ケンカを売っているのも同然だ――と、小池知事の周辺が、石原慎太郎元都知事にカンカンになっている。慎太郎氏が17日の産経新聞の1面に「日本よ、そして東京よ!」というタイトルで小池知事を小バカにするコラムを書いているからだ。
〈築地の市場の移転先の豊洲の地にさまざまな不祥事が発覚しそのとばっちりが前々々任者の私にまで及んできて〉〈小池新知事もことの経過に強い関心を持ちその究明にのりだしてはいるが関係者の記憶はまばらで、事は芥川の小説ではないがまさに「藪の中」の印象を出ない〉と、他人事のような態度に終始し、さらに東京都が提出した資料が黒塗りだったと指摘し、〈小池知事はその決断力を発揮し(中略)あの黒塗りの資料の全文を公開披瀝してもらいたいものだ〉と、注文をつけているのだ。
ただでさえ、豊洲問題について、東京都が送った質問状に対して「聞いていない」「記憶にない」「任せていた」と、“ゼロ回答”だった慎太郎氏。本人は、このまま逃げ切りをはかるつもりだが、小池サイドは絶対に許さないつもりだ。すでに「都合の悪いことを教えていただかないと」と追及の手を緩めず、再質問状を送っている。
と同時に、6000億円の税金を投入した豊洲市場の白紙化という事態になったら、さすがに都民から「百条委員会を開いて慎太郎氏にも話を聞くべきだ」という声が出てくるだろうと計算しているようだ。
「無責任な話ですが、都庁に週に2、3日しか登庁せず、すべて他人任せだった慎太郎氏は、本当に豊洲問題について把握していなかった可能性があります。百条委に出席しても、真相はほとんど解明されないかも知れない。あの頃、都政の重要問題は、毎週金曜日、慎太郎氏と側近幹部が一緒に昼飯を食べながら会議するランチミーティングで決まっていた。 側近のひとりは『盛り土の話は出た』と認めています。恐らく、豊洲市場のことも詳細は側近が決めていたのでしょう。それでも小池さんは、都民の怒りを収めるには、責任者だった慎太郎氏に責任を負ってもらうしかないと考えているようです」(都政関係者)
意地になっているのか、慎太郎氏は小池知事を小バカにしているが、とんでもない事態に追い込まれるかもしれない。
いよいよ豊洲市場問題で「すべてのナゾ」を握る“キーマン”が表舞台に出てきた。25日、都庁で開かれた「市場問題プロジェクトチーム」(PT)の2回目の会合。これまで「守秘義務」を理由にダンマリを決め込んできた豊洲市場の設計会社「日建設計」が登場。ようやく「真相」に迫れると思いきや、幹部の口から出てきたのは「責任逃れ」の言い訳ばかりで、全く話にならなかった。
「豊洲市場の建物は法令を順守するとともに、東京都が求める安全性能を満たしています」「東京都から提示されたことなので」……。
姿を見せた日建設計の常木康弘・取締役常務執行役員はPT委員から何を聞かれてもノラリクラリで、さっぱり要領を得なかった。揚げ句、「市場問題PTとして法的に問題がないことをこの場で宣言してもらいたい」と“開き直り”ともいえる発言も飛び出し、PT委員や報道陣を唖然呆然とさせる始末だった。
会合終了後、ぶら下がり取材にも応じた日建設計は相変わらず、建物の耐震性について「問題ない」「安全」と繰り返すばかり。「豊洲の整備費が急騰した理由は何か」と問われても、「PTの議題ではないので回答は差し控える」と取り付く島もなかった。
■責任を都に押し付け
この対応に、さすがの報道陣も激怒。「『答えられない』はおかしい。これまで一切、取材に応じなかったのに、これでは不十分だ」「整備費高騰の理由はいつ公表するのか」と詰め寄ったが、日建設計側は「もう時間ですから」と質問を一方的に遮り、最後まで真正面から答えようとしなかった。
「結局、日建設計は『自分たちに責任はない』ということを証明したいがため、PTに出てきたのではないか。この日のPTには、都の担当職員は参加していません。当事者不在の中で、責任を都に押し付けているようにも聞こえます。耐震性にも『不安はない』と強弁していましたが、あくまで数字上での話です。新市場に入居する業者にとって、安心・安全につながるとは到底言い難いでしょう」(PTを傍聴した築地市場の仲卸業者)
11月末に予定される次回のPTでは、新市場の「導線の不具合」について議論がなされる予定。再び日建設計の担当者が説明する予定だが、今回と同じような進行になるのであれば、全く意味がない。やはり百条委員会でギュウギュウやるべきではないのか。
何か都民も国民もそしてマスコミも皆さん勘違いしてるようでならないし、最近までの私もその一人だったが、良く落ち着いて考えてみれば、主催者と立案・起案者は東京都でありすなわち東京都知事であることは間違いはないが、あくまでも行政の執行を委託された役所である。しかし、主催者、立案・起案者はその事業を勝手に施行できる訳ではない。そこにそれが妥当かどうかのチェック機関として監理をする都議会がある。それを厳格に監理する対価として、議員としての高額な歳費すなわち報酬が支払われているのである。とすれば、責任知事だった石原元都知事の責任もさることながら、本当の責任は都議会の議員にあるのではと思うようになった。石原元都知事の責任の前に糾弾されなければいけなかったのは、むしろ都議会議員の方ではと思う。何か議員側は対岸の火事のような振る舞いだが、6600億円の責任は無いのだろうか。100条委員会の前に、議員一人一人に査問を掛けるのが先と思える。如何か。