原発の恐ろしさ、喉もと過ぎれば?

 全国統一選挙の後半戦が終わった。全体を通して民主党の惨敗である。そして未曾有の災害で被災した原子力発電に対する、立地する自治体での安全対策や是非が争点になる筈だった高速増殖炉もんじゅ」など原発3基が立地する福井県敦賀市長選は、初当選以来〈原発との共存共栄〉を掲げた現職の河瀬一治氏が市発足以来初の5選を決め、 市は財政、雇用面で原発に依存。このため河瀬氏のほか、元市議や元市会議長、敦賀短大教授の3候補はいずれも原発との共存を前提に、原発の安全強化や防災対策などを中心に論戦を展開し、新人は多選阻止を訴えたが、福島第一原発の事故後は経験豊かな現職を再評価する声が強まったみたいである。
 福島第一原発と同じ東京電力柏崎刈羽原発を抱える新潟県柏崎市議選(定数26)では、立候補した原発反対派7人のうち、5人が当選した。改選前(当時の定数30)の反対派の勢力(7議席)からは2議席減となり、引き続き推進・容認派が多数を占めた模様である。同市議選では選挙戦を進める中で、推進・容認派の中で安全対策基準の厳格化や2007年の中越沖地震後に休止した3基の運転再開に慎重な考えを訴える候補者が増えた。隣の同県刈羽村議選(定数12)には、原発反対派4人のうち3人が当選したが、改選前と同じく推進・容認派が多数を占めた。定数14だった改選前は、反対派は4人だった。

 こう言う結果から推察するに、決して選挙民は原発反対とはならないように思えるが、なにせ地方の選挙である。主義主張・政党と言うよりも地域の縁故・しがらみ等考えれば、ランダムな世論調査の傾向とは一線を画す必要も考慮せざるを得ない事を考えても、今時の戦後生まれの住民世代は、今回の大震災による原発の恐ろしさは、喉もと過ぎればの感が強い。
 いづれにしても今時のデジタル社会は、アナログ時代と違い電化製品等の趣味・娯楽を卓越する電力需要の速度性が原発依存となった現実を甘受してるのは否めない事実であるし、自治体としての原発設立補償の財源の魅力には勝てなかったと言う事でもある。