鳩と菅

 私は若い時、つまり、大学浪人時に、音羽に居た事がある。
 そこのガソリンスタンドでアルバイトをしてた。今から41年前である。
 その時に近所の方々が音羽御殿のお坊ちゃま、今で言う文京区鳩山会館であるが、その鳩山一郎の孫つまり鳩山威一郎の息子、由紀夫・邦夫兄弟である。その時に初めて名前を知った、その兄弟はすこぶる評判が良かった事を覚えてる。確かに金持ちであったろうが、それを鼻にもかけず素直ないいお坊ちゃまだったらしい。近所の評判は神格化に近い最高の評価だった。私は逢った事は勿論無いが、そう言う環境だったから、鳩山由紀夫と言う人間はすっかり頭の中にインプットしてあったから、私の評価は悪い筈が無かった。
 そしての昨年の政権交代であったから尚の事のサポーターだった。
 政治とカネで失脚してしまったが、私は今でも母親からの贈与資金、本当に彼は知らなかったと思ってる。我々凡人は月に1,500万円と言うとそんな大金知らぬ筈無しとすぐ断定してしまうが、それは無い者の常識であって、彼ほど恵まれていれば、カネはそんなに気にかけなくてもいい代物だったと思う。とにかく我々無い者の常識判断だ。お金持ちのセレブのお坊ちゃま、お嬢ちゃま方の意見も聞いて見たらと言いたい。いづれにしても私は、彼は残念ながら自業自得の失脚では無い(私の見解:彼は外務省の官僚に負けた)と思ってるから、首相辞任時の引退表明の翻意を支持したい。
 対する菅首相だが、政権直後は副総理として内閣の№2でありながら、存在感を示さずひたすらサッカーの試合よろしく失点を恐れ、積極姿勢を封印したところ等は恐ろしいほどのしたたかさであった。鳩山前首相のつまずきを一番期待してたのは私は野党の自民党より彼ではなかったのかと思ってる。恐らく政治とカネ問題発生後は、身震いするほどのプレッシャーに酔っていたものと私には見えた。そして、現実に宰相になった場合のシュミレーションを誰も入れず、たった2人の御夫婦で考えてたのではと私の想像である。だからこその就任以来の言動がコロコロ変わる要素と思ってる。
 鳩山前首相と小沢一郎前幹事長の同時辞任によりV字回復した支持率に気を良くし、浮かれ大きな気持ちで本人は何でも出来ると錯覚し、財務官僚のレクチャーよろしく気持ちが大きくなったための消費税発言でなかったかと思う。
 しかし、だからと言って内閣は個人商店でないのだから、もう少し殿ちょっとお待ちをと言うべき家老の仙谷官房長官からして、極左のしたたか者、とてもじゃないがこの参議院過半数割れの難局をロボット枝野幹事長と操れるほど政治は甘くない事を彼らは知るべきである。