広げた安倍首相。出口の見えない隘路(あいろ)にはまり込んでいるかのようだ。
(本誌・花牟礼紀仁) サンデー毎日723日号から)
 
 
これ『安倍政権 都議選惨敗、加計学園問題… 逃げるな!安倍首相 「官邸の夜郎自大与野党議員が叱る!』と題した711日のサンデー毎日からの記事である。
 
 
冒頭の村上誠一郎自民党衆院議員の意見は正におっしゃる通りである。
この村上さん何故もっと前に言わなかった? 今このように言うとは多分にパフォーマンスもあるのだろう。受けを狙ったのだろうが、だったら率先して魔の2回生を洗脳してもよかったのに(笑い) でも自覚してるから良しとしてもいいか。
いづれにしても、怖いもの知らずのマザコン坊ちゃんに政権を渡した自民党が悪い?としか考えられない。ある意味自業自得だろうが、それももうすぐ呪縛から解放される?