菅首相の器を如実に物語る出来事

 私は6月の菅内閣発足以来、「菅首相は宰相の器に非ず」と再三再四訴えて来た。
 その言い例が夕刊フジに出てたので紹介したい。
 
『 菅政権の支持率低下に歯止めがかからず、求心力が弱まるなか、2011年度予算案の編成作業がこれから本格化する。法人税減税や子ども手当などの難題を抱え、菅直人首相(64)はこの年末を乗り切れるのか。「昨年末の菅氏の姿をみるかぎり、予算案編成が混迷を極めるのは必至」(官庁担当記者)の情勢で、国民は大増税という形でトバッチリを受けることになりそうだ。
 菅氏の器が如実に表れたのが、昨年末の予算案編成だった。
 当時の鳩山由紀夫首相(63)は、子ども手当、高速道路の無料化、ガソリン税などの暫定税率廃止など、いろいろな問題がせめぎ合っていた10年度予算案編成の“司令塔役”を、副総理兼内閣府特命担当大臣(経済財政政策など担当)だった菅氏に依頼。
 菅氏はこれを引き受け、衆院選マニフェスト政権公約)で約束した主要施策を交通整理して、予算にまとめ上げる作業に取り組む…はずだった。
 菅氏は12月に入り予算案編成が本格化すると、内閣府にある経済財政担当相の大臣室に主要施策を担当する大臣を呼び、調整に当たった。呼ばれた大臣が菅氏との会談を終えて出てくるたびに、報道陣が取り囲んだが、大臣から出てくる言葉は「きょうは改めてこれまでの主張をご説明した。特に進展はありません」だった。
 そしてこうした状況が何日も続くと、報道陣の間で疑問の声が上がるようになった。
 「菅さんは一体何をしているのか。本当に調整しているのか」と。
 自民党政権時代なら、この時期の閣僚協議は結論を出すためか、その一歩手前ぐらいの段階というのが相場だ。予算案編成も大詰めとなった時期に「進展なし」の閣僚協議が続くこと自体、異常な事態だった。
 「菅さんは次の総理に一番近い人。予算調整で相手から憎まれるのを避けているのではないか」-。ある霞が関関係者は菅氏の当時の行動をこう解説した。つまり、調整に乗り出して嫌われることがないよう「やっているふりをしているだけ」というのだ。
 そうしたときに登場してきたのが、民主党小沢一郎幹事長(68)=当時=だった。小沢氏は民主党の要望として10年度予算案の基本的な骨格を政府に示し、これによって編成作業は一気に前進、なんとか年内編成を達成できた。
 ところが、このことが「政策は政府に一元化するとしてきた民主党の方針に反する」として、強烈な小沢バッシングへとつながっていく。
 「責められるべきは小沢氏ではなく、菅氏の方でしょう。『明治維新以来の変革』などと政権交代自画自賛しておきながら、いざとなると泥をかぶってでも予算をまとめるという政治家として責任ある行動はほとんどみられなかった」(前出の霞が関関係者)
 臨時国会が3日に閉会し、これからいよいよ本格的な11年度予算案編成に入る。今回は、法人税減税や子ども手当など歳出増につながるテーマがめじろ押し。しかし、これに財源をどう手当てするのか、先行きは依然として不透明だ。
 霞が関の官庁担当の記者からはこんな声も。
 「昨年末の姿と現在の支持率低下を重ね合わせると、菅首相が予算案の編成で的確かつ強力なリーダーシップを発揮するとは思えない。だとすれば、予算編成は政治主導ではなく、財務省主導になる可能性が高い。大規模な減税や歳出拡大の裏側では、それに見合う歳出削減や増税による財源の確保が厳格に追求されることになるだろう」
 またぞろ国民のフトコロに強引に手を突っ込んでくることになるのだろうか…。』と言う記事であった。
 
 この記事を見るまでも無く、私は菅首相は傍が見るほど有能で無かっただけの事である。そう考えれば全てつじつまが合う。つまりは実務が殆ど伴っていなかったのである。ここまでは小泉元首相と良く似ているが、決定的に違うのは小泉元首相は実務は無いが人を上手く使い、政局を感じとる嗅覚がぬきんでていた事である。つまりKYに富んでいた事である。全てはこれに尽きる。