安倍首相の公務員特別職としての倫理規定違反を黙認して安倍政権を守った財務省佐川理財局長を国税庁長官に栄転させた首相官邸 国民への気遣い等何も無し これが政権崩壊の兆しか?

国民から税金を徴収する組織のトップに、国民への説明を拒絶し続けた人物をすえる。国税庁長官・佐川宣寿氏の登用をめぐって、「官邸政治」の歪みが明らかになっている。しかしこの事実を正面から批判する新聞はわずかだ。それでいいのか――。
 
■各紙の社説はなぜ取り上げないのか
 これこそ官邸政治の弊害ではないか。そう指摘しても過言ではない事態が起きている。政府が74日に公表した国税庁の長官人事のことである。国会で森友学園問題を追及する野党の質問に対し、繰り返し答弁に立ち、調査を拒否し続けた財務省の官僚を国税庁長官に据えた。「安倍政権を守った論功行賞だ」との非難の声が上がり、全国紙では朝日新聞だけが社説で厳しく批判した。
 75日付の朝日の社説から詳しく見ていこう。
 見出しで「国税長官人事 政権の体質の象徴だ」と安倍政権の本質をズバリ指摘する。そのうえで「新しい国税庁長官に佐川宣寿・財務省理財局長が5日付で昇任する。森友学園問題を追及する野党からの国会質問に対して何度も答弁に立ち、徹底調査を拒み続けた人物だ」と書く。
 さらに佐川氏登用の経緯について「佐川氏は大阪国税局長や国税庁次長を歴任しており、麻生財務相や菅官房長官は『適材適所』と口をそろえる。役所の通常の人事異動の発想で財務省が案を固め、首相官邸もすんなり認めたのだろう」と簡単に説明する。
■麻生財務相の言葉にだまされてはならない
 実際、財務省の理財局長から国税庁の長官に就くのは佐川氏で4代連続。そのためか財務省内で今回の人事は「順当だ」との見方が強い。
 この観点から麻生太郎財務相4日の財務省人事の発表の席で、佐川氏について「丁寧な説明に努めてきた。特に瑕疵(かし)があるわけでもない。国税庁次長や大阪国税局長といった税の関係をいろいろやっているので適材だ」と強調していた。
 しかし国民は財務省内での評価や麻生財務相の言葉にだまされてはならない。
 朝日社説も「安倍政権には大事な視点が抜け落ちていないか。納税者、さらには国民がどう受け止めるか、という問題である」と主張し、具体的に「大阪府豊中市の国有地はなぜ、周辺と比べて9割安で森友学園に売られたのか。安倍首相の妻昭恵氏を名誉校長とする小学校の建設用地だったことが、財務省の対応に影響したのではないか。森友学園問題では、国民の財産を巡って不透明で不公平な行政が行われたのでは、と問われ続けている」と畳み掛ける。
■国民に真摯に向き合う姿勢からほど遠い
 さらに「佐川氏はどう答えてきたか」と前置きしながら「森友との交渉記録については『売買契約締結で事案は終了しているので破棄した』などと繰り返し、職員への調査を求められても『いちいち指摘を職員に確認することはしていない』と突っぱねた。国会議員とその背後にいる国民に真摯(しんし)に向き合う姿勢からほど遠かった」と指摘する。
 説得力のある書き方である。ここまで書かれると、安倍政権側は何も言えなくなってしまうのではないだろうか。
 しかも森友学園問題では、同学園が大阪府や国から補助金を不正に受け取った詐欺などの疑いがあるとして大阪地検特捜部がすでに強制捜査に乗り出し刑事事件化している。この秋には国有地の格安払い下げの問題にも捜査のメスが入るはずである。
 それゆえ安倍政権にとって森友学園問題は命取りになりかねない大きな問題なのである。
■「とにかく官邸の意向に沿わねば」の空気
 朝日社説はその後半で「(国民から税金を徴収する絶大な権力を持つ)組織のトップに、国民への説明を拒絶し続けた人物をすえる。理解が得られるとは思えない。麻生、菅両氏、そして安倍首相はどう考えているのか」と力説し、「佐川氏のかたくなな態度の背景に政権の意向や指示があったとの見方は多い。今回の人事についても『森友問題で政権を守った論功行賞』と見る向きもある」と推測し、「『とにかく官邸の意向に沿わねば』との空気が官僚の間でさらに強まることが心配だ」と主張する。
 朝日が好む主張ではあるが、新聞社の社説を10年以上にわたって書いてきたこの沙鴎一歩も「なるほど、その通り」とうなずいてしまう。
 そして最後の「調べない。説明しない。押し切る。政権はそうした体質を改めるべきだ。疑問が依然として残ったままの森友学園問題への対応は、試金石のひとつになる」とのだめ押しもそれなりに納得できる。
■全国紙では朝日社説だけ
 次に国税庁の長官人事の問題について他の新聞社の社説はどう書いているかを見てみる。
 ただ残念なことにこの問題を全国紙で社説に取り上げているのは、714日時点で沙鴎一歩が調べた限りでは朝日だけである。
 地方紙では78日付の愛媛新聞が「疑惑隠しへの露骨な『論功行賞』」との見出しを掲げ、こう主張している。
 「国民にとっては不誠実極まりない国会答弁でも、政府にとっては『非常に頼もしい』と映ったのだろう。疑惑隠しへの露骨な『論功行賞』だ。しかも国民から税金を徴収する税務署を束ねる組織のトップ。国民の財産である国有地の売却で公正さに疑問を抱かせた理財局の責任当事者が、次に就くべきポストとは到底思えない」
 朝日社説と同じ主張ではあるが、朝日以上に「次に就くべきポストとは到底思えない」と書くなど安倍政権を厳しく批判している。
愛媛新聞は外務省の更迭人事にも言及
 さらに「第2次安倍政権下の20145月、内閣人事局が各省庁の幹部人事を管理する仕組みができ、政権に近い幹部の登用が進んだ。逆に、菅義偉官房長官が創設を主導したふるさと納税への規制緩和に反対した総務省幹部の昇任が拒否されるなど、官邸の意向に逆らった幹部が冷遇されるケースもある」と今回の朝日社説が取り上げていない点もしっかりと指摘している。
 また「先月、森本康敬釜山総領事が退任となった。約1年での交代は異例。安倍政権の対韓外交を私的な会合で批判したことがとがめられての、事実上の更迭とみられる」と外務省人事でも官邸の意向とみられる更迭人事があったことを挙げ、「森本氏は慰安婦像設置に対する韓国への抗議で駐韓大使とともに一時帰国しており、日本にいることへの不満を漏らしただけだという。私的会合での発言が官邸に筒抜けだったことも驚きだが、そうした場でさえ批判は許さないと言わんばかりの政府の姿勢は、本来国民のために働くべき官僚を一層萎縮させるに違いない」と書く。
 この更迭人事問題では、森本氏の「私的会合」が新聞社やテレビ局の記者たちとの会合だったことから、一部のマスコミが森本氏の発言を官邸に「ご注進した」という情報もある。仮にそうであるとするならば、記者の取材者としての倫理が問われることになる。事実が明らかになったときにはプレジデントオンラインのこの欄で詳しく取り上げたい。
北海道新聞も「政権事情優先」を批判
 国税庁長官人事の問題に戻るが、北海道新聞76日付の社説「閉会中審査 疑念解消への入り口に」の後半でこう書いている。
 「菅義偉官房長官は『適材適所』と述べたが、疑念が残る中での交代に国民は納得するだろうか。安倍政権は、稲田朋美防衛相が都議選の応援で自衛隊法に抵触しかねない発言をした問題でも、世論の批判をよそに続投を決めた。民意よりも政権の事情が優先なのか。国会でただす必要がある」
 いまの「1強」という権力を握った安倍政権は、道新社説が指摘するように「民意よりも政権の事情が優先される」のである。だからこそ、いま権力を監視するというメディアの役割が厳しく問われている。
 
 
これ「国税庁長官"論功行賞"許す大新聞の倫理」と題したPRESIDENT Online 7/15() 9:15の配信記事である。
 
 
今の安倍政権は独裁政治とは異質で、北朝鮮式恐怖政治だ。これは安倍首相だけの考えだけでは無い!多分に菅官房の考えだろうと思う。ここ数年の風見鶏がこうも調子よく居座るには、批判分子を粛清して来たからに他ならない。風を見ながらどっちがより効果的かの見極めがその間に培われたのだろう、霞が関への睨みが自己の利益を増幅した。経年の自民党にもここまで露骨にやった者は居ない。いややろうとしたが、人間としての理性がブレーキを掛けたと言って良い。何故なら55年体制自民党では宰相はそれなりの実力者のライバル体制から生まれたが、安倍首相の場合はダークホースに近く、安倍さんが選ばれたのはそこからして、戦後政治の常識からは生まれなかった。それを打つ破ったのがこの菅官房や、先年に失脚した元経済産業相だった甘利明さんや塩崎 恭久厚生労働相たちの若い世代だった。彼らには怖いものが無く、やり過ぎるくらいやったと言って良い。まず先に霞が関を黙らせる、それが今の恐怖政治の原型であり、55年体制自民党に無い新しい手法であった。それが糧となり、現在の形を作ったのである。だからこそ長期政権が出来たのであるが、決して霞が関に好評とは言えない現在の安倍政権である。かえって人事局等作られ不平不満の館と化してるのが現在の姿であろう。ひと度綻びが出れば役人何ぞ冷たいものである。頑固な城も根元から脆く崩れ去る。それが今である。