聖域無き関税撤廃などあり得ない全てが茶番と言える

 【ワシントン=藤田直央】安倍晋三首相は22日昼(日本時間23日未明)、オバマ米大統領ホワイトハウスで会談し、日本の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加について「あらかじめ全ての関税撤廃の約束を求められない」とする共同声明を発表した。首相は会談後の記者会見で「なるべく早い段階で決断したい」と強調。3月上旬にも交渉参加を表明する意向だ。
 自民党は昨年末の衆院選で、TPPの交渉参加について「聖域なき関税撤廃を前提にする限り反対」と公約。首相は会談でこうした事情を説明し、「日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品など二国間貿易上のセンシティビティー(重要項目)が存在する」と述べ、関税撤廃になじまない品目があることを指摘した。
 その上で「最終的な結果は交渉で決まるもので、全ての関税撤廃をあらかじめ約束することは求められない」ことの確認を促すと、大統領は「確認する」として同意。両首脳は会談で交わされた合意内容を共同声明として発表した。
 首相はその後の会見で「TPPでは聖域なき関税撤廃が前提ではないことが明確になった」と述べ、交渉参加が公約と矛盾しないとの認識を表明。帰国後の25日の自民党役員会や、公明党に対して説明し、政府への一任を求める考えを示した。関税撤廃に「聖域」があることを両首脳間で確認したことで、早期の参加表明への環境は整った。
 共同声明では「TPPは全ての物品を交渉の対象とする」とした上で、米国が日本に規制緩和を求める分野として「自動車や保険に関する残された懸案事項に対処することを含め、さらなる作業が残されている」と明記。一方、首相は会談で、自民党衆院選政策集で示した「自動車など工業製品の数値目標を受け入れない」「食の安全安心の基準を守る」という立場を今後も主張する考えを示した。
■異例の声明、政権後押し
 【ワシントン=山川一基】環太平洋経済連携協定(TPP)をめぐり、日米両首脳が関税撤廃に例外があり得ることを確認したことで、日本は交渉参加に向けて大きく前進した。早ければ9月にも日本が協議に参加する可能性がある。
 安倍晋三首相が交渉参加を表明した場合、米国はTPPメンバー国や産業界などとの相談に入る。さらに米国では議会の承認に90日間必要なため、米国が日本の交渉参加を正式に認めるのは早くて7月ごろ。実際の日本の参加は9月予定の交渉からとなりそうだ。
 TPPにはカナダとメキシコが昨秋に加わったばかり。米国などが目標とする今年末のTPP交渉締結はほぼ不可能だ。日本政府関係者は「(交渉で日本の意見を反映させるのに)なんとか間に合う」と話す。
 もともと米国はTPPの規模を一気に広げるため、日本の参加を望んでいた。経済的、軍事的に台頭する中国への対抗も意識する。
 共同声明の内容は「すべてが交渉対象だが結果は協議次第」という米国のこれまでの主張をなぞっている。これから交渉に入ろうという段階で声明を出すこと自体「極めて異例」(交渉関係者)だが、国内への明快な説明が必要だった安倍政権を後押しした。
■日米首脳共同声明全文
 日米両政府が22日午後(日本時間23日未明)に発表した環太平洋経済連携協定(TPP)に関する共同声明の全文は次の通り。
 両政府は、日本がTPP交渉に参加する場合には、全ての物品が交渉の対象とされること、及び、日本が他の交渉参加国とともに、2011年11月12日にTPP首脳によって表明された「TPPの輪郭(アウトライン)」において示された包括的で高い水準の協定を達成していくことになることを確認する。
 日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品というように、両国ともに二国間貿易上のセンシティビティーが存在することを認識しつつ、両政府は、最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであることから、TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないことを確認する。
 両政府は、TPP参加への日本のあり得べき関心についての二国間協議を継続する。これらの協議は進展を見せているが、自動車部門や保険部門に関する残された懸案事項に対処し、その他の非関税措置に対処し、及びTPPの高い水準を満たすことについて作業を完了することを含め、なされるべき更なる作業が残されている。
■日米首脳会談(要旨)
 日本側が説明した日米首脳会談の要旨は次の通り。
 【安全保障】
 安倍晋三首相 厳しさを増す安保環境。我が国は米と共に責任を果たす。就任後、防衛費を増やし、自衛隊の費用・隊員の増加、防衛大綱見直しを指示した。集団的自衛権も検討を開始した。こうした取り組みは同盟強化に役立つ。
 両首脳 普天間飛行場の移設及び嘉手納以南の土地の返還計画を早期に進めることで一致。
 首相 今回の北朝鮮の核実験を強く懸念。挑発行為は容認すべきでない。
 両首脳 国連安保理が新たな強い決議を採択し、制裁の追加強化を実施することが重要だ。
 【経済】
 オバマ大統領 大胆な政策が安倍政権のもとでとられており、国民からも評価されている。
 首相 TPPについて、日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品など、二国間貿易上のセンシティビティーが存在する。最終的な結果は交渉で決まっていく。交渉参加に先立ち、一方的にすべての関税撤廃をあらかじめ約束することは求められない。
 大統領 今の部分について確認する。
 【その他】
 首相 2030年代原発稼働ゼロを目指すとの前政権の方針はゼロベースで見直し、責任あるエネルギー政策を構築していきたい。
 大統領 日米の協力を進めていきたい。
 首相 (国際結婚破局などの際の子の扱いを定めた)ハーグ条約がこの国会で承認が得られるよう取り組んでいる。
 

朝日新聞の報道である。
 
 

 日米首脳会談でのTPPの交省参加は既定の事実である。参加は当初からの既定の路線である。関係団体がうるさいため、さもかたくなに見せようと、「聖域なき関税撤廃を前提にする限り反対」と明言して来ただけである。第一、消費者である国民と関税に掛かる関係団体をはかりにかければ、簡単に解かる事である筈だ。唯真面目に表明すれば、今年に行われる参議院選挙に影響するからの事だけなのである。そんな簡単な事、さももったいぶって政府がマスコミとグルになって煽り立てただけの事だから、私等余りにもアホらしくて、黙って静観していた。問題は今後である。この関税をどうすると言う事よりも、何か軟着陸をどうするかで頭を悩ましているようにも思える。暴論かも知れないが私は主観であるが、農産物に関税を掛けて、医療を差し出すような気がしてならない。それはとりも直さず、地方出身議員の突き上げを食うからに他ならない。そんな気がする。