年々増え続ける医療費 民間的発想を持たない社会保障国民会議の改革の提言は無理である

 政府の社会保障制度改革国民会議は2日、高齢者にも応分の負担増を求める最終報告書案をまとめた。医療では70~74歳の患者の窓口負担を1割に抑える特例を廃止。介護では症状が軽い高齢者を保険給付の対象から外す案も盛り込んだ。若い世代にツケを回して高齢者向け給付を維持する仕組みを改める狙い。ただ負担増の実施時期は曖昧さが目立つ。財政悪化の尻ぬぐいを大企業とその従業員に強いる構図も一段と強まっている。
 最終報告書は細部を詰めたうえで、6日にも国民会議清家篤会長(慶応義塾長)が安倍晋三首相に提出する。
 先行するのは財政負担が重い医療分野だ。医療費の窓口負担は、70歳未満が3割。70~74歳の高齢者は本来2割だが、歴代政権が特例措置で1割に抑えてきた。最終案は「世代間の公平を図る観点から止めるべき」とし、早期の政治判断を要請。政府も2014年度からの特例廃止を視野に入れる。反発を和らげるため、新たに70歳になる人から負担増の対象とし、既に70歳以上の人の負担は変えない方針も打ち出した。
 医療では軽い病気でも高度な設備を備える大病院を利用する患者が多く、給付費がかさんでいる。最終案は、紹介状がない大病院での外来受診には「一定の定額自己負担を求めるような仕組みを検討すべき」とした。
 介護でも、現行1割の自己負担を、所得の多い高齢者については「引き上げるべき」と明記。15年度からの引き上げを視野に入れる。食事などの世話だけが必要な人は、税金を投入する介護保険の給付対象から外し、ボランティアなどを活用し低コストで運営する「地域包括推進事業(仮称)」に段階的に移すとした。
 年金では、公的年金控除などの税制優遇について「見直しを行っていくべき」と指摘。一方、支給開始年齢の引き上げは「中長期的課題として考える」とするにとどめた。
 医療や介護、年金などの社会保障は、税金や保険料による給付費が支える。給付費は20年間で倍増し100兆円を突破。国の一般歳出に占める社会保障関係費の割合は5割を超す。社会保障費増に対応するため消費税も現行の5%から10%まで段階的に引き上げる予定だが、これでも給付の伸びに追いつかない。
 報告書の最終案は、給付費をまかなう保険制度見直しも打ち出した。低所得者が多く加入する国民健康保険の運営を、現行の市町村から都道府県へ移し、財政基盤を強化する。
 高齢者の負担増に加え、現役世代の所得に応じ負担を求める「総報酬割」の拡大も盛り込んだ。医療では、75歳以上の給付費について15年度から総報酬割を全面導入し、所得の多い大企業の健康保険組合の負担を増やす。介護でも医療での導入の状況を踏まえつつ「検討すべき」とした。
 総報酬割では大企業健保の負担増と引き換えに、中小主体の全国健康保険協会協会けんぽ)の負担は減少。協会けんぽへの国費補助も不要になるが、浮いた国費を国民健康保険の赤字解消に使うかで意見が分かれたままだ。
 

これ「医療費、高齢者に負担増求める 政府の国民会議」と題した日本経済新聞の報道である。
 

 初めに平成25年8月2日(金)10時よりに行われたこの国民会議のメンバーを紹介すれば下記になる。日本国の偉いそうそうたるメンバーである。
 
社会保障国民会議  名簿
阿藤    誠         早稲田大学人間科学学術院特任教授
大森    彌          NPO法人地域ケア政策ネットワーク代表理事東京大学名誉教授
奥田    碩         トヨタ自動車株式会社取締役相談役
小田與之彦        社団法人日本青年会議所会頭
唐澤  祥人          社団法人日本医師会会長
神田  敏子          前全国消費者団体連絡会事務局長
権丈  善一          慶應義塾大学商学部教授
塩川正十郎        東洋大学総長
清家    篤           慶應義塾大学商学部教授
高木    剛          日本労働組合総連合会会長
竹中  ナミ        社会福祉法人プロップ・ステーション理事長
中田    清          社団法人全国老人福祉施設協議会副会長
樋口  恵子       NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事長
南      砂           読売新聞東京本社編集委員
山田  啓二       京都府知事
吉川    洋        東京大学大学院経済学研究科教授
 
(以上16名)
平成25年8月2日(金) 10:00~12:00 於:官邸2階大ホール
資料1-2 各論部分(医療・介護分野)(案)
この会議の資料のホームページ
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/dai19/siryou1-2.pdf
 
 
 しかし私から見れば、このメンバーの中に患者として医療の現場を目の当たりにした人何人居るだろうか。何故にそう問うかと言えば、この会議の資料(HPを前記した)を見れば明らかである。全てが今までの諮問委員会よろしい、役所の作文だからである。例えれば、面積を計算する公式が中学では当たり前に使っていたのが丁度高校で積分によってそれが証明されるような、いわゆる机上の論理しかなかったからである。
 私が言いたいのは、医療の現場に落ちているムダである「出づる」に一歩も踏み込んでいない事である。全てを規制化し、病床に対しての看護師の数や、医師の数はたまた食事に絡む栄養士の数等、医療現場の実際の実数との差等々である。事実今の医療は昔の無尽講である「相互扶助」と言う「助け合いのシステム」なのである。さすれば需給のバランスの一方の「入り」だけ論じても片手落ちと言わねばならない。この国民会議もご他聞に漏れず、「入り」だけを論じている。それも少子高齢化が原因と断定した将来計画を列記している。これ正に御用組合と一緒ではないか。どうしてもう一方の「出づる」に改革を求めないのか不思議である。
 私はこの5年もの間に何箇所かの病院に入院して、実際の医療現場を体験してきた。それを考える時、患者全てが、医療のサポートをする側(医者や病院)を神格化して来た。それは何故か、弱者だからである。見てもらえなくなるからである。逆に病院側はそれにかこつけ、過剰の医療を施してきた。それが現在の医療のデメリットであるし、病院側から見ればそれが商売になるからでもある。悪しき医療上の慣習でもある。解かり易く言えば、セカンドオピニオン的医療が出来てない事である。初診患者は関係ないが、別の医療施設で同じ診察を受けようとした場合、前の医療施設で受けた検査データは使えず(金払ってるのに自分のデータとして自分自身で保管してなく、病院側にある)また一からやり直して受けなくてはならない。こんな理不尽無いと思う。しかも同じ検査に保険と自己負担してるのである。二重の負担では無いのか。それと薬の高い事この上無い。下手すれば朝昼晩と3回飲む薬の1錠当たりの金額が1000円に近いものまである。これは保険の自己負担の金額だから、本当の金額にすると、1錠3000円超える金額となる。こんな話無いと思う。だってたかが1錠の薬だ。それに製薬会社である。確かに薬の開発費大変だろう事は理解するが、その開発費の中にこの記事のように、医者に頼む無償の臨床実験費用も含まれている事を考えれば、何をか云わんやである。
 面白い事がある。その製薬会社のバランスシートである。こんなにも儲かっているんだったら、もう少し薬の値段下げてもと私は思う。うがった見方すれば霞ヶ関の意向がかなり働いているのではと考えるのは間違いなのであろうか。