第2弾事業仕分け後半1日目の主な結果は次の通り
▽グループA
【塩事業センター】家庭用の塩供給事業をめぐり、国民の3カ月分の消費量に当たる10万トン超の塩備蓄は過大との指摘が集中。センターは、専売制度廃止時に日本たばこ産業(JT)から引き継いだ財産など約609億円(2008年度末)の資産運用益で備蓄コストを賄っている。仕分け人は、10年度中に備蓄水準を見直すべきだと判定、資産の一部を国庫へ返納することも求めた。法人税の免税措置が民間と比べて不公平との意見もあった。
【全日本交通安全協会】都道府県公安委員会が行う運転免許更新時の講習で、教本をほぼ独占的に納入、毎年約10億円の利益を出しており、仕分け人は納入に競争原理を導入してコスト削減を図り、ドライバーの負担低減を図るべきだと判定。OB8人が役員を務める警察庁に対して、協会以外の教本の参入を困難にする通達を廃止するよう求める意見が出た。
【航空輸送技術研究センター】国土交通省から航空機安全性向上専門調査(10年度予算180万円)を受託。仕分け人は「調査事業は国が直接行うべきではないか」と指摘し、「国が実施機関を競争的に決定、予算は縮減すべきだ」と判定。
【運輸政策研究機構】国からの発注を受け08年度に那覇空港と福岡空港の需要予測を実施。それ以前に行った静岡空港、北九州空港の予測が過大で大きく外れたことが問題視され、10年度中に需要予測モデルと業者選定を見直す前提で、乖離原因の大規模な検証を要請。その上で「実施機関は競争的に決定、予算縮減する」と判定した。
【空港環境整備協会】羽田や大阪など全国18空港で駐車場を経営、その収入で空港周辺の緑地整備など環境対策を実施。役員12人のうち5人、職員213人のうち115人が官庁OBという天下り体質が問題となった。仕分け人は協会が実施する空港周辺環境対策(10年度予算10億円)は「廃止し国が違う形で手当てする」と判定、駐車場事業は「廃止を含む抜本的見直し」、環境対策に使わなかった分を積み立てるなどした正味財産171億円は「精査して国庫返納」と判定した。
【航空医学研究センター】航空機乗組員の心身の状態について医学的に検査する航空身体検査事業(同2億円)のうち、6割以上を同センターが実施していることを「民業圧迫だ」などと仕分け人が批判、国交省に対し「競争性を担保し、他機関も自由に参入できるようスキームをまとめる」ことを求めた。
【航空医学研究センター】航空機乗組員の心身の状態について医学的に検査する航空身体検査事業(同2億円)のうち、6割以上を同センターが実施していることを「民業圧迫だ」などと仕分け人が批判、国交省に対し「競争性を担保し、他機関も自由に参入できるようスキームをまとめる」ことを求めた。
▽グループB
【省エネルギーセンター・新エネルギー財団】省エネセンターが1990年度から実施している省エネ大賞は、省エネに貢献した製品や企業を表彰する事業。受賞製品は販売増が期待され、仕分け人からは「国費を投じて販売促進を行う必要があるのか」との意見が相次いだ。民間でも類似の表彰事業があるため、財団の新エネ大賞とともに「廃止」と判定された。
【防衛施設周辺整備協会】自衛隊、米軍基地の騒音対策として実施している住宅防音事業で、住民への補助金の申請手続きを協会が行う地方事務費(10年度予算は約10億円)を「廃止」と判定した。行政書士や本人が直接申請できるよう手続きの簡素化を求めた。
【電気工事技術講習センター】独立行政法人からの委託で実施している講習業務について、判定結果は「見直し」。仕分け人からは透明性を欠く「トンネル事業」との批判が出た。所管の経済産業省はセンターへの直接委託に切り替えることを提案したが、仕分け人は講習センターによる実施を前提とした案を白紙にし、他の団体も参入できるよう実施主体の見直しを求めた。
【民間放送教育協会】文部科学省の委託でテレビのドキュメンタリー番組を制作し、放送などを通じて生涯学習の普及・啓発を図る「生涯学習コンテンツ普及事業」を廃止し、民間での実施に委ねるよう求めた。委員からは「効果が客観的に判断しづらく、国費投入の意義が薄い」との指摘があった。
【日本立地センター】女性雑誌での原子力政策の広告事業(09年度予算800万円)について「廃止」と判定。所管の経済産業省などは、女性誌を対象とすることについて「原子力に対する関心が相対的に低い傾向がみられる」と説明したが、「そもそもなぜ女性なのか」との指摘が相次いだ。女性の仕分け人からは「違和感がある」との声が上がった。
【日本原子力文化振興財団】財団は食品関係の流通業者らを対象に核燃料サイクル施設(青森県六ケ所村)の見学会を実施。09年度は15回で計約200人が参加した。仕分け人からは目的や効果を疑問視する声が出た。所管の経済産業省は「核燃施設への理解が深まる」と防戦したが、交通費や宿泊費などで1人当たり約11万円を使うことにも批判が集まり、「廃止」と判定された。
【大阪科学技術センター】小中学生らを対象にした原子力に関する「体験型移動展示館」事業(10年度予算9千万円)は09年度に3カ所で開き、2万人以上が来場した。仕分け人は、より少ない予算で効果の出る手法の検討を求め「廃止」と判定。センターが委託されている「きっづ光科学館ふぉとん」(京都府木津川市)の運営業務については「競争的に実施機関を決定」するよう求め、事業規模縮減も要求。
【日本エネルギー経済研究所】石油製品と石油ガスの市況調査事業について、判定結果はいずれも「廃止」。1980年代後半から実施しているが、仕分け人は、市況情報は別の手段でも入手可能になっていると主張。「何のための、誰のための調査か」と疑問をぶつけた。政府として調査が必要ならば「目的に則した新たな手法を検討すべきだ」とした。