「森友自殺<財務省>職員遺書全文公開『すべて佐川局長の指示です』」(「週刊文春」3月26日号)。
この記事はNHK出身で、大阪日日新聞記者の相澤冬樹氏によるもの。2018年12月に出版された相澤氏の『 安倍官邸vs.NHK 』を読んだとき、最も気になったのが「近畿財務局職員の自殺が残した謎」(第10章)だった。
自殺した「Aさん」(財務省近畿財務局管財部の上席国有財産管理官・赤木俊夫さん)が遺したメモには《改ざんは財務局が勝手にしたのではなく、本省からの指示があった。佐川(元理財局長)の指示で書き換えた》という情報があると。
もしこれが公開されたらすごいことになる。その日は来るのか? 気になって仕方なかった。その詳細が書かれた「手記」が遂に今回公開されたのだ。
3年前の2月17日に何があったのか
では改ざんはなぜおこなわれたのか。
籠池泰典・赤澤竜也の『 国策不捜査 「森友事件」の全貌 』にはこんな一節がある。
《2月17日、過熱する報道への対応策を協議するため、ボクは酒井弁護士の所属する「北浜法律事務所」を訪れていた。すでに日は落ちていて、あたりは真っ暗だった。そこには近畿財務局の池田さんと、A上席国有財産管理官もいた。Aさんは後に公文書改ざん事件発覚により、自ら命を絶つことになる人物だ。》
そのあと籠池氏はこう書いている。
《この日、ボクが感じたのは、「とにかく近畿財務局の担当者たちの様子がおかしい」ということ。挙動不審と言ってもいい。》
一体、「2017年2月17日」には何があったのか?
「私や妻が関係していたということになれば」
《安倍晋三首相は17日の衆院予算委員会で、国有地を格安で買い取った学校法人「森友学園」が設立する私立小学校の認可や国有地払い下げに関し、「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」と述べた。》(毎日新聞WEB2017年2月17日)
この首相発言があったから官僚たちは「動いた」のではないか。ずっと言われていたことだが、今回公開された手記でその疑念は濃くなった。
首相の「大きな言葉」に官僚たちが帳尻を慌てて合わせるという例。最近も「相変わらず」ある。
「黒川氏が望ましい」定年延長問題
黒川弘務東京高検検事長の定年延長問題だ。安倍首相は2月13日の国会で安倍内閣として解釈を変更したことを明言した。
《定年延長は、政権に近く「お庭番」とやゆされる黒川氏の検事総長登用のためとされるが、弁護士出身の法相や法務省、人事院の答弁が、安倍晋三首相の主張に沿う形で迷走し、虚偽答弁の指摘も受けている。》(「モリカケ以上の忖度」日刊スポーツ2月24日)
黒川検事長が定年延長になれば次期検事総長の道も開けてくる。読売新聞には今回の答えが書いてあった。
《政府関係者によると、次期検事総長の人選は、昨年末から官邸と法務省との間で水面下で進められた。同省から複数の候補者が提案されたが、安倍首相と菅官房長官は黒川氏が望ましいとの意向を示したという。》(2月21日)
安倍首相と菅官房長官の意向。この「逆算」にあわせるために周囲がドタバタしているとしか見えない。モリカケとまったく同じ構図。
ちなみに「黒川弘務」の名は先ほどの籠池氏の本にも出てくる。
「8億円値引きと公文書改ざん」の件で財務省が告発されていた頃のこと。「不起訴」になるというメモ情報が法務検察から事前に漏れていたという。共著者の赤澤氏が取材報告として、
《わたしが、東京、大阪の両特捜部で働いたことのある元検事に聞いたところ、彼はこの「法務省」について、「これはズバリ黒川さんだよ」と言い切りました。このメモが出された当時、法務省事務次官だった黒川弘務氏のことだと言うのです。》
これを受けて籠池氏は《安倍さんの覚えめでたい黒川弘務氏は現在、東京高検検事長。法務検察の序列ではナンバー2である。事務次官から東京高検検事長というラインはエリートコースであり、黒川氏は次期検事総長の最有力候補なのだという。つまり日本最強の捜査機関のトップに立つ可能性があるのだ。ただただ暗澹たる気持ちにならざるを得ない。》と書いている。
見事に現在までつながっている。
「東京五輪、完全な形で」
さて、安倍首相の言葉にあわせてドタバタするクライマックスはこれだろう。
「『東京五輪、完全な形で』 首相、時期明言せず」(日経電子版3月17日)
無観客や規模を縮小した形では実施しない考えを首相は示唆。開催都市の国の首相なのだから「完全な形」にこだわるのは当たり前と思う人もいるだろう。
しかしここ最近の政局記事と絡めると興味深いのだ。まず産経新聞。
「新型コロナ 遠のく解散」(3月13日)
コロナと解散総選挙ってなんの関係があるの? と思うが、早期に終息できなければ「首相の手で解散を行えなくなる可能性もある」。
《首相が誘致に尽力した五輪が成功裏に終われば、政府・与党への支持が高まり環境は整う。五輪後は経済のさらなる減速が予想されており、時機を逃せば与党にとって苦しい選挙になりかねないという事情もある。》
もっと突っ込んだことを書いたのは毎日新聞だ。「新型コロナ 五輪延期阻止 政府躍起」(3月14日)。
政府高官の言葉として「日本として東京五輪は『やりたい』ではない。『やる』んだ」。
そこまで必死な理由は?
《2回先送りした10%への消費税率引き上げを19年10月に踏み切ったのは、翌年に控える「五輪特需」を見越し、増税による景気落ち込みが最小限になるタイミングと踏んだためだ。》
五輪を契機に政権浮揚を図る戦略を描いていたが、五輪が延期・中止に追い込まれればそのシナリオは崩れかねない。
《与党内では「万が一、感染拡大に歯止めがかからずに五輪が予定通りできなくなったら、すぐに政治責任が持ち上がる」(鈴木俊一総務会長)との声も出ている。》
ああ、私はてっきり五輪はアスリートファーストの大会だと思っていたがどうやら政治的な興行らしい。東京五輪だけは絶対にやるという逆算だけは動かない模様。
森友公文書改ざん、東京高検検事長の定年延長問題、五輪を「完全な形で」。
すべては首相の「大きな言葉」を守るために周囲が無理を重ねているようにしかみえない。
ここ数日は五輪延期説もあちこちの報道で見かける。
あ、もし五輪が延期となったら、安倍首相の任期も延長(四選)されたりして。 プチ鹿島
これ『森友自殺“遺書公開” 安倍首相の「大きな言葉」と官僚の帳尻合わせはいつまで続くのか?』と題した文春オンライン3/20(金) 6:00の配信記事である。
これら「モリカケ」問題を発端とし最近の「桜を見る会」の問題までの不祥事は全て安倍首相夫妻が関係し、この方々の自己中の身勝手さと言える。
その言葉が「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」と述べたこの言葉である。
このような言葉は安倍首相が良く好んで使う手法だ! つまり首相である自分の言葉は、自分がここまで言えば皆信用し納得するだろうとの安易な上から目線の押し付け言葉である。こういえば嘘も通ると思っている成り上がりものの最たる言葉である。唯自己賞賛で使うのは勝手だが、宰相として使う言葉としては不適格である。何故ならこの言葉は自己都合であり廻りに迷惑をかけるからである。これが行政組織では全て忖度に繋がるからである。安倍首相の言った言葉が行政全体で共有されそれが例え真実でなくても行政組織で正当化されてしまうからである。こうなれば何が真実かはまるで解らなくなってしまう。これらで一番迷惑を被るのは我々一般国民である。これでは正に赤信号皆で渡れば怖くないといった、無法国家になってしまうからである。そこまでこの安倍さん考えているのか? もちろんそれを考えられる人間ならばこうならなかっただろう。いづれにしても安倍政権の行く手は見えた!と言って良い事は確かだ!!