迫る中の消費税の是非論、側近甘利明経済財政・再生相の言葉

 甘利明経済財政・再生相は5日、消費税率を来年10月に予定通り10%に引き上げるかどうかの年内の決断に関して「上げる判断をしたとき、上げない判断をしたときにはこういう作業が必要で、それに伴うメリット、デメリットはこういうものという整理をしたい。その作業を始めている」と述べた。都内で記者団の質問に答えた。
 これに先立つNHK番組では安倍晋三首相の増税の判断について「完全にニュートラルだ。首相は経済の回復状況、社会保障の安定、財政の再建の3つを一番効率よく組み合わせられるところはどこかを慎重に探している」と語った。
 同時に「引き上げない場合でも、いつまで延ばすと明確にしない限り大変なことになる」と指摘。さらに「具体的な設計ができているから全部変更すると相当な政治的エネルギーが必要になる。延期した場合に得られるメリットを精査しないといけない」と強調した。
 同席した大田弘子政策研究大学院大学教授は「よくよくのことがない限り上げた方がいい」としたうえで「福祉給付金を年収400万~500万円以下の層まで広げて一時金を払う対応策をとる必要がある」と述べた。大田氏は政府税制調査会の法人課税専門委員会座長を務めている。

これ『経財相、消費増税判断「利点・欠点の整理に着手」 』と題した日経新聞5日18:12の報道記事である。

 今までの強気が変わって来た。少子高齢社会への堅持には絶対必要と言っていた消費税の充当が、国民の反発の多さにたじろぎ、決定打は日銀短観の結果である。こんな筈ではなかった。それが正直な気持ちであろうと思われる。誤算は「アベノミクス」である。政権起立時の首相と任命した黒田日銀総裁の楽観見通しだった。数学の連立方程式の如く、物価が上がれば原理上景気浮揚となるとはじいた。それがどうだ、円安により株高までよかったが、マーケット原理は計算できても、人間の思考や感じ方による気持ちまでは計算出来なかった。それは以前より指摘されていたが、策に溺れた結果とも言えなくはないのである。いづれにしても現状は認識しなくてはいけない筈で、それが側近甘利明経済財政・再生相の言葉として出たのが真相だろう。