任期を1年以上残して衆議院を解散する意向を固めた安倍首相。なぜ今、解散なのか。
安倍首相が解散の意向を固めた大前提としては、「支持率が回復した」という背景がある。支持率の推移をみてみると、森友・加計問題などで一時は31.9%まで低下したが、内閣改造のあとは「支持」が「不支持」を若干上回るまでに回復している。
その上で「今、解散する」と判断したのには、3つの理由がある。
(1)森友・加計問題の追及の回避
(2)野党の混迷
(3)北朝鮮情勢
森友・加計問題をめぐっては、今月28日から始まる臨時国会で。野党が首相らを追及する意向を示していて、予算委員会などで議論される見通しだった。この28日に解散してしまえば、こうした追及を回避できるということになる。
そして、野党・民進党の混迷がある。民進党は1日に代表選を行い、前原新体制の下、党の顔ぶれを刷新した。しかし、一時、幹事長に名前が挙がった山尾志桜里議員が“不倫疑惑”で離党。これを機に、笠浩史議員や後藤祐一議員らの“離党ドミノ”が起きている。民進党の体制が不安定なうちに選挙に持ち込もうというわけだ。
さらに、新党結成をめぐっては、16日に若狭勝議員が候補者を養成するための政治塾をスタートさせたばかり。この動きを応援している小池知事が都議選で圧勝しているだけに、今後、“脅威”になるとの見方があり、新党の準備が整わないうちに選挙を、という事情もある。
北朝鮮情勢については、先週、採択された新たな制裁の効果が出るのは数か月先になる。それだけに安倍首相としては、年末にかけて情勢は今以上に緊迫するとみている。ミサイルが発射される可能性がしばらく変わらないのであれば、「だったら情勢が緊迫する前に」ということだ。
こうした3つの事情を踏まえた結果、今がチャンスだと考えたわけだが、野党からは批判の声が上がっている。
与党内では「選挙に勝つためにはダメージが少ない今しかない」という意見もあるが、中には厳しい批判も出ている。ある自民党ベテラン議員は「“安倍の安倍による安倍のための解散”だ。加計問題の国会審議を避けようとしているのが本音で説明責任なんて果たすつもりはまったくない」と批判している。こうした賛否が渦巻きながらも、「すわ選挙戦へ突入!」となっている状況だ。
今回の結論は「安倍首相、説明を」。このタイミングでの解散総選挙を、私たちはどう受けとめるだろうか。安倍首相は、解散について国連総会から帰国した後、最終的に判断するとしているが、仮にきちんとした説明がないなら、それこそ有権者を軽く見ているとの批判を免れないだろう。
「国民に何を問うための解散なのか」「大義は何なのか」――私たちは、安倍首相の説明をしっかりと聞かなければならない。
これは「“急な解散”首相を動かした3つの理由」と題した2017年9月18日 19時20分の日テレNEWS24のニュースである。