人を喰った公立小中学校の校舎の耐震化率の進行度合いの発表

 文部科学省は7日、福島県の一部を除く、公立小中学校の校舎や体育館など計12万460棟の耐震化状況(4月1日現在)を発表した。
 耐震性が確保された施設の割合(耐震化率)は88・9%と、前年比で4・1ポイント増えた一方で、東日本大震災で落下事故が相次いだつり天井が6554棟に設置されていることも分かった。
 発表によると、耐震化率は静岡(99・2%)、愛知(99・0%)、宮城(98・7%)、東京(98・2%)などで高い一方、広島(68・6%)、山口(74・8%)、愛媛(75・6%)など7道県は8割未満だった。
 耐震性が不十分か診断未実施の施設は1万3412棟で、前年より5096棟減。都道府県別では、大阪(1331棟)、北海道(1129棟)、千葉(891棟)の順に多い。
 

これ「全国の公立小中学校、耐震化率は89%…文科省」と題した8月8日  読売新聞の報道である。
 

 私は驚いたというより、役所・マスコミの本末転倒振りに呆れた。何故なら、じゃあその建物の計画時にやった事全てムダだったと告白するようなものであったからである。じゃあその時に掛かった費用はどうなるのだ?と正直思った次第である。余りにも無責任と思ったからである。
 私は建築の技術者の端くれとして、非常に腹が立っている。何故なら、当時その建物を設計した者はメンツ丸つぶれである。私には耐えられない。今の建築設計技術はもはや人間はその計画の唯の一員に過ぎなくなっているのが現状である。そう全てがコンピューターと言う機械がやってくれると言っても過言ではないのである。それも田舎のパーソナルコンピューターと言うよりはもう企業の一員と位置付けられる汎用大型コンピューターがすべてやってくれて、人間は基本的な基礎情報データを入力すれば済む時代になっているのである。設計図面はCADシステムで書き、構造計算も全て機械が安全なる計算データを示してくれて、安全を確かめ提供してくれているのである。
 私が指摘してるのは、その当時その建物の設計は殆ど今と違って、人間が一から線を引き、一から構造の計算をし安全を確かめて完成させた筈である。それを現在例え如何に地震条件が変わったとは言え、当時の技術者は自信をもって出した結果であった筈である。それを今になって耐震化とは。当時耐震の構造計算をした設計者はこの事に異議を申し立てても良い筈である。何故なら例え地震条件が変わろうとも、構造計算の計算結果は全て切り捨て計算だからである。何度の計算回数かは調べないと解からないが、少なくとも切り捨て計算してる限りは、結果の安全は四捨五入計算よりは、数倍以上の安全数値が出た筈である。もっと設計者は自信を持って名乗り出て当局に進言しても良いのではと私は思う。さすればもしそうして安全を確かめ、大丈夫だとしたら、わざわざ大金をかけて耐震化工事をやらなくてもと思ったからである。とにかく行政は何でも金をかけてやりたがるきらいがある。あくまでその費用は市民の税金だ。行政は自分の腹が痛まないからと言って、簡単に考えられては困るのである。行政の事業に時効は無いと思わねばならない。マスコミもそれに従順してはならないのである。