日本経済への朗報とされた円安がここに来て不安材料になっている

 かつて日本経済への朗報とされた円安が、ここへきて不安材料になっている。外国為替市場の円相場は対ドルで約1カ月間に7円近くも値下がりし、6年ぶりとなる1ドル=109円台を記録した。
 日銀の黒田東彦総裁は「大きな問題があるようには思っていない」と容認しているが、産業界や国際金融の専門家の間では、負の側面を警戒する声が目立ってきた。円安を促してきたアベノミクスだが、副作用にもっと目を向けるべき時だ。
 急激な円安・ドル高の最大の理由は、日米間で鮮明になってきた金融政策の方向の違いである。
 米国の中央銀行連邦準備制度理事会FRB)は、景気下支えのために続けてきた量的緩和を来月で終了する。一方、日銀の量的緩和は出口が見えないばかりか、追加策を期待する向きすらある。量的緩和を終えたFRBは来年半ばにも利上げすると見られており、より高い利回りのドルに人気が集まるとの思惑からドル高・円安になっているのだ。
 株価に注目すれば、円安は引き続き朗報のように映る。日経平均株価は6年10カ月ぶりの高値だ。ただ、世界的なカネ余りを背景にした米欧の株高に連動している面が大きい。
 好調な株式市場に対し、実体経済の調子は、日米欧とも芳しくない。日本の場合、消費増税の影響が懸念される中、食品から燃料まで輸入品の物価高につながる円安が、消費や企業収益を一段と圧迫するのではないかと心配されている。
 気がかりなのは、円安をもたらしている構図が当面続きそうな点だ。
 米FRBは、来月で量的緩和を終了しても、ゼロ金利は「相当な期間」維持すると説明する。だが、金融政策を決めるメンバーの政策金利見通しを見ると、来年半ばあたりから着々と金利を上げ、2年半?3年で4%前後まで戻す道筋が透ける。
 もちろん経済の動向が左右するためシナリオ通りに進む保証はないが、このままでは日米の金利差は開き続ける可能性が高い。
 最も警戒すべきは、円安が日本の長期金利の高騰(国債価格の下落)につながる可能性だろう。一段の円安は貿易赤字をさらに増やし、慢性的な経常赤字を招く恐れがある。巨額の財政赤字を抱えた日本が経常赤字も増やすことに市場が注目した時どうなるか。国の借金(国債)の返済能力が不安視されれば金利が急騰し、日本経済に大打撃を与える。
 円安による物価高でインフレ率の目標を達成したとしても、経済が元気になっていなければアベノミクスは不合格だ。だからといって追加の金融緩和は一段の悪い円安を招くばかりで、論外である。

これ「社説:円安の進行 負の側面を警戒しよう」と題した毎日新聞09月21日02時35分の報道記事である。

 私は経済には素人だが、この毎日新聞の社説は理解できるし、全く持ってその通りと私自身感服した次第である。よって論評はする事無い。