山口県知事選挙に見るシングルイシューの危険さ

 山口県知事選で29日、自民、公明両党が推薦する元国土交通審議官、山本繁太郎氏(63)が勝利したことで、両党幹部からは「反原発、反消費税増税、反既成政党という逆風の中の選挙だったが、自公両党への信頼感が表れた結果だ」(自民党田野瀬良太郎幹事長代行)などと安堵(あんど)の声があがった。
 「有権者は風頼みの選挙に付和雷同せず、真剣に県政のことを考えてくれた。民主党に政権を与えた(前回衆院選の)『うっかり1票、がっかり4年』の結果、どうなったかと考えた有権者もいるだろう」
 自民党河村建夫選対局長は産経新聞の取材に上機嫌でこう語った。
 安倍晋三元首相も同夜のツイッターで「地道な政策を訴え続けたことが勝利につながった。反原発という主張だけの候補には山口県の明日は託せないという冷静な判断を県民は下した」とコメントした。
 公明党山口那津男代表は産経新聞の取材に対し「かなり追い詰められるという予測もあったが、県民の冷静な判断の結果が出た」と安堵の表情。その上で「衆院解散を求める声が強い中で、注目された知事選だった。国政への影響も出るだろう」と述べた。
 ただ、争点として注目された原発の是非などエネルギー問題や、米軍岩国基地に搬入された垂直離着陸輸送機MV22オスプレイへの対処など政治課題はいずれも先送りされた格好だ。
 選挙戦では「脱原発」を掲げたNPO代表、飯田哲也氏(53)が橋下徹大阪市長が率いる「大阪維新の会」でエネルギー分野のアドバイザーを務めていたことから、事実上の「既成政党vs維新」の構図になるともみられ、全国的な注目も集めた。
 自民党閣僚経験者は「山本氏が勝ったことで維新の勢いがどうなっていくか。自民党が信頼を取り戻したとは言い切れない」と述べるにとどめた。
 一方で、みんなの党渡辺喜美代表は飯田氏が善戦したとして「新しい政治体制の始まりを意味している。次の衆院選の予兆が表れている」と述べた。
 
これ産経の報道である。

 
 正直当事者は怖いと思った事だろうと思う。
 
 近年の選挙は、どちらかと言えば、一時期の小泉純一郎元首相が得意としていた、1対不特定多数の劇場型と言われる、無党派層の引付を狙った選挙形態が、未だに残されているのだろう。しかし、民主党オウンゴールによって、またもや古い地道などぶ板選挙に戻ったと思いきや、今度の山口県知事選挙を見るにそうではないようである。どちらかと言えば、シングルイシューではまだ危険だと県民が判断した結果ではないだろうか。昨年3.11の大震災での東電福島第一原発事故以来、「脱原発」は今後の日本国民にとっての最重要課題として心に刻まれてしまった。が「脱原発」によるその「代替エネルギー」の確保無しには共存も出来ない事を返って証明したような選挙だったと言えなくもないのである。ましてや今先日来の「消費税増税法案」である。受益を受ける県民にとって、生きていくための手段としては、「脱原発」だけでは信用出来なかったのであろう。やはりそれだけでは無いオールラウンドプレイヤーを期待したのではないのかと私は感じた。ある意味県民は賢いとも思った。安倍晋三元総理は「地道な政策を訴え続けたことが勝利につながった。反原発という主張だけの候補には山口県の明日は託せないという冷静な判断を県民は下した」とコメントした事は確かに教科書的談話に思えるが、意味は全然違うのである。
 先日の28日みどりの未来より地域政党緑の党」が誕生したが、この「脱原発」を前面に打ち出し、今後の参議院選挙より国政に打って出る腹づもりらしいが、よほど慎重に考えないと、それこそシングルイシュー的選挙になってしまい、何か時に便乗した、不純な選挙運動に見え、私にはどうもしっくりこないのである。国民はそれほどバカでは無い事を悟るべきではと思った次第である。