安倍首相ハンセン病訴訟の控訴断念は今回参議員選挙を有利にしようとする、利己主義の表れだ

安倍晋三首相は、ハンセン病元患者の家族に対し国の賠償責任を認めた熊本地裁判決を受け入れる決断を下した。国側が争う余地は十分にあり、実務を担う官僚らにとっては既定路線を覆された格好。「参院選さなかでの人気取りでは」との声も。原告らは、控訴を見送った決断を高く評価しながらも、安倍首相の心中を測りかね「心からの謝罪」を求めた。
 「異例の措置だが、控訴断念の方向で至急準備に入ってほしい」。9日朝の首相官邸執務室。安倍首相は山下貴司法相、根本匠厚生労働相と向き合い指示した。
 政府内は事務方トップの杉田和博官房副長官をはじめ、控訴は不可避との意見が大勢を占めていた。「判決は絶対に受け入れられない。控訴しなければ係争中の他の訴訟にも影響する」(官邸筋)との意見は早い段階から首相に届いていた。
 他の訴訟とは、母親がハンセン病患者だった鳥取県の男性が、国と県に差別被害の賠償を求めた裁判を指す。一、二審で今回とは逆に国が勝訴し、最高裁で係争中だ。
 「まだ一審。控訴が既定路線だ」。6月28日の熊本地裁判決後、厚労省の担当者には余裕があった。元患者本人の訴訟で2001年5月、当時の小泉純一郎首相が控訴を断念したことは「異例中の異例。今回は可能性は低い」と言い切っていた。
潮目が変わっだのは、参院選公示を翌日に控えた今月3日の党首討論社民党の吉川元・幹事長から「控訴を断念すべきだ」と迫られた安倍首相は「本当に責任を感じなければならない。対応を真剣に検討したい」と表明。ある政府関係者は「あの発言以降、官邸マターになった」と振り返る。
 参院選の選挙戦略の一環という狙いも見え隠れする。安倍首相の念頭にあったのは、小泉氏の手法だったのは間違いない。トップダウンの決断は世論に支持され、高い内閣支持率のまま01年7月の参院選で大勝。首相は当時、官房副長官として決断を支えた。
 厚労省幹部は「選挙のために(控訴見送りが)使われたと言われても仕方ない。みんな控訴すべきだと思っていたのに。人気取りのためじゃないか」とこぼす。一方、与党関係者は「官僚を振り切り最後に首相自身が控訴見送りを判断すれば株が上がる。よくできた演出だ」ご指摘した。
 控訴断念を求めていた野党側は攻め手を封じられた格好で、立憲民主党幹部は「選挙目当てなのは明らかだが、首相の判断を批判しても支持は得られない」と苦しい胸の内を明かした
今後の焦点は、被害回復制度の構築に移る。原告以外の家族への対応など、議論するべき課題は多いが「何も決まっていない」 (厚労省幹部)                           
 
 
これ『「ハンセン病控訴見送りは参議院選にらみ決断か」首相の狙い見え隠れ』と題したあるローカル紙の10日の朝刊記事である。
 
 
ハンセン病患者に対する安倍首相の判断は素晴らしく妥当な判断と敬服したい。がしかし、その動機が真の理解から来ているかと言えば、この時期の判断としては素晴らしく不純に満ちていると言わざるを得ない。何故ならそうでないとするならもう少し早期に解決してた筈だからだ。長期政権をした割には、良く考えればかなり独善的だからだ。それは自らは自民党総裁3選で任期が切れるにも拘らず、後任への縛りをかけるような、今後10年消費税は10%以上を必要とせず等に言及したり、今回のハンセン病訴訟の非控訴の考えは、今後の同類訴訟への影響を考えたのか、何か閣内深考が考えられない。日本は米国と違い政権政策のゆるぎない継続性が担保される国、即ち官僚主導の国からすれば、その官僚の宰相への信頼性がかなり揺らいだ今回の非控訴の決断である。いづれにしても長年苦しんだハンセン病患者にとっては、この参議院選が仏に見えたと言っては失礼か。