車検制度で濡れ手で粟の損害保険各社が苦しくなったからと言って即掛け金値上げには反対だ

 大手損害保険各社が、高齢者による事故増加などで収支が悪化している自動車保険の立て直しに苦慮している。2013年3月期は各社とも赤字幅を縮めたものの、赤字脱却には至らなかった。黒字化を図るため、東京海上日動火災保険など大手5社は年内の自動車保険料の値上げで足並みをそろえる。契約者に支払う保険金の額が高止まりしている中、各社の収支改善の取り組みは正念場を迎えている。 【軽自動車】なぜこんなに売れるのか 安さ・燃費…他にもまだある
 「改善努力が着実に数値に表れてきている。ただ、安定的な収益基盤には至っていない」。今月4日、三井住友海上火災保険あいおいニッセイ同和損害保険を傘下に持つMS&ADインシュアランスグループホールディングスが東京駅近くの会議場で開いた説明会。江頭敏明社長は約100人の証券アナリストらを前に、傘下2社の自動車保険の状況をこう述べたが、自動車保険の悩ましい現状は大手損保各社に共通している。  損保会社の収益性を示す指標の一つに「コンバインド・レシオ」がある。収入保険料に対する支払い保険金と経費の割合で、100%を超えると利益が出ていないことを意味する。13年3月期決算では、大手5社の多くで100%を上回るなどして赤字が続いた。98.5%と唯一100%を下回った東京海上日動も「今後見込まれる保険金の支払いを加味すると(実質的に)赤字」(藤田裕一常務)。全社が苦戦を強いられている。  自動車保険の収支悪化は2000年代半ばから顕著になった。最大の要因は保険料の安い高齢者の事故が増加し、保険金の支払いが膨らんでいることだ。これに加え、少子高齢化や若者が車に関心を持たない「車離れ」により、収入保険料が頭打ち傾向にあること、さらに「自動車の電子化が進んだこともあり、修理費用が高止まりしている」(損害保険ジャパン日本興亜損害保険を傘下に持つNKSJホールディングスの辻伸治専務)ことが痛手になっている。  黒字を定着させ、コンバインド・レシオが継続して100%を切るには、(1)収入保険料を増やす(2)支払う保険金の額を抑える(3)経費を減らす-の3つを徹底するしかない。収入保険料の拡大策では、各社とも自動車保険料の値上げで対応。10月には、三井住友海上が保険料を平均1.7%、あいおいニッセイ同和が同1%強、東京海上日動は同1.9%、それぞれ引き上げる。一足先に4月には損保ジャパンと日本興亜がともに同2%の値上げを実施済みで、大手5社すべてが年内に保険料値上げに踏み切る。
 これとは別に昨年10月には、事故を起こしたドライバーの保険料を次回の契約更新時に大幅に引き上げる等級制度の改定が行われており、中期的に収支面への貢献が期待されている。ただ、各社とも、保険料値上げだけで自動車保険の収支を改善しようとしているわけではない。  支払う保険金の額を抑えるため、事故後の修理では自社が指定する優良な整備工場を契約者に紹介したり、中古部品を活用して修理費用を引き下げるといった対策を徹底。車を日常的に使う運輸業などを対象に、事故を防ぐための地道な講習活動やコンサルティングもしている。  無駄の排除や事務の効率化など、経費削減を続ける必要もある。損保ジャパンと日本興亜は来年9月に合併予定で、2社のシステムを統合するなどして一段のコストカットを進める。  一方で、ドライバーの負担は重くなる傾向にある。自動車保険料の値上げに加え、強制加入の自動車損害賠償責任保険自賠責保険)も4月から全車種で平均13.5%引き上げられた。可処分所得の少ない若者を中心に、一段の車離れが進みかねないとの懸念が強まっている。  このため、インターネットや電話から加入し、保険料の安さが売りの「ダイレクト型」と呼ばれる自動車保険に契約者が流れるとの見方もある。損保ジャパンの子会社のダイレクト型損保、セゾン自動車火災保険の福澤秀浩社長は「今後、消費増税などで節約志向が高まれば、消費者は一定の安さを求める。ネットに慣れた消費者も増えており、ダイレクト型の存在意義は高まる」と期待を込める。  大手5社は13年3月期に、自動車保険のコンバインド・レシオが前期より低下し、収支改善の兆しを見せたが、上期のエコカー補助金の追い風で収入保険料が押し上げられた面が大きく、楽観はできない。景気が回復すれば「人の移動や物流が活発化して事故件数が増え、保険金の支払いが膨らむ」(大手損保幹部)との懸念もある。大手損保各社が基盤とする国内損保事業の展望を明るくするには自動車保険の黒字化が絶対条件となるが、実現にはなお曲折がありそうだ。(森田晶宏)
 

これ「自動車保険の悩ましい現状 高齢者事故、車離れ…収益基盤安定せず」と題したSankeiBiz 2013/6/24 08:15の報道である。
 

 思うにこの現象は、自動車検査登録制度が原因と言って良い。つまり一般に車検制度と呼ばれているものである。一定期間ごとに国が国民が所有する自動車が保安基準に適合しているかを確認するための制度であり、日本独自のものである。戦後の昭和26年からだから、かれこれ60年以上も前である。国会議員の先生方が血眼で改憲しようとしている、憲法9条もそうかも知れないが、こちらも大事なのであるまいか。何故なら戦後の自動車産業の発展は目をみはるものがある。当然品質も格段に向上したし、現代に余り故障しなくなった自動車に、この車検制度は古過ぎると思っている。戦後現在まで、いくらかの見直しも無く、このように現存してるのは不適格なのではあるまいか。それによって、何の営業努力もしないで保険契約が出来る業界なんて、そんなに無い。現在までそれに胡坐をかき、今頃になってこの「コンバインド・レシオ」が維持できなくなったとして簡単に保険料を上げる事は、消費者を愚弄してると言わざるを得ない。確かに自賠責保険の効用は認めるが、何でも外国比較する日本が、諸外国で無い日本独自の車検制度をこの保険会社の状況と合わせて、その是非論を国に聞いて見たいものである。