東日本大震災時に宰相だった民主党の菅直人首相は、戦後最低の首相との評価だったがそれに違(たが)わず、現在のコロナ状況では安倍晋三首相もそれを超える戦後最最低の宰相と言える

 今、日本だけでなく、世界中が新型コロナウイルスの猛威の中、多数の人命が危機にさらされ、不安と恐怖に直面している。
 日本に限って言えば、あの2011年3月11日の東日本大震災と、それに続く福島原発の水素爆発によって、国家崩壊すら想起させた大惨事に続いての危機である。

 ◆震災が延命させた菅政権
 これほど短期間のうちに2度も「悪夢」のような事態に直面するとは、誰も想像しなかったに違いない。
 あの東日本大震災の時、政権の座にあったのは民主党菅直人首相だったことは、まだ多くの人が記憶にとどめているだろう。
 そして、今は自公連立による安倍晋三政権。実は、この二つの危機直面政権、見方によっては、奇妙な共通点がある。
 東日本大震災の直前、菅政権はすでに風前の灯だった。唐突な消費増税提起、自身の外国人からの献金問題、尖閣諸島での中国漁船衝突問題への対処などに批判が高まり、内閣支持率は20%台にまで落ち込み、民主党内からも「菅おろし」の動きが加速化していた。
 ところが、あの大震災が発生、辞任問題は棚上げとなり、結局、菅政権は状況がある程度落ち着いた2011年9月まで「延命」したという経緯がある。
 確かに、あの時の菅政権の対応には、さまざまな批判がある。安倍首相が事あるごとに「悪夢のような民主党政権」とこき下ろす時、多くの国民は「あの政権」を思い出すのではないか。では、その安倍政権はどうなのか。

◆いくつもの「アキレス腱」
 新型コロナウイルスの問題が発生する前、安倍政権はかなりの苦境に追い込まれていた。それこそ「アキレス腱」になりかねない問題をいくつも抱えていたことは事実だ。
桜を見る会」の疑惑は収まるどころか、広がる一方だったし、河井克行、案里夫妻をめぐる公選法違反問題も政権を直撃しつつあった。
 加えて「官邸の守護神」とも称される人物の強引な定年延長問題も、政権批判を引き起こしていた。菅政権ほどではないにしても、内閣支持率もじり貧状態。
 そこに持ち上がったのが、新型コロナウイルス問題である。加えて、森友問題で自殺に追い込まれた近畿財務局の赤木俊夫さんの遺書、手記の公開は、もしもコロナ問題がなければ、政権を崩壊させるほどの材料となっていたかもしれない。
 今はコロナとの闘いが最優先だが、そう遠くない時期に収束を迎えることになれば、安倍政権にとって、これらの問題が再び、鋭い刃となって、襲い掛かる可能性は否定できない。
 (時事通信社「コメントライナー」2020年3月31日号より)

 【筆者紹介】政治アナリスト
 伊藤 惇夫(いとう・あつお) 1948年生まれ。自民党本部の広報担当、新進党総務局企画室長、民主党結成・事務局長などを経て2001年より政治アナリスト。政界の裏事情に通じ、明快な語り口に人気が高い。テレビ・ラジオ出演のほか、「国家漂流」「政治の数字」「情報を見抜く思考法」「政党崩壊」など著書多数。


これ『安倍氏と、9年前に危機に直面した「菅首相」との奇妙な共通点』と題した時事通信社「コメントライナー」2020年3月31日号の記事である。


戦後最大の東日本大震災時に宰相だった民主党菅直人首相が戦後最低の宰相だった事を考えれば、この記事から考えると安倍晋三首相もそれを超える戦後最最低の宰相という事にもなる訳だ!