大震災仮設住宅建設地元発注わずか、雇用につながらず

 宮城県内で、東日本大震災の被災者向け仮設住宅約2万3000戸の建設をめぐり、地元業者がいら立ちを募らせている。県発注分は大手メーカーが中心で地元の受注はごく一部にすぎず、被災市町も発注を県に委ねるケースが多いからだ。「地域を顧みていない」と不満を示す地元業者に対し、県や被災市町は「スピード重視」「手が回らない」と説明。地元産業の活性化と避難者の早期入居のはざまで、あつれきが生じている。
 「現状は職人の生活再建、雇用確保につながっていない」。建設業の職人でつくる宮城県建設職組合連合会の山崎忠夫会長らは6日、気仙沼市役所を訪れ、菅原茂市長に仮設住宅の県内業者への発注を要望した。
 震災後、連合会は県内の住宅会社や建築士会と連携し、木造の仮設住宅を受注できる態勢を整えてきた。被災自治体に働き掛けを続けてきたが、反応は鈍い。
 仮設住宅の発注は当初、県が一元管理していた。業者選定は資材調達と一括で社団法人プレハブ建築協会(東京)に委任。地元業者の元請け受注はごく一部にとどまった。
 県は4月、発注の一部を被災市町が独自にできるよう方針を転換した。全国の建設関係団体などでつくる「すまいづくりまちづくりセンター連合会」(東京)を通して地元を含む77社のリストを作り、登録業者に限り受発注を認めた。
 現実に、リストに載る77社に市町が発注するケースはほとんどない。
 リスト入りした仙台市内のある建設会社は100人以上の作業員に声を掛けて受注に備えたが、空振りが続いた。発注した資材はぎりぎりのタイミングでキャンセルしたという。社長は「地元業者だとメンテナンスも行き届くのに、今回はただ振り回されただけだ」と憤りを隠さない。
 今後、応急修理、復興住宅などの需要が本格化するが、地元業者の表情はさえない。別の建設業者は「県内は大手住宅メーカーなどの草刈り場になる。このままでは地元の雇用につながるかどうか」と焦りを口にする。
 地域経済を支えてきた自負があるだけに、地元業界の不満は募る。連合会の山崎会長は「地元発注をすれば、仕事が地域の末端まで行き渡る。地元活用をもっと考えてほしい」と訴える。
<県強調「スピード重視」>
 「プレハブ建築協会に一括発注したことで、5月末までに1万戸という国土交通省の目標を達成できた」。村井嘉浩知事は7日、県議会本会議の一般質問で、仮設住宅について「スピード重視」の成果を強調した。
 県は、77社のリスト作成と提供をもって地元業者への発注を被災市町に委ねた形だが、自治体側にその余裕はなく、多くは県に任せているのが現状だ。
 菅原茂気仙沼市長は「県発注分の用地を探すので手いっぱいの状態。市としては土地を探す作業に専念したい」と、市による独自発注に否定的な考えを示す。
 ある自治体の担当者は「担当課も仮設住宅の建設だけが業務ではない。多少の弊害があっても、発注は県にやってもらおうというのが本音だ」と打ち明ける。
 業界の不満の高まりを受け、地元業者を活用した仮設住宅建設に乗り出す自治体も出てきた。南三陸町は約50戸を地元業者に発注する方針だ。
 佐藤仁町長は「県に任せておけば、確かに楽だ。それでも地元に仕事がないのであれば、やらざるを得ないという政治判断だ」と説明する。
 地元業者の活用は7日の県議会でも議論の的になった。村井知事は「復興住宅の建設では市町と連携しながら、地元業者の積極的活用に配慮していきたい」と約束し、理解を求めた。 との地元紙河北新報の報道である。

 これは我々建設業者に言わせれば当たり前の事である。私は当然だからこれで良いと言ってる訳では無い。自治体・発注者側から言わせればと言う事である。
 
 まず、自治体・発注者側が言ってる「スピード重視」とは何か。これは、大手ゼネコン等に発注しておけば、いろんな意味でスムーズな施工体制が組めるからである。時には発注側の仕事さえも代行してくれる。何故か、それは経験豊富な人材がそろっているからである。これがもし地元の経験に乏しい零細業者等になれば、工事完成までに、地元業者育成の名のもとに、とてもじゃないが発注者側の担当者は、地元の経験に乏しい零細業者の育成で教えている暇もなければ、時間もない。これがその意味である。内情を言えばそのために、地元の経験に乏しい零細業者は下請けと称し、実際は下請け以下の待遇で大手ゼネコン等に美味い汁を持って行かれているのである。
 
 私はここ10年のいわゆる小泉体制よりの建設不況において、この地震発生に、即座に大手ゼネコンはこれで不況トンネルを抜け出せると感じた。何故ならここ10年の建設見通しはそれこそ何10兆円になるか解からないからであるし、事実マーケットも建設株が下げ止まりになった。
 我々に言わせれば、この大手ゼネコン等はハイエナに等しい。彼らは例えば1億円の工事を受注したとしよう。その大手ゼネコンが私の会社に下請けに出そうとすると、その大手ゼネコンと私の会社との下請契約金額は恐らく7千万円となるだろう。何故か営業費と称する一般管理費を30%程度請求されるであろう。それが妥当かどうかは関係ない。彼らは、もし私の会社が20%にしなければ同意しないと言っても、じゃあそうですかと断られるのがオチである。彼らには全国に協力業者が何10万と居るのである。発注自治体から何とか地元業者をと言われているから、仕方なく、全国の安く使える業者を捨ててまで頼んでいるという認識なのである。
 この7千万円でも私の会社は利潤がないから、もっと安くやってくれる業者を探して、最終的に500万円当社で取りその下請業者には6千500万円でやって貰う事になる。大手ゼネコンの地元での担当者達の経費を別にすれば、この工事は1億円が一瞬にして6千500万円の工事になる。これが大手ゼネコンと地元業者のカラクリである。
 いづれにしても、この建設不況で明日をも知れないと言われている大手ゼネコンには神風であると言えよう。危ないと言われているある大手ゼネコンの首はこれで繋がった、そして言ってはいけないが、不謹慎であるが、菅首相はこの大地震で「これであと2年やれると」と言ったが、大手ゼネコンは祝杯を挙げたとの風評を聞いた。これが現実である。