小沢強制起訴斜めから見れば真実が解る

 検察審査会の議決で民主党小沢一郎元幹事長が強制起訴されることになった。政治不信に加え、大阪地検特捜部の押収資料改ざん事件で揺れる検察への不信の表れと思われる。「疑いがあるなら公の場ではっきりさせるべきだ。」これが国民感覚だと言う事なのだろう。購入資金4億円の出どころに対する疑問。「小沢氏は4億円を手持ち資金から出したと供述している。そうであれば銀行から4億円を借り入れる必要はなかった。年間約450万円もの金利を負担する借り入れに秘書に言われるまま署名・押印したのは極めて不合理・不自然である」と言う事で、なるほど4億円借りれば年間利子が450万円もかかる、手持ち資金があるならそんな利子を払ってまで借金はしないだろう。議決は素朴な疑問を指摘しているとあるが、一般の国民には理解されないだろう。私はこのブログで何度も指摘したが、これすべて経理的な手法なのである。
 
 例えば私が土地をキャッシュで買おうとした場合を考えて見たい。私は税務申告に当り、預金等を2つの銀行口座(A、B)を使っているとしよう。だがプライベートの預金通帳(C)もあるとする。今この口座の残高をA=100万円、B=50万円だったとし、C=2,000万円だとした場合、土地の値段が1,000万円で代金は明日まで払わなければならないとしたら、皆さんはどうされますか?。これが今回の簡単な金の動きである。普通ほとんどの人はC=2,000万円の内から払うでしょう。しかし、これでは終わらないのです。何故か税務申告のための処理が伴うからで、ここからは一般の国民には理解をされないところでしょう。我々商売をかじった者は色々な手法を採ります。まず、プライベートの預金通帳(C)から1,000万円を借りて払います。あくまでも借りるのです。常に使ってる預金口座(A、B)に残高が無いからです。そして、銀行から1,000万円借りてプライベートの預金通帳(C)に返済します。もし、税務申告上500万円くらいの利益があれば、当然営業上の所得税がかかり、課税金を払わなければならないから4億円借りる年間利子450万円は利益と課税金の圧縮になる。これすべて合法の節税手法でもあるのである。一般の国民の方には何でそんなまどろこっしい事と思われるでしょうが、経理・帳簿と言うものは人間と同じで生きているからです。税務の確定申告は国民としての義務であるし、社会奉仕でもあるのです。ですから今回の小沢さんの陸山会土地購入事件は経理的に見ればごく当たり前の手法です。この陸山会事件を会計的に分析した、細野祐二公認会計士の言葉を借りれば、とてもじゃないが他の著名な国会議員政治資金報告書の帳簿とは比べにならないほど素晴らしいものだったらしいとある。裏返せば、他の議員の帳簿はあまりにもお粗末過ぎるという事にもなる。

 じゃあどうして小沢さんだけがと問われれば、やはり小沢一郎は嫌われ者だからだろう。簡単に言っちゃったがそれが事実であるし、嫌われ者ほど損であるし、煙たい存在でもある。でもあいつさえ居なければあるいは逆にあいつさえ居てくれれば、あいつにさえ頼んでおけばと言われる存在ならば、これほど心強い存在もない。小沢一郎とはそう言う男と私は思っている。

 思うに、この度はからずも小沢一郎が嫌いな権力者いや、小沢一郎を嫌いだった者が権力を持ってしまった事が不幸だったのかも知れない。いみじくも、これは権力闘争だと言った小沢一郎の言葉がそれを表している。

 前記した細野祐二公認会計士は、この事件の資金移動を会計的に分析する限り、石川議員以下の3名等の被告人は証拠構造上圧倒的に有利であり、それどころか、政治資金規正法が部分単式簿記を前提としている以上、ここには犯罪事実そのものが存在しない。とまで言い切られたこの事件、検察の今後の対応に全国民が注視している。