支持率良さのドサクサ悪法「国家安全保障会議(NSC)」役人の主導権のためだけの法である

 現在、創設法案が成立間近な「国家安全保障会議(NSC)」。日本の安保・外交における司令塔となる政府の組織だが、水面下では、各省庁による主導権争いがすでに始まっているという。全国紙政治部デスクが明かす。
 「日本版NSCに密接に関わる省庁、つまり外務省、防衛省警察庁が三つどもえの主導権争いを繰り広げています。このなかで一歩リードしているのが外務省です。政府は、外交官出身で外務次官も務めた谷内正太郎内閣官房参与に日本版NSCの初代事務局長の就任を打診しました。また、同省は地域・テーマ別に『分析官』を事務局に置くことを政府に提案しています。海外情報の分析官には当然、外務省官僚を送り込むことになるのでしょう」
 
この動きが面白くないのは警察庁だ。
 
 「日本の情報機関は警察の警察庁公安警備(公安警察)、外務省の国際情報統括官組織、防衛省の情報本部、そして法務省公安調査庁などがありますが、このさまざまな情報機関がもつ情報を集約、分析して首相官邸に報告する“元締め的存在”が内閣情報調査室(内調)です。この機関のトップ・内閣情報官は歴代、警察関係者で占められており、170人ほどの職員の中で約90人の生え抜き職員以外は各省庁からの出向者で構成されます。そのなかの40人から50人が警察庁の人間なんです。防衛省、外務省の出向者もいますが、主流は最多数の警察庁です。
 警察は今後も内調を軸に、日本の情報機関を掌握したいと考えています。それは国内だけでなく、国外情報についても同じです。警察は外務省を軽んじている傾向があり、特に尾行、接触、スパイ育成など人的ネットワークから情報を入手する『ヒューミント』のノウハウは自分たちのほうがもっているという自負がある。
 ところが、日本版NSCができれば外交、安全分野の情報収集は外務省が中心になってしまう。警察にとって、それを認めることはできません」(前出・全国紙政治部デスク)
 この劣勢をはね返そうと、警察は水面下で不気味な動きを見せている。
 「8月30日、朝日新聞は『内閣情報局の新設へ』と報じました。内調を“局”に格上げし、そのトップの内閣情報監に内閣情報官をあてる、という内容です。実質的な警察の権限拡大を意味します。実はこれ、警察関係者からリークされた情報だったんです。政府もその計画を否定しました。
 もし本当に警察がリークしたのだとしたら、これは彼らのメッセージだと思います。つまり、日本版NSCは、政策立案・決定の役割のみを担うべきで、情報の収集と管理は分離すべき、つまり内調がその任を今後も担うべきだ、ということです」(全国紙政治部デスク)
 今年2月から5月にかけ、計6回にわたり日本版NSCの中身を審議する有識者会議が開催された。そのメンバーのひとり、国際政治アナリストの青山繁晴氏はこう耳打ちする。
「実は安倍政権は、戦後初めてとなる“スパイ組織”をつくろうとしています。これまで、日本の外国に対する諜報活動はいわゆる『シギント』といわれる電子機器を使った通信傍受などに限られていたわけですが、対外的な『ヒューミント』の実現に向けて動きだしているのです。組織の名称案は『国家情報局』。これは、日本版NSCの次にくるもので、再来年の通常国会までには法案(国家情報局設置法案)を提出するのが当面の目標です。
 NSCが車の前輪とするなら、国家情報局は後輪。そういう位置づけで、すでに総理官邸や関係省庁の上層部、警察庁、内調が中心となって準備に取りかかっているという話です」
 ここにも警察と内調が絡んできている。このことについて、新党大地代表の鈴木宗男氏は警察を批判する。
 「ズレている、と思います。警察は本来、国内問題が担当なはずなのに」そんなズレた組織が情報機関を牛耳ろうと動いているのだ。また、警察は外務省だけでなく、防衛省の力が増すことにも警戒している。
 自衛隊で軍事インテリジェンスを担当し、韓国に防衛駐在官防衛省から外務省に出向した自衛官)を務めた経験もある元陸将・福山隆氏はこう語る。
 「戦後、日本では警察官僚出身の政治家である後藤田正晴氏が中心になって、制服自衛官が力を得ることを阻止してきました。私は、防衛省所属の情報機関『情報本部』の設立に際し、警察官僚が後藤田氏の政治力を使い、情報本部・電波部(シギント)に影響力を維持できるよう全力を挙げていたことを見聞きしています。その結果、今でも電波部の部長は警察から出向者になっています。
 それ以外にも警察官僚が自衛隊に対する優位性を保持することにきゅうきゅうとしていることを、陰に陽に感じてきました。自衛官のスキャンダルをつかみマスコミにリークするなど、自衛隊を貶(おとし)めることを、さりげなくやってきたのではないか、という疑念も抱いている。私は警察がありとあらゆる手を使って、日本版NSCにおける防衛省自衛隊の台頭を阻止することは、当然予想できることだと思います」
 本来、各省庁が一丸となって国の有事に備えるNSC。創設前から主導権争いでは、まともに機能するとは思えない。(取材/小峯隆生、取材協力/世良光弘、興山英雄)
 

これ「警察がNSCの主導権を握ろうと暗躍している」と題した週刊プレーボーイの週プレ11月20日の記事である。
 

 この記事の終わりにあるように、役人の仕事は、国のためなのに、ここにあるように、全国どこでも、権力のあるところでは、敵は外(外国)にあるのでは無く常に敵は内(国内)なのである。神代の昔から、朝鮮王朝史を見るまでも無く敵は常に内にあるのである。内(国内)さえ制定すれば、外はどうにでもなると言う考えなのである。つまり外はどうでも良く、内さえ何とかすれば何とでもなると言う考えだ。責任の所在は常に国内でしか無い。このNSC、何の事無い役人のさじ加減でどうにもなる法であり、自分らの都合の良い、個人情報保護法に匹敵する、役人にとっては都合の良い法律なのである。それを国民は知らなければならないのである。