原発被害に見る今後の東京電力

 東京電力は27日、『「放射能1千万倍」は誤り 東電、違う物質と取り違え』と題し、福島第一原発2号機のタービン建屋内のたまり水から通常の炉内の1千万倍の放射能を検出したと発表後、夜になり「違う物質と間違えた」と会見、さらにその訂正を28日未明に再訂正した。26日にもタービン建屋で計測した場所や数値を大幅に訂正した。情報を共有できず、高い放射線の場所で関連会社員が被曝(ひばく)する事故も起きた。情報伝達の不備が、混乱に拍車をかけている。
 2号機のたまり水を調べた際、減り方が極めて早いヨウ素134という物質について採取時点の放射能を逆算すると、1ccあたり29億ベクレルとなった。通常の1千万倍にあたる。これほど大量に検出されれば、炉内で核分裂反応が起きている可能性すらある。原子力安全委員会は再評価するよう東電に求めた。
 東電が再度測ると、ヨウ素134なら急速に減るはずの放射能が、さほど減っていなかった。東電は27日夜、「減り方がもっと遅いコバルト56と間違えた可能性がある」と発表。しかし、28日未明の会見で「コバルト56ではなくセシウム134だった」と再び訂正した。午前の会見で「検出した」と発表していた別の2種類の物質も、実際には出ていなかったという。
 武藤栄副社長は「(分析した)内容を吟味する過程で十分でないところがあった」と話した。
 東電の広報担当者は、「測定結果が不確実な可能性があっても、公表しなければ、後から『隠していた』と批判を浴びる」と悩む。経済産業省原子力安全・保安院も、同じ理由で公表を優先したとしている。 とした報道があった。
 
 私はこの報道を見てとっさに、意味が少し違うがイソップ童話の狼少年を思い出した。皆さんすでにご存知のように、いつも一人ぼっちで淋しい羊飼いの少年が、いたずらで狼が来てもいないのに、「狼が来たぞ~」 と来る日も来る日も嘘をついて叫んで大人を驚かしていたが、ついには本当に狼がやって来たため少年は 「狼が来た」 と必死で叫ぶが、信用されなかった。と言う話である。
 
 今回の東電の発表は今後に、その信憑性を無くし、以後の東電の発表には我々国民は一切信用出来なくなった。こうなれば国の発表を信じるしかないが、当事者側は要らぬプライドを捨てて我々国民に正直に事実を伝えてもらいたい。
 
 事ここまで及んでは、もう東電の再建は無理で、国営でしか無いと思われる。あまりに膨大な事故補償、とても1民間企業に負える金額ではない。例え国に任せても東電の自己責任は消えるものではないのである。
 私は今だから言えるが、原子力発電所を、何故そっくりコンクリートの水槽の中にすっぽり造らなかったのかが悔やまれてならない。そうしておけば最悪海水ですっぽり満たせばこんなにも被害が広まらなかった筈である。、最初に真水ではなく海水で覆ってしまっていれば、こんなにならなかったかも知れない。東電の経営維持のための廃炉が恐ろしくて、の一瞬の迷いが被害を分けた原因だとしたら、付近住民の一生がこのためにフイになったとしたら、こんな悲劇は二度と要らない。