最近鉄道事故多発、自殺と認知症患者の不注意多いがその家族は

 認知症またはその疑いのある人が列車にはねられるなどした鉄道事故が、2012年度までの8年間で少なくとも149件あり、115人が死亡していたことが分かった。事故後、複数の鉄道会社がダイヤの乱れなどで生じた損害を遺族に賠償請求していたことも判明した。当事者に責任能力がないとみられる事故で、どう安全対策を図り、誰が損害について負担すべきか、超高齢社会に新たな課題が浮上している。
【介護現場に衝撃の判決】認知症老人が列車にはねられ死亡→地裁が遺族に720万円支払い命令 「行動を一瞬も目を離さず監視することなど不可能」…遺族から怒りの声
 鉄道事故については各社が国土交通省に届け出て、同省は「運転事故等整理表」を作成している。毎日新聞は情報公開請求で得た整理表と各事故の警察発表などから、「認知症」という言葉が介護保険法改正で取り入れられた05年度以降の事例を調べた。当事者が認知症であることを記載していない届け出も多く、件数はさらに膨らむ可能性がある。
 事故の多くは認知症による徘徊(はいかい)や、危険性を認識しないまま、フェンスなどの囲いがない場所や踏切から線路に入って起きたとみられる。線路を数百メートルにわたって歩いた人や、通常は立ち入れない鉄橋やトンネルで事故に遭った人もいた。
 08年1月に大阪市で当時73歳の女性が死亡した事故では、駅ホームの端にある職員用の鉄柵扉から入り線路に下りた可能性がある。本人がGPS(全地球測位システム)発信器を身につけていたが、間に合わなかった死亡事故もあった。
 認知症の人による鉄道事故を巡っては、名古屋地裁判決が昨年8月、「家族が見守りを怠った」というJR東海の主張を認めて約720万円の賠償を遺族に命じた(遺族側が控訴)。家族会などからは「一瞬の隙(すき)なく見守るのは不可能。判決通り重い責任を負うなら在宅介護はできなくなる」と不安の声が上がっている。
 毎日新聞JR東海の事故を含め、被害者の氏名や所在地が判明した9社10件の事故について、遺族や関係者に話を聞いた。
 遺族によると、係争中のJR東海のほか、東武鉄道が2件、近畿日本鉄道名古屋鉄道が各1件で約16万~137万円を請求していた。約137万円のケースでは会社側が事故で生じた社員の時間外賃金や振り替え輸送費などを求めていた。この事故を含む2件は双方の協議で減額されたが、4件とも遺族側が賠償金を支払っている。
 他の5件は北海道、東日本、西日本、九州のJR4社と南海電鉄の事故で、いずれも請求なしだった。遺族によると、JR東日本は「認知症と確認できたので請求しない」、南海は「約130万円の損害が出たが請求しない」と伝えてきた。JR東日本は「そういった伝え方はしていない。事実関係に基づき検討し、請求を見合わせたのは事実」、南海は「回答は控えたい」とコメントした。JR各社で請求しないケースが目立つ一方、他社では「原則請求」の対応が少なくないとみられる。
 12年度の鉄道事故死者数は295人、統計上別区分の自殺は631件だった。【山田泰蔵、銭場裕司】
 ◇認知症
 脳血管や脳細胞の障害で記憶力や判断力が低下し、日常生活に支障が生じる程度に至った状態。以前は「痴呆」と呼ばれたが、侮蔑的で誤解を招きやすいとの理由で2004年12月、厚生労働省が行政用語を変更した。12年の患者数は「予備軍」と呼ばれる軽度認知障害の人(約400万人)を含めて約862万人に上ると推計され、高齢者の4人に1人に上るとみられる。
 ◇「個人賠償責任保険」などで損害対応できる可能性
 日本損害保険協会によると、遺族は「個人賠償責任保険」などと呼ばれる保険で損害に対応できる可能性がある。自動車保険や火災保険の特約として契約され、保険料は年数千円程度。ただし補償例が「ボールで人家の窓を割った」「飼い犬が人にけがをさせた」などと記載され、鉄道事故を対象と考えない人もいるとみられる。
 協会は「種類により対象になる場合とならない場合があるので詳しくは保険会社に相談してほしい」と話している。
 

これ「<認知症>115人鉄道事故死 遺族に賠償請求も」と題した毎日新聞1月12日(日)3時0分配信記事である。
 

 この問題かなり複雑で難しい問題と言えそうだが、立場の違いでしか無い簡単な問題ではないのかと私は思っている。

 問題点を拾えば次の様になる。
 1.認知症の介護と言う論点になれば、その家族は被害者である。
 2.JR側から見れば、被害者はJRと乗客である。
 ここのところを分けて判断した結果が判決だったと私は思う。この話の前に言っとけば私自身身障者で要介護1の身分である。そして療養5年間で、精神病患者及び認知症患者を身近で見て来た経験もある。そして私は現在建設会社の代表者でもある。つまりどちら側からも見れる立場にあると言う事でもある訳だ。私の病前これに似た例があったので紹介しておきたい。
 今から10年ほど前だった。我社でJR東日本から鉄道トンネル内の水漏れ防止の工事を請け負っていた。鉄道トンネル内の工事は架線(電車を動かすための電車体の上に張ってる電導ケーブルで2万ボルトある)を止めなくてはならないため、電車の止まる夜間作業になる。当日当社は夜半電気を止めるまで待機をしていた。そしたら24時ころ、JRより緊急指令が入った。人身事故のため、電車が止まり本日中止になると言う連絡だった。××駅間で自殺だそうである。冗談じゃ無い。この日の為に夕方より工事の段取りをして容易万端してたのに。じゃこの経費はどうなるの?正直と言うより我社にとってはとてつもない損害である。リースした機械や器具それにかなりの作業員の手当て、半端な金額ではないのである。当社ではこの経費だけでも見てくれとJRに泣きついたが、ダメであった。JRに言わせれば、被害者であり、払い戻しも半端じゃなかったそうである。当然に我社への保障は無かった。私も身障者でありそちらより見れば解からない話であるが、損害の発生する会社側から見れば、謂れの無い悔しさが先に出る。このような場合を、この記事の当事者の家族の方考えた事あろうか。遺族の怒りも解かるが、何処にも言えないこう言う場合もあって、しかもこう言う場合の賠償も頂けない業者も居るかもしれない事を考えた事あろうか。確かに認知症患者に罪は無いのかもしれない。しかし、病気だと言う前にこう言う最悪も考えた対応、家族は考えているのだろうか。だからこその施設に強制入居を望む家族が多いのだと私は思っている。正直に言わせて頂けば、こう言う家族に多いのが、自分勝手の入れてしまえば儲けもの、面会には一度も来ない家族なのである。