《実は、最初にこの企画を持って行ったのはフジテレビなんです。でも一発で蹴られました。一週間もかからず、『ダメです』とだけ返答が来ました。あまり検討しなかったのでしょうね。それで、テレ朝に持っていったら早河さん(洋・会長兼CEO)は一発で受けてくれた。大したものですよ》(「週刊文春」2017年5月4日・11日合併号より)
『やすらぎの郷』は、石坂浩二(75)が主演。「テレビ界に貢献した人間のみ」が入居を許される幻の老人ホームを舞台にした昼の連続ドラマだ。浅丘ルリ子(76)、加賀まりこ(73)ら、平均年齢78歳という往年のスターが勢揃い。倉本氏発案の「シルバー世代向けドラマ」は、初回に8.7%の視聴率を記録した。この話題作を、フジは先に話を持ちかけられ、蹴っていたのだ。
「倉本氏といえば『北の国から』などでかつてフジとは蜜月だった。亀山社長は、1980年の入社以来、ドラマのプロデュースで名を挙げた。いわゆる『月9』の生みの親で、社長に上りつめたドラマ畑の人。逃した魚は大きく、面目は丸つぶれだ」(ドラマ関係者)
はたして、このインタビューが世に出て2週間になる5月9日、亀山社長が社長を退任することが報じられた。亀山氏は2013年6月に社長就任後、『笑っていいとも!』をはじめとする長寿番組に大ナタを振るった。2014年6月には全社員約1500人中、約1000人の人事異動を敢行したが、視聴率は下がる一方。広告収入に影響し、経常利益は3年間で3割以下に減少した。
「年間の番組制作予算が1000億円あったのが、2年で120億円減らされました。現場は悲鳴をあげています。亀山社長が20代の人気局アナと不倫し、海外出張に同行させたという真偽不明の噂が流れるほど、人心が荒廃しています」(フジテレビ関係者)
2月の上旬、部長級以上に、会社の再建案を公募するメールが経営企画部門名義で送られた。
《舞台はテレビ界に貢献した者だけが入れる無料の老人ホーム。でもテレビ局員は入れない。テレビをダメにした張本人だから》
「さもありなん」すぐにそう感じた。最近のフジのドラマ作りを見ればなるほどと感じられる。つまり面白くないのである。ドラマは面白さとストーリーが同居する代物である。フジが気にする視聴率、面白さとストーリーがあればそれは必ず着いてくる。キャラはそれらにマッチすればドラマは増幅する。要するに視聴者は最初からキャラを優先はしないと思う。それを優先して騒ぐのは、若年世代だと私は思う。従来のフジのドラマ作りの優先度は完全にキャラ本位だった。キャラさえよければ、視聴者は見てくれるものだと思っていたらしいが、ドラマはやはり誰が見ても面白さとストーリーが必要だ。フジの手法は、他局で名を馳せた芸能者(キャラ)だったら誰でも良いと言うやり方に視聴者は嫌気を刺したのかも知れない。ちょうどプロ野球の読売巨人軍が、自軍で若手を育てず、他球団で育って有名になった選手を金で引っこ抜いて反発を食らったようにである。それを今辞任し、BSフジの社長に移る亀山社長がわからなかった責任は、トップとしての資質に欠けると言わねばならない。思うにBSフジも多難である。BSフジで唯一好きなプライムニュースなくなるかもしれないと思うと複雑だ。