横浜市長選に野党系候補が勝利したのは何のこと無いカジノを含む統合型リゾート施設誘致とコロナ対策への反対の勝利であり、下手すれば政権交代もあり得るかも!

「やばい。午後8時に野党候補に当確が出るなんて衝撃だ…。出口調査ですでに野党に10ポイント以上、負けていた。菅首相は最後まで望みがあると言い続けていただけに今頃、真っ青だろうな」

 

 こう力なく語るのは、自民党幹部だ。22日投開票された横浜市長選は、立憲民主党などが推薦する元大学教授、山中竹春氏が自民党の推す前国家公安委員長小此木八郎氏を破り、勝利を確実にした。

 

 菅義偉首相の側近で、閣僚を辞して横浜市長選にのぞみ、圧勝と思われていた小此木氏。午後8時に投票が締め切られるとすぐ、山中氏に当確が出る衝撃の幕切れとなった。

 

横浜市長選の大敗でもう菅政権はだめなんじゃないか、というムードが一気に強まりました。菅首相や政権幹部のイライラはピークに達し、周囲もピリピリして官邸の空気は澱んでいます。いまだに菅首相はなぜ、小此木氏で勝てなかったのか、自分が動いたのになぜだ、と敗因を理解できずにいます。首をかしげていました」(官邸関係者)

 

 菅首相は小此木氏の父親で建設大臣などを歴任した彦三郎氏の秘書を経て、横浜市議、衆院議員となり、神奈川2区(横浜市内)が地盤だ。小此木家は八郎氏の祖父の時代から横浜を地盤に衆院議員を世襲してきた名門なだけに大敗の打撃は計り知れない。前出の自民党幹部も動揺を隠せず、こう言う。

 

「小此木氏が出馬表明した時は、誰もが圧勝と思っていた。それがこのザマです。菅首相の地元でもある横浜市長選を落としてしまった。コロナの感染拡大が止まらず、対策が後手にまわる菅政権にNOが突きつけられた選挙だったと思いますね」

 

 選挙戦の最終日。横浜市内を演説していた小此木氏の周囲には聴衆がまばらで閑散としていた。自民党横浜市議はこう振り返る。

 

「空気に向かって演説しているようでした。動員はかけたが、支援者が反応しなかった。閣僚まで務めた小此木氏にとって、屈辱的な光景でした。菅首相のコロナ対応に対する市民の不信感がそのまま、現れたなと思いました」

 

 横浜市長選の争点は、いつの間にかカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致から新型コロナウイルス対策になっていったという。

 

「小此木氏がコロナ対策を訴える度に『感染者を減らせ』とヤジが飛んだ。有権者からの冷たい視線を感じました」(同前)

 

 横浜市長選の大敗で「菅おろし」も始まりつつある。9月17日に告示され、同29日に予定される自民党総裁選挙。安倍晋三前首相が率いる清和会(細田派)所属の国会議員はこう語る。

 

横浜市長選で市民、国民が菅首相に対し、ダメ出しをしたということ。月曜日から政局が激化し、清和会など大派閥の総裁候補選びが本格化する。解散総選挙も間近ですから、選挙に勝てる人が総裁候補となるでしょう。うちでは政調会長下村博文さんが名乗りを上げているけど、安倍前首相の3度目の登板もありうる。派閥を超えて人気が高いのは、麻生派河野太郎ワクチン担当相ですね」

 

 安倍前首相に近い高市早苗衆院議員も立候補の意向を示している。だが、菅首相も黙ってはいないはずだという。

 

 新型コロナウイルスの感染拡大で9月12日まで延長された東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪などの緊急事態宣言は当初、8月31日までだった。

 

延長幅が12日間というのは、なんとも中途半端な感があるが、そこに「駆け引き」があるという。

 

自民党総裁選のスタートが9月17日。同12日まで緊急事態宣言ですから、5日間の空白が生まれる。菅首相がここで電撃的に解散総選挙に打って出るという話が周辺から出ています。もともと解散の余地を残すために緊急事態宣言を12日まで延長した訳です…。自公連立与党で過半数を取れば、国民から信任された、と総裁選に出て続投するというシナリオを考えているようだ」(前出の自民党幹部)

 

 だが、新型コロナウイルス対策の相次ぐ失敗で新規感染者、重症者の増加が止まらず、不人気の菅首相解散総選挙に踏み切れば、自民党が大敗する危険性もある。

 

 また、東京地検特捜部が捜査を進めているテクノシステム社の詐欺事件に関連した公明党遠山清彦元財務副大臣の「口利き疑惑」という爆弾もある。公明党の国会議員はこう語る。

 

東京地検特捜部の捜査のメスが入り、遠山氏の”爆弾”がいつ炸裂するのか気が気でないです。捜査の影響で解散総選挙になれば、うちは厳しい選挙となる。自民党の選挙まで手が回りませんよ」

 

「菅おろし」が加速する中、菅首相は21日午前、東京・代々木のJR東京総合病院を受診した。演説原稿の読み飛ばしや読み間違いなどの失敗も続き、体調面を心配する声も出ている。

 

「人間ドックのフォローで受診自体は、大したものでは全くないのですが、ずっと休んでないので疲労が蓄積しているのは周囲から見ても明らかです。それでも気力の衰えなどで、辞めたいなどとは一切、漏らさず、総裁選も勝ち抜けると思っているのが、菅首相のメンタルの偉大さ。そこだけは感嘆しますね」(前出の官邸関係者)

 

 菅首相次の一手が注目される。(今西憲之 AERAdot.編集部)

 

 

これ『横浜市長選で衝撃の大敗 菅首相が総裁選前に電撃解散も「勝ち抜くと驚嘆のメンタル」』と題したAERAdot 2021/08/22 20:10の記事である。

 

 

横浜市民は市長選にかこつけ統合型リゾート施設誘致とコロナ対応の遅延策に反対を表明したと言う事であろう。確かに菅首相の選挙区であったろうが、そんな事より普段より市民感情を無視して進めて来た国策と言う統合型リゾート施設誘致と後手に回って感染者が増え続ける施策に反対だと言う事が解っただけでも収穫と言えた。これによって横浜と言う一自治体の傾向が自らの総裁選や、衆議院解散権に多大な影響が出ると言うリスクを抱えた重大な局面の舵取りが避けられなくなったと言えよう。そこまでは行かないかも知れないが、政権交代も覚悟しなければならない局面も考えなくてはと思える。