介護施設での友が逝った

 

 

 2007(平成19)年暮れに脳出血で倒れた私は以来2年ばかりの病院暮らしが続き、今では週2日市内のある介護施設で通所リハビリに勤しんでいる。今から13年前からである。そこで同じ市内の八つ程下の男性と懇意になった。聞けば47歳で脳梗塞になって人生を棒に振ってしまったと良く嘆いていた。私とは同じテーブルであり、年配者が多い中で比較的年が近くウマがあったと言うか良く談笑した仲だった。時には人生上の悩み等打ち明けてくれる仲になったが、ある時、思い詰めた顔で私に話してくれた事があった。朝1番に来て私を待っていたような様子だった。話を聞けば、奥さんが病気で後そんなに長くは無いと言う話を切実に話してくれた。彼は右半身が麻痺で当然歩けなく車椅子だったし、右なので話す言葉も不自由だった。その話は泣きながらだったので私ももらい泣きしながら聞いた。介護してくれてる奥さんを亡くしたら今後彼どうするのだろうかと、私は再度会うまでそればかりが心配でロクに寝れない日が続いたよう毎日だった。ある時奥さんを亡くしてしまったとの報告するために来て以来彼は通所施設に来なくなってしまった。そりゃそうだろう、動けない男が一人で自宅暮らしする筈ないからだ。男の子二人いるらしいが遠く離れて暮らして居るからである。先月の愛読してるローカル紙での死亡広告欄を見てビックリした。何とその広告欄に載っていたのである。67歳だった。丁度病後20年の人生だったと言える。それからの私は毎日モンモンとヤルセ無い言いようのない空しさでどうにもならなかった。私は彼と違い60歳の還暦の祝いをしてから倒れたのでそれなりの人生は過ごしたから未だ救われたが、逝った彼を思う時、その悔しさは計り知れないだろうと思えて、自らの今後を改めて思い直す思いだった。