先日の知床半島観光船の遭難事故通信手段が故障してても国の検査で合格していた事はお役所仕事の典型だ!

 北海道・知床半島沖で観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」が沈没した事故で、カズワンが事故3日前の4月20日に船舶検査を受けた際、船長から通信手段として衛星電話から携帯電話に変更したいとの申し出があったことが、国土交通省への取材で判明した。ただしカズワンの航路の大半では船側の携帯電話は通信圏外となり、事故当日も、船からの118番通報は乗客の携帯からかかってきたものだった。通信が不通になる可能性がある中で申し出を認めたことは、船舶検査のあり方に課題を残している。

 

 国交省によると、カズワンに実施されたのは船舶安全法に基づく中間検査で、日本小型船舶検査機構(JCI)札幌支部が国の代行機関として検査を担当し、豊田徳幸船長(54)=行方不明=から通信手段を携帯電話に変更したいとの申し出があった。カズワンの衛星電話が壊れていたため申し出たとみられる。運航会社「知床遊覧船」(北海道斜里町)の桂田精一社長(58)も27日の記者会見で、衛星電話の不具合を認識していたと説明している。

 

 船舶安全法では、カズワン(19トン)を含む20トン未満の小型船について、携帯電話を連絡手段にすることが認められている。JCI札幌支部は、地元漁業者が海上で携帯電話がつながると話し、豊田船長が「海上でもつながる」と説明したことから、変更を認めた。

 

 携帯電話は通信事業者によって通信可能なエリアが異なる。カズワンは斜里町のウトロ漁港を出て知床半島西側を進み、知床岬で折り返すコースを航行中だった。通信事業者のエリアマップによると、船側の携帯電話はこの航路の大半で通信できないという。さらに船の衛星電話は故障し、陸側の会社の無線も壊れており、船と陸の間の通信は脆弱(ぜいじゃく)だった。実際、118番通報も船長らの携帯電話から届いたものではなく、事故当時の船内が混乱していたことがうかがえる。

 

 関係者によると、船舶検査を巡っては、知床遊覧船などが30日に開いた乗客の家族への説明会でも出席者から課題を指摘する意見が出ているという。国交省の担当者は「もう少し、いろいろな形で確認が必要だった。今後の改善事項の一つと思う」と話す。国交省は事故を受け、有識者による「知床遊覧船事故対策検討委員会」を設置しており、船舶検査のあり方も議題になるとみられる。【谷口拓未、木下翔太郎】

 

 

これ「知床観光船、衛星電話故障、船側の携帯は圏外 通報は客の携帯から」と題した毎日新聞 2022/04/30 19:21の配信記事である。

 

 

 いくら携帯電話手段が認められていたとしても、携帯電話ではキャリアによっては通信出来ないエリアがまちまちであるからして、それは人命を預かる観光船では許可できない筈である。これはモノの道理である。

 実は私は建設会社を経営してるが、公共事業で奥深い山中での治山工事等では、連絡の生命線である携帯電話は必須であるが、苦い思い出が数あった。それまでは携帯電話は当時docomoだったが、山中では通信エリア外だったため使えなかったのである。それでソフトバンクauで試したところ、当時出始めだったためか、ソフトバンクは使い物にならなかったが、auだけはどこでも通信できたのである。以来私は、会社はもちろんだが、自分の携帯まで全てauに替え現在に至っている。こう言う状況だから、この観光船と言うよりも国の船舶安全法に基づく検査では携帯電話での連絡手段は許可しては出来ない筈だったのである。お役所と言う所は前例主義で以前の手段や検査で許可とってる場合は余程の事が無い限り、少々おかしくても、以前の先輩がやった事にはいちゃもんは付けられないと言う無言の不文律があるのではと私は思っている。そしていざ事故があれば、この遭難事故のように、これでもかこれでもかと問題にし、その前の危険予知判断と言うモノさえ先輩に文句を言えない風潮の方が問題である。

 最後にいつも思うのである。役人は何でも自分の責任回避が最優先だと。