政権交代以後の民主党と今後の政局

 それは2009年(平成21年)夏に起こった。
   8月30日の衆議院選において民主党は大勝したのである。
 こう言う現象になったのにはそれなりの下地があった。時代劇を見るが如きの敵味方をわかりやすく色分けする小泉流の手法を、メディアが増幅して熱狂状態を引き起こした「小泉劇場」と呼ばれた小泉純一郎である。その後の安倍・福田・麻生の3首相は有効な対策を見いだせないまま続いたために、「小泉劇場」を知り尽くした国民は、失望へと変わったのである。その時に、正にタイミング良く、国民との約束を英国流に示した「マニフェスト」なる手法が国民には新鮮に映った。この時ほど国民は、明治維新に重ね合わせるが如きこの平成維新に酔ったのである。
 
 その55年以来の自民党政権を破り、その後を引き継いだのは鳩山由紀夫内閣である。彼は今までのように直接的な達成政治語句を使わず、国民の心に響くような「友愛の政治」を掲げた。それがまた一段と優しい政治に見えた国民はそれなりに歓迎をしたのである。が彼はその「マニフェスト」を守らんが為と思えば思うほど、肩を張りすぎ、張り切ってしまった、その典型が小沢一郎とのすみ分けである。彼はどうしても祖父の鳩山一郎が好んで用いた友愛という言葉を実践したいがための方法であった。しかし、これが、後の政権運営に党の要の幹事長小沢一郎が参加しなかった唯一の事例であり、独善に陥った謂れでもある。故に民主党の一丁目1番地である政治主導を官僚排除と勘違いした結果が、官僚の総スカンを喰らい崩壊した。その後の菅政権が見ての通りとなり、この後ほぼ9部9厘政権は取れないであろうと思う。この後我々はどうなるのか予測はできないが、民主党が政権から離れるのは確実である。昨年から考えれば本当に信じられないのであるが、民主党の弱点は、熱狂的だった古い支持者を失った事である。それこそ本当に民主党の古き良き時代からの、理解ある支持者を失った事である。これは、今後の政治史上紛れも無い事実として語り継がれる事は確実である。民主党の現幹部、菅直人仙谷由人前原誠司野田佳彦、玄葉 光一郎各連中の責任は重大である。
 ここまで政権不信に陥れば、その前までの政権党であり、野党第1党である自民党に常道として政権が移りそうであるが、そうはならないところに今の政治の混迷がある。

 恐らくそうはならないくらい自民党は国民に飽きられたのである。今までに平気に何度も国民との約束を反故にしたツケの大きさのために、自民党回帰はありえないだろうし、許してはならないとも思う。
 
 
 では今後の政局はと言えば私は、「政治とカネ」の問題で一時的にでも政治の表舞台より遠ざかってはいるものの、やはり小沢一郎抜きには語れないのではと思っている。彼は以前ほどのカリスマも無くなり、一皮剥けた政治家に脱皮しているが、乱世の小沢である、私は何か彼がアクションを起こすのではとここのところ注視している。外交、内政ともに、既存の政治家とは一線を画した斬新な政策を持っている小沢一郎に私は賭けて見たい気持ちになる今日この頃である。これは見通しとかの甘いものでは無く、願望である。