少なくても衆議院の解散には何でやるのかの意味が必要だが、今回はその大義は無い!

 安倍晋三首相が臨時国会冒頭にも衆院を解散する公算が大きくなった。内閣支持率が復調する一方、民進党は混乱が続き、小池百合子東京都知事に近い議員の新党も準備が遅れており、早期解散で機先を制する好機だと判断した。しかし政権維持を優先する解散に「大義」は乏しく、野党は「加計学園などの疑惑隠しだ」とさっそく批判。さらに北朝鮮情勢が緊迫する中で政治空白が生じれば、かえって国民の反発を招きかねず、首相の思惑通りに展開するかは不透明だ。
 首相は早期の衆院解散について「大義なき党利党略であってはならない」(自民党萩生田光一幹事長代行)と、国民に説明する機会を設けて理解を得たい考えだ。しかし政権は8月3日の内閣改造で、自称「仕事人内閣」を発足させたばかり。通常国会からの「おごり」批判を受け、しきりに反省をアピールしてきた首相だが、解散なら国会で「丁寧に説明」する機会はまた先送りされる。経済最優先の看板も、具体的な成果を上げる時間などなく、「大義」を見いだす方が難しい状況だ。
 これまで政府・与党内では、解散を巡る綱引きが続いてきた。想定された時期は、臨時国会中を除けばいずれも来年。自民、公明両党などの「改憲勢力」が衆参両院の3分の2を占めているうちに憲法改正を発議し、その後に解散するシナリオだった。しかし首相はインド訪問から帰国した15日午後、早期解散の意向を関係者に伝え、周辺の慎重論も押し切った。
 複数の政府・与党関係者によると、首相周辺の菅義偉官房長官らは慎重論を唱えていた。自民が議席を減らして改憲勢力が3分の2を下回れば、首相の悲願の改憲も見通しが立たなくなる。また公明党の支持団体・創価学会は7月の東京都議選でフル回転したばかりで、「休息がほしい」と首相官邸に伝えていた。
 これに対し麻生太郎副総理兼財務相は、首相時代に早期解散を見送り、2009年の「追い込まれ解散」で政権を失った苦い経験がある。首相は10日、早期解散を主張する麻生氏を私邸に招き意見交換。麻生氏は「首相の専権事項なので、どこで解散すると言っても止めません」と伝えた。
 翌11日、首相は官邸で二階俊博幹事長と公明党山口那津男代表とそれぞれ会談。公明党改憲勢力に数えられるが、9条改正には慎重で、山口氏は7月以降に「常在戦場の心構えだ」としきりに「解散風」を吹かせていた。創価学会の意見とは温度差があったが、党幹部は「代表は、改憲勢力が3分の2を下回れば、改憲論議を進めなくてすむという思いもあったのだろう」と解説する。
 一方、政権を取り巻く状況は8月の内閣改造以降に上向いた、というのが自民党内の認識だ。内閣支持率は回復に転じ、党内に再び緩みさえのぞいていた。逆に民進党は離党者が止まらず、共産党との選挙協力も整わない。新党はまだ準備の入り口にある。
 このため負け幅を小さくしたい自民党内に「今しかない」と解散を後押しする声が拡大。首相に近い議員は「3分の2を下回っても小池氏らと組めば改憲の望みはある」と話す。
 さらにこのまま臨時国会が始まれば、加計問題などで政権批判が再燃するのは目に見えていた。自民の閣僚経験者は「解散なら、加計問題は説明する必要がなくなる」と漏らした。
 だが党内では「国会から逃げて、本当に支持されるのか」と不安もある。首相の応援団を自任する山本一太元沖縄・北方担当相は、ブログで「臨時国会をやらずに総選挙をやることを国民がどう受け止めるかだ」と懸念。「ポスト安倍」の一人、自民党石破茂元幹事長は毎日新聞の取材に「解散して何を問うのか、首相が語られると思うので注視したい」と語った。ある党幹部は「反省して働く姿も見せずに解散すれば、一気に国民の視線は変わりかねない」と警告した。【西田進一郎】
 
 ◇「疑惑隠し」野党が批判
 早期解散方針に対し、野党側は一斉に政権批判のトーンを高めた。民進党前原誠司代表は17日、党本部で「まさに『自己保身解散』に走っているとしか言えない。北朝鮮の状況を全く度外視し、国民の生命財産そっちのけ。無責任そのものだ」と記者団に語った。また、首相が改造内閣を「仕事人内閣」と呼んだのを念頭に「仕事をする前に解散する。何の成果が出ているのか」とも指摘した。
 民進、共産、自由、社民の野党4党が憲法に基づいて6月に行った臨時国会召集の要求が放置されたあげくの解散方針。民進枝野幸男代表代行はツイッターで「憲法上の義務に違反し、ようやく召集したら質疑もせず解散する。疑惑追及がイヤで逃げたと言われて当然だ」と批判した。共産党小池晃書記局長も「明白な憲法違反」と同調。「露骨な党利党略で、ここまで大義のない解散はかつてない。疑惑追及を恐れた『追い込まれ解散』とも言える」と指摘した。
 ただ、政権批判の受け皿作りで足並みの乱れが続く。共産党志位和夫委員長が選挙協力を前原氏に呼びかけるが、共産党を警戒する前原氏は消極的だ。
 前原氏は17日に、民進、自由、社民の3党党首会談を開き、「臨時国会に向けた統一会派結成」を提案する予定だった。共産を除く枠組みを作ることで、共産との協議を優位に進める思惑だったようだが、首相方針で機先を制された。中止の理由を前原氏は「会派の議論をする状況ではなくなった」と説明したが、野党が連携して「受けて立つ」(前原氏)構えを見せる好機を逸した。
 民進党内の混乱も続く。幹事長起用を内定していた山尾志桜里衆院議員が週刊誌報道で離党に追い込まれ、将来を悲観しての「離党ドミノ」も発生。前原氏の代表就任後、既に3人が離党届を提出した。民進重鎮は「野党は首相に足元を見られている。『党利党略』もできない政党しかない」と嘆いた。【光田宗義、樋口淳也】
 
 
これ「<衆院解散強まる>問われる大義名分 公明、改憲回避の思惑」と題した毎日新聞9/18() 6:40の配信記事である。
 
 
存在感のない野党がいないとこうなる良い見本であるが、しかし、良く舐められたものである。それだけ安倍晋三さんに力があったと言う事か。これだけ政権が政権の最高権力者の妻まで巻き込んだ私的な不祥事でも、国民不在の政治が続けられしかも、政権の最高権力者だけに許されて立法機関が解体される、私は理屈では解っていながら釈然としない思いだけが残った。消化不良と思えて本当に苦しい。(笑い) 最近の安倍さん見てると、テレビでのあの聞こえ難い滑舌の甲高い声が耳に障り、気持ち悪くなり、リモコンのスイッチを切ってしまう毎日である。それ程私は安倍さんが嫌いになってしまった。毎日の政府会見を行う菅官房の顔も同じである。それに日銀の藪を睨んでいるような黒田総裁が出て来ようものなら、本当に小憎らしく言葉で形容し難い気持ちになってしまう。そんな中での安倍首相の解散を思わせる発言である。今政治状況が解散が出来る環境に無いが、いくら専権事項の首相の言葉であっても、今何のための解散なのか、上記のように大義は無い!