小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」発言は本意か、でなければ存在の確認か

 小泉純一郎元首相が「原発ゼロ」発言を強めている。その真意とは。
 9月24日、東京・六本木ヒルズで開かれたビジネス誌「プレジデント」の創刊50周年記念フォーラムで、大きな拍手で迎えられた小泉純一郎元首相(71)は、挨拶(あいさつ)もそこそこに切り出した。
「私は(政界を)引退して、最近は国会議員よりも経済界の方々と話す機会が多い。そこで話しますと、原発ゼロになったら日本は成長できない、原発ゼロは無責任だという声が多いんです。しかし私はいままで原子力の専門家たちが言っていた、原発は安全でクリーンでコストが安いというのは本当なのか、自分なりに勉強してみました。そして疑問を抱いたのです。原子力は果たして現在の人間が制御できるのだろうか。そしていま、私は原発はゼロにすべきだ、しかもできるだけ早く政治はゼロの方針を決断すべきだ。そういう論者になっているのです」
 最近では、8月26日付の毎日新聞に掲載されたコラムが永田町を大きく揺るがした。山田孝男編集委員のインタビューに、こう語ったというのだ。
「いま、オレが現役に戻って、態度未定の国会議員を説得するとしてね、『原発は必要』という線でまとめる自信はない。今回いろいろ見て、『原発ゼロ』という方向なら説得できると思ったな」
「今ゼロという方針を打ち出さないと将来ゼロにするのは難しいんだよ。野党はみんな原発ゼロに賛成だ。総理が決断すりゃできる」
 記事の直後、本当に小泉氏の発言なのか疑問視する向きもあったが、今回の講演内容と照らし合わせれば一目瞭然だろう。小泉氏は、“意図的”に「脱原発」発言を繰り返している。
 引退から4年になる小泉氏だが、いまでも人気は高く、発言の影響力は衰えない。ともすれば、「原発再稼働」に前のめり気味な安倍政権への“当てつけ”のようにも見える。
「反原発発言は、安倍政権に対する不満からでしょう。再稼働にカジを切った政権に対して、強烈に異議申し立てしたいのだと思います。さらに、バラまき路線の経済政策に対しても不満を募らせている。真の改革は国民にも痛みを強いるもの、というのが小泉さんの持論だからです」(先の永田町関係者)
 だからか政権の周辺は戦々恐々としている。
毎日新聞のコラムが出て、息子の進次郎議員をはじめ連動する動きがないか注視しました。やはり政局観は抜群ですからね」(内閣情報調査室関係者)
 こうした小泉発言に呼応したフシがあるのは、むしろ安倍首相自身だった。コラムの掲載後、東京五輪招致が決定した国際オリンピック委員会IOC)総会直後の9月7日の会見で、「原子力比率は引き下げる。3年程度の間に再生可能エネルギーの普及と省エネルギーの推進を最大限加速させる」と踏み込んだ。「再生可能エネルギー」と「省エネルギー
は2月の施政方針演説でも触れたが、明らかに原発再稼働のトーンを引っ込めている。
「小泉さんは自分の発言の影響をわかった上で言っています。ただ、安倍さんの足を引っ張るというよりは、前のめりな安倍政権を抑制しようということでしょう。高支持率でも、やみくもに再稼働に突き進むと足をすくわれるぞ、というメッセージです。電力業界に近い議員が安倍さんにプレッシャーをかける中、小泉発言は防波堤にもなる。安倍さんも、そのへんはわかっていますよ」(自民党関係者)
 

これ「小泉純一郎が繰り返す「原発ゼロ」発言 その真意は〈AERA〉」と題した.AERA 10月7日号の記事である。
 

 原発行政の中枢に居て、今頃「原発は危険だとしての「原発ゼロ」発言のこの小泉元首相に、先の民主党政権時の菅元首相、彼らに対しては余りにもいい加減な対応に開いた口が塞がらなかった。言わせて貰えば、だったら何故自分が最高権力者の宰相時に言わなかったのか。今頃国民の関心をかおう等とは、不届き千番である。少なくとも宰相経験者としては、絶対言ってはいけない言葉である。いやしくも好むと好まざるとに拘わらず、当事の原発行政を推進した最高権力者だった筈である。余りにも節度が無いと言うか人間として軽過ぎると思う。勉強してみたら原発は危険だった等とは、じゃあ当事は何も解からないで指示した事になり、国事の権力者のあるまじき発言である。情けないの一言に尽きる。もっとも存在感の再来を帰すための発言だろうが、人間としての最低の常識さえ忘れてしまったように見受けられる。