過去に自民党総裁でありながら、宰相になれなかった人間は2人しかいない。河野洋平元衆院議長と谷垣禎一前幹事長(72)である。議長という栄誉を授かった河野氏と比べ、谷垣氏は自転車事故で頸髄を損傷。長きに亘る不在からもうすぐ1年が経つ。復帰に向け懸命のリハビリが続くが、そのカンフル剤は身内議員への怨念だという。
谷垣グループ「有隣会」主催の政治資金パーティーには、主が不在にもかかわらず安倍総理をはじめ自民党の二階俊博幹事長、各派閥の領袖らが勢揃い。壇上では、グループの代表世話人を務める逢沢一郎元国対委員長が、谷垣氏からの手紙を、次のように代読した。
〈退院の時期をにらみながら、リハビリテーションに専念し、一日も早い復帰に向けて準備をいたしておりますので、あと少しの間、お許しをいただきたく存じます〉
政界復帰への意欲が滲み出る言葉を披露した逢沢氏は、「夏の終わりか、秋口には復帰してくれると、同志一同、確信しております」と、具体的な復帰時期にまで言及したのだ。大勢の前で“オヤジ”の健在ぶりをアピールするのには、抜き差しならない“事情”があると自民党関係者が言う。
「一部の支援者の間では、このパーティーに姿を現すと言われていた谷垣さんですが、実は入院している都内の初台リハビリテーション病院から転院し、別の場所で手術を受けていたのです。現在は再び初台に戻っていますが、術後の体調を考慮して、大事をとって表には出ない状況だというのです」
■自立歩行を視野に
その兆候は、パーティーの前に現れていたという。
政治部記者によれば、
「5月20日、総理は谷垣氏の入院する病院へ視察と称して見舞いに訪れる予定でした。その2日前には、官邸から同行記者の募集まで告知されていたのですが、急遽中止となってしまいました」
そもそも、総理自ら足を運ぶのには、こんな事情があったと記者が続ける。
「谷垣氏が総裁時代にまとめた憲法改正草案を否定する改憲構想を口にした総理は、その禊を済ませたいという気持ちもあった。改憲に向けて党内をまとめたい総理にとって、谷垣氏には党の憲法調査会長として復帰して貰いたい。そうした可能性を探る好機でしたが、次回の日程はまだ決まっていません」
実際、総理が面会を打診した時期は、谷垣派にとって結成以来、最大の危機が訪れてもいたのである。
「今年5月、谷垣派から佐藤勉元総務相、棚橋泰文元特命相ら4人が、新・麻生派へ合流するため離脱したことに、谷垣氏や側近らは相当の危機感を募らせている。事前に合流を促す麻生氏からの手紙を受け取った谷垣氏は“時期尚早であり、そのような話は聞いていない。直接お目にかかってから話したい”という手紙を送り返した。普段はソフトで穏やかな谷垣さんも、事故後に初めて公に出した肉声が派閥合流に反対する内容だったことから、麻生さんへの不信感は相当なものです」(同)
ちなみに、リハビリを続ける谷垣氏は、新たなメニューにも意欲的に取り組んでいると言うのは先の関係者で、
「介護士に両脇を抱えられ、自立歩行に向けた訓練を始めています。政治家は見た目が大事。杖を使ってでも人前に立ちたいという一心で、怪我と闘っています」
永田町に再び――その情念は烈火の如く、谷垣氏を突き動かしているのだ。
永田町の常識として政治家は病気してはならないし、病気の「病」の字一字知られても政治生命は絶たれるのが相場である。そういう意味においてはこの谷垣さん良く隠せ通したものだと感心した。側近の程度の高さであろうとは思うが、何せ病種が悪い!この世で昔は脳卒中と認知症、今はそれにこの頸髄損傷がプラスされた。政治家でなくともこの病気に係れば人生終わりと言われている。人間として一人前に扱われなくなるからである。頸髄損傷を除けば、脳卒中も認知症も損傷の程度によりその差はあるが半分以上は脳をやられるから身体運動動作はもちろんの事、思考能力記憶力それに話能力が十分でなくなる。故に一人前と言われない所以でもある。この私等は脳出血で倒れ、三途の川の向こう岸に渡る寸前で帰って来て何とか生き返ってお天道様見る事出来たが、今までの付き合いの連中の、以来私を見る目が変わったのを見て、現実の厳しさと辛さを見た。そう言うものである。でも私は生来の負けず嫌いが、厳しいリハビリを呼び起こし復活出来た。おかげで失調ぎみではあるけれど麻痺はなく、独歩が難しいが、思考能力記憶力それに話能力に変わりがなかった事が幸いした。4年前あぜ道で自転車で転倒し、頸髄損傷した友人がいる。C5をやられ以来寝たっきりの生活だ。話す事以外上下半身不随だ。かわいそうを通り越し哀れでさえある。
話を谷垣さんに戻そう。恐らく政界復帰は無理であろう。政治家は危篤でも明日来ると言うし、言わなければならない宿命にある。谷垣さん一人になれば、自分のふがいなさに毎夜号泣してると推察する。私がそうだったからである。政治家は名誉を失うが、こちとらは会社と従業員を失う。つまりは路頭に迷ってしまうのである。建設と不動産と言う商売は弱肉強食の世界だ。会社の実力者である、会社の顔が倒れれば、今まで鷹揚に構えてたライバル会社がそれがいないと分かれば傘になってかかって来る。その挙句いい工事いい物件は全て横取りされる。その連続になり、しまいには破綻を招く事数多い。故にしっかりとした一人前の後継者を立てる前には倒れられないのである。これが中小零細業者の宿命でもあるのである。頸髄損傷の谷垣さん内臓は悪くないのだろうから、ベッドでの姿は健常者と一緒で見た目は全く普通の人であろう。でも部下を横取りされた悔しさは筆舌し難いだろう。自分の身体が身体だから余計思うであろうと思う。しかし、麻生さんもやるもんだ!もっとも戦国時代と同じで情等かければ自分も同じ目にあわされるからだ。戦後政治を見てきた私には余りにも谷垣さんは人が良過ぎるというか、政治家として真っ当過ぎる。安倍さんの様にはなれないだろう。ここら辺で引退した方がと進言したい。自民党にあって唯一好感の持てる人だったからである。