日産自動車とフランスの自動車大手ルノー、三菱自動車の会長を兼務するカルロス・ゴーン容疑者。その逮捕が3社の経営に大きな打撃を与えるのは必至だ。市場を欺き続けたのであれば重大な犯罪だけに、日産のブランドにも深刻な痛手は避けられない。今回の事態が3社連合の崩壊や新たな業界再編につながる可能性もある。
「長年、実力者として君臨してきた弊害は大きい。企業統治(コーポレートガバナンス)が形骸化していた」。19日夜に横浜市内の本社で開かれた緊急会見。西川(さいかわ)広人社長はこう述べ、社外取締役を中心に第三者の専門家を入れた委員会を立ち上げ、事件の背景などを調査して再発防止につなげる方針を示した。
「カリスマ経営者」として知られるゴーン容疑者には権力が集中していた。
特に3社連合は制度よりも、ゴーン容疑者の個人的なリーダーシップに依存。西川氏は「(ゴーン容疑者の逮捕は)3社のパートナーシップに影響を与える性格の事案ではない」と強調したが、額面通りには受け取れない。ゴーン容疑者は、3社を束ねる“扇の要”であり、ルノーを通じたフランス政府による日産への経営介入にも防波堤としての役割を果たしてきたからだ。
平成11年にルノーから日産に送り込まれたゴーン容疑者は、工場閉鎖などのコスト削減を断行。必達目標を掲げ、経営危機に陥っていた日産を立て直した。ルノーと株式を持ち合ったほか、28年に不祥事で三菱自が窮地に陥ると出資を決断し、3社連合を形成。29年の世界販売は合算でトヨタ自動車を抜き去り世界2位の企業グループとなった。
ただ、その辣腕には、陰りも見えていた。29年3月期までの6年間の日産の中期経営計画はほとんどの目標が未達。今月公表した30年9月中間連結決算も大幅な減益となった。完成検査をめぐる一連の不正に続くカリスマ経営者の失墜は、日産の経営の先行きにも影を落としている。(高橋寛次)
これ「カリスマ失墜は大打撃、3社連合崩壊や再編も ゴーン会長逮捕」と題した産経iza 2018.11.19 22:30の報道記事である
金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで、日産自動車会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)が東京地検特捜部に逮捕されたことを受け、帝国データバンク宇都宮支店は、同社取引先の調査結果を公表した。県内は65社あり、都道府県別で全国8位。取引先は栃木工場(上三川町上蒲生)周辺に多く、同支店は「栃木工場の生産態勢にも影響を及ぼす事態も懸念され、特に依存度が高い中小企業にとっては死活問題となりかねない」と警鐘を鳴らす。(楠城泰介)
【年表】日産自動車とゴーン容疑者の歩み

県内の取引先65社のうち、重複を含め、仕入れ先・下請け先は56社、販売先は13社だった。無資格の従業員が新車を検査していた問題などで再発防止策を講じ、コンプライアンス強化を進める中でのゴーン容疑者の逮捕について、同支店は「ブランド力の低下による今後の販売面への影響も懸念され、販売が落ち込めば県内の取引先企業を含むサプライチェーン(供給網)への影響は必至だ」と指摘する。
取引先の市郡別では、宇都宮市が26社で最も多く、上三川町の1町のみの河内郡が12社、小山市が7社、足利市が6社と続き、「栃木工場が所在する上三川町を中心に仕入れ先・下請け先の数が多くを占め、周辺の市郡に取引先が多くみられる」(同支店)という。
業種別では、仕入れ先・下請け先では、自動車部分品製造が4社で最多。販売先では、自動車(新車)小売、自動車操縦装置製造が各2社。年商規模別では、「1億~10億円未満」が31社で、「1億円未満」の8社と合わせ、全体の6割が10億円未満の中小企業だった。
企業の規模にもよろうが、何か私は彼が可哀そうに思えて来た。もしこれがその企業の創業社長だったらどうだっただろうか。規模は日産の爪の垢ほどもないが、私は二代目である。会社は私の息子が三代目として継いでいる。だから良く解るのである。「やる事やって何文句を言われる」と聞こえてきそうだ。創業社長ならこれほどの批判は受けなかっただろうと思う。例え本人が企業コンプライアンスを守らなかったとしても、刑事的には罪でも経事的には当然の要求だったと私は理解する。むしろ私は日産と言う企業がそれを受け入れて犯した事の方が問題だと思う。例えそれが権力に逆らえなかったと言う事は役員を含めた社員が皆気持ちでは納得理解したと言う事だからだ。
でも考えて見れば日産と言う企業、事の良し悪し別に、あれほどの苦境を救ってもらいながら、何たる事と思う。
良く妻に言われてる。「あなたは従業員の気持ちが解らない人」と。