熊本地震の被害の広がりは、安倍晋三首相の政権運営に影響を与える可能性がある。当面は地震対応を最優先する方針で、17日に予定していた衆院補欠選挙の応援を見送ったほか、環太平洋経済連携協定(TPP)の国会審議への出席も微妙だ。首相は「避難の長期化も予想される」としており、衆参同日選に踏み切るかどうかの判断に影響するとの見方もある。
自民党の谷垣禎一、公明党の井上義久両幹事長は16日、自民党本部で会い、政府の災害対応を全力で支援する方針を確認した。国会審議は首相に負担がかからない範囲で進めることで一致。民進党の枝野幸男幹事長も16日、谷垣氏に電話で「国会審議の日程を含め最大限協力する」と伝えた。
ただ野党はTPP承認案の今国会成立を阻止する構え。審議日程はすでに綱渡りの状況で、18日に審議できなければ今国会での成立は「厳しいどころの話じゃなくなる」(与党幹部)。
自民党の佐藤勉国会対策委員長は16日、宇都宮市内での党会合で、熊本地震に触れたうえでTPP審議について「いろいろな判断を来週迫られるのではないか。月内に参院送付できる態勢を取りたいが、何が起こるか分からない」と語った。