日本国民としてやるせない「建前の勝利」に終わった沖縄県知事選は佐藤栄作以来の自民党の責任で処理しなければならない

 ようやく進み始めた米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の移設問題は、再び混迷を深めるのか。
 新人で前那覇市長の翁長雄志(おなが・たけし)氏(64)が、現職の仲井真弘多(なかいま・ひろかず)氏(75)との事実上の一騎打ちを制し、初当選を決めた16日投開票の沖縄県知事選。翁長氏は改めて基地の県内移設に反対する姿勢を強調した。一方、普天間飛行場の地元住民からは、基地の固定化に対する懸念の声も上がった。
 那覇市内の翁長氏の事務所。当選確実が報じられると、翁長氏は支援者らと握手を交わし、何度も万歳三唱。その後、同じく移設反対を訴える名護市の稲嶺進市長らと沖縄の伝統的な踊り「カチャーシー」を舞った。翁長氏は「歴史の一ページが開いた。責任の重さを感じる」と語った。
 前回知事選(平成22年)では仲井真氏の選対本部長を務めた翁長氏。今回は仲井真氏とたもとを分かち、「オール沖縄」を訴えて共産、社民など革新陣営とも連携。選挙戦を通じて「辺野古に新基地は造らせない」と繰り返し、移設反対派の支持を集めた。
 翁長氏に投票した同県西原町の会社役員の男性(72)は「仲井真さんが辺野古移設を受け入れたことはウチナーンチュ(沖縄人)の誇りを傷つけた。沖縄に基地はいらない」と訴えた。
 一方、普天間問題の早期解決を旗印とする仲井真氏は那覇市内の事務所で「想定外。全く考えていない結果」と戸惑った様子で敗戦の弁を述べた。
 仲井真氏に一票を投じた那覇市の主婦、上原和さん(64)は「翁長さんは基地はいらないと言うが、中国が尖閣諸島(同県石垣市)に近づいている今、沖縄は誰に守られているのか」と嘆いた。辺野古に近い名護市豊原の飲食店経営、梅本とみ子さん(65)も「米軍に関係する仕事をしている人も多い。沖縄と米軍は切っても切れない関係」と話した。
 普天間飛行場のある宜野湾市では、移設に道筋をつけた仲井真氏の落選に落胆の声も。会社員、渡久地(とぐち)政臣さん(42)は「政府との間に亀裂が入れば、普天間は再び固定化してしまうのでは」。16年に大型輸送ヘリが墜落した同市の沖縄国際大の近くに住む女性会社員(25)も「基地が残り、あんな事故がまた起きたらと思うと怖い」と吐露した。
 政府は移設計画を粛々と進める方針だ。同市の主婦、仲村優子さん(48)は「ウチナーンチュ同士がいがみ合っていても沖縄は前進しない。対立を乗り越え、基地問題を解決してほしい」と話した。

これ『沖縄知事に翁長氏 「普天間固定化するのでは」地元住民から懸念の声』と題した産経新聞11月17日 8時3分の報道記事である。

 本当に勝った当事者には悪いが「建前」の勝利だったと思う。
 沖縄県民以外の我々は自国を守るために、沖縄県民を犠牲にしたと言って良い。しかし、こうなれば安保条約の日米合意の見直しも視野に入れねばならなくなって来た。米国よりも日本である。米国なんぞ今更この沖縄基地問題何ぞどうでも良くなっているのでは無いか。かえって日本の沖縄経済の見直しをと言った方が良いのではないか。何故なら仲井真さんの得票数を見れば良く解かる。これは依然として「建前」と「本音」が戦った結果、「本音」が根強かった証でもある。沖縄経済はこの基地問題と表裏一体で来た。基地が無くなればそれこそ沖縄経済は崩壊する。その危機感の表れが、仲井真さんの「そんなに現実は甘くない」の言葉に集約されたのである。しかし、沖縄県民は「県民としての誇り」だけは捨てたくなかった。今回の選挙はそういう意味で沖縄県民にとってみれば本当に残酷な仕打ちだったと私は思っている。沖縄返還を実現した佐藤栄作自民党が、沖縄を利権の道具に使った瑕疵とも言えるのである。自民党はそれを頭に叩き込み、今後の沖縄に接する責任と義務があると言わねばなるまい。