モリカケ問題に首相の黒子がいた!!

森友学園に関する財務省の改ざん問題は、佐川宣寿前国税庁長官への証人喚問を経てもなお真相は明らかにならず、野党側は安倍昭恵首相夫人や今井尚哉(たかや)首相政務担当秘書官の証人喚問を求めています。その今井秘書官とは一体どのような人物なのでしょうか。元全国紙社会部記者の新恭さんが、自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』で彼の素顔と森友問題への「関与」について、あくまで推測の範囲内であるとことわった上で詳述しています。

 
財務省の森友隠ぺいは今井秘書官の指示だったのか。
森友問題をめぐり、野党は安倍首相の政務担当秘書官、今井尚哉氏の証人喚問を求めている。
言うまでもなく疑惑の核心は安倍首相の関与だが、首相の意向をくみ、汚れ仕事の代行を引き受けているのが政務担当秘書官だとすると、今井氏が森友学園への国有地叩き売りと公文書改ざんの全貌を知っているという仮説は十分成り立つだろう。
「私や妻は関係していない」「指示はしていない」と安倍首相は言う。それはそうかもしれないが、代わりに今井秘書官が各省庁の官僚に命じ、それを総理の意向として受け止めた省庁が言われるがままに動くことはありうる話だ。
「今井ちゃんは本当に頭がいい。何を聞いてもすぐ答えが出るんだよ」
安倍首相はそのように今井氏をほめているらしいが、当然、官僚たちは総理の“今井依存症”を知っている。
首相が「改造内閣の目玉政策が欲しい」と言えば、今井氏がわずか3日で「一億総活躍社会」という答えを出した。政策というより空疎なスローガンだが、それこそが今井氏の真骨頂だ。アベノミクスを提言したのも今井氏とされている。
自分で考えるより、今井氏に問う方が早い。依存し、操られる。国家トップの肖像の内部に秘められた構図だ。
小泉純一郎政権の政務担当総理秘書官、飯島勲氏も裏の権力者として恐れられる存在だった。
その著書『小泉官邸秘録』に次のような記述がある。
(総理の外遊日程について)私の了解なしに相手国との調整にはいったりしないように、外務省に厳命した。
総理がバックにひかえる秘書官という立場は、そもそも特殊だ。ふつうの秘書よりもはるかに忖度される度合いが強い。「外務省に厳命」という表現が示すように、おそろしく“上から目線”なのである。
補佐官も、人によって強弱はあるものの、立場は似通っている。加計学園獣医学部新設計画について、前文部科学事務次官前川喜平氏は20169から10月にかけ、和泉洋人首相補佐官に何度か官邸へ呼び出され、「総理は自分の口から言えないので」と、獣医学部新設を早く認めるよう求められたという。
つまり、総理は自らの口で指示を伝える必要がない。秘書官、参事官、補佐官らが、総理の意向をくんで各省庁を動かしてゆく。首相は「関与していない」という態度をとり続け、秘書官らは総理に忠誠を尽くして真実を隠ぺいする。
結局、割を食うのは総理秘書官らから難題をふっかけられたあげく、国会で追及され、詰め腹を切らされる各省庁の幹部たちである。上ばかり見るヒラメ官僚のきらいがあったが、前国税庁長官、佐川宣寿氏などはその一人であろう。
たとえば、安倍首相に政治家や識者が面会を希望しても、今井秘書官が「会わせたくない」と思えば「スケジュールがいっぱいで」と断わられる。さまざまな重要情報のうち、首相の耳に入れたくないものは握りつぶす。安倍首相は今井氏が選別した情報しか与えられず、今井シナリオ通りに動くほかなくなる。
してみると、安倍政権の本質は、今井氏を抜きに語れないということにもなるであろう。
今井氏については当メルマガでこれまで何度も書いてきた。だが、その実像は、われわれ国民には見えない。官邸記者クラブのメンバーはオフレコの懇親会などで彼に接しているが、その言動が報じられることはまずない。
しかし、知り合いの政治部記者からその人物像が漏れ伝わることはある。しばしば耳にするのは「剛腕」「傍若無人」といった評判だ。昨年94日の「NEWSポストセブン」にこんな記事が載った。
『取扱厳重注意』と印字されたA42枚のペーパーがある。今井氏が官邸詰め記者とのオフレコ懇談(816日)で語った内容を記したメモだ。そこには決して漏れてはいけないはずの官邸での総理との生々しいやりとりがこう書かれている。
 
〈ある記者に安倍総理が、「最近今井さんが僕に厳しい」と漏らしたと聞いたから、僕は机を叩いて、「国民のために総理をお支えすることに命をかけている。総理がそんな姿勢なんだったら今すぐ秘書官を辞めてやる」と言ったんだ。そしたら、安倍総理が謝ってきた〉
安倍首相が謝ってきたと自慢げに語るのはどうかと思うが、今井氏が激しい気性の持ち主であり、力づくででもコトを進めるタイプであることがよくわかる。
ご記憶の方もいるだろう。昨年413日号の週刊文春は、「東芝原発大暴走”を後押しした安倍首相秘書官 今井尚哉」という記事を大々的に掲載した。
原発の海外輸出に向けて突っ走る東芝がいかに経産省時代の今井氏を頼りにしていたかを、担当者の手帳や、原発部門の幹部たちが交わしたメールを暴露することで明らかにした記事である。
福島原発事故から約3か月後、東芝原子力フロントエンド営業部グループマネジャーから送られた社内メール。
トルコプロジェクト関係の皆様 本日付で、今井審議官はエネ庁次長兼任発令が出ましたので、お知らせいたします。…原子力システム輸出について、エネ庁次長としての立場で、より一層熱心に主導されます。
東芝が、政府における原発輸出政策の推進役として今井氏に大きな期待をかけていたことがよく分かる文面だ。
その後、秘書官として官邸に戻った今井氏は福島原発事故で滞っていたトルコへの原発輸出プロジェクトを本格的に再開させるため安倍首相に進言して20135月、二人一緒にトルコ、UAEを訪問している。脱原発を公言していた大阪市橋下徹市長を説得して再稼働に方向転換させたのも今井氏だといわれる。
今井氏は経産省官僚のなかでも、財界にとっては特別な存在だ。叔父である経団連会長、今井敬氏は現在も経団連名誉会長、新日鐵住金相談役名誉会長として財界に隠然たる影響力を持っている。
あえて邪推をするなら、今井敬氏の財界人脈をバックに、前国税庁長官、佐川宣寿氏が証人喚問で余計なことを言わないよう、近い将来の再就職を匂わした可能性すら否定できない。
安倍首相自身、財界のレジェンドを叔父に持つ今井秘書官との絆は、集票、集金の面からもとりわけ重視しているに違いない。第一次政権で事務担当の総理秘書官だった今井氏を気に入っていた安倍首相は第二次政権で政務担当秘書官に抜擢、よほど気が合うのか、個人的にも家族ぐるみの付き合いを続けている。
経団連2014年から献金の呼びかけを再開し、16年から大手銀行が18年ぶりに自民党への政治献金を復活させた背後に、今井秘書官の暗躍があったという噂もある。あながち的外れとはいえまい。
森友問題に戻ると、昨今ではあからさまに今井氏やその周辺に疑いの目を向ける識者も増えてきた。
法務相事務担当秘書官の経験がある住田裕子弁護士はテレビ番組でこう発言した。
総理答弁と関連がある場合、省庁の官房文書課が総理のところと連絡調整する。総理の秘書官がある程度、ちゃんと采配してらっしゃるはず…総理秘書官、総理補佐官あたりの総理周辺の事務方にはちゃんと情報があがっている。
前川喜平氏もテレビ番組のインタビューで次のように指摘した。
総理答弁だったら官邸に持っていって、官邸の秘書官や関係の人たちとすり合わせるわけですね。大臣の答弁と局長答弁が食い違わないように調整しますよね。そういうことを、前の日の夜にやるはずです…佐川さんの一存で無茶なことを言っているんじゃなくて、私は官邸とかと調整した上での答弁だと思いますけどね。
佐川氏は官邸の操り人形のように答弁させられていたのではないか。そうさせた張本人として、今井秘書官が浮かび上がるのは当然であろう。
昭恵夫人の“秘書役”をつとめ、森友学園のために財務省に問合せをした谷査恵子氏を経産省から送り込んだのは今井氏である。疑惑の焦点は佐川氏から今井氏に移っている。
 
新恭(あらたきょう)この著者の記事一覧
記者クラブを通した官とメディアの共同体がこの国の情報空間を歪めている。その実態を抉り出し、新聞記事の細部に宿る官製情報のウソを暴くとともに、官とメディアの構造改革を提言したい。記者クラブを通した官とメディアの共同体がこの国の情報空間を歪めている。
 
 
これ『全てはシナリオ通り。森友疑惑で炙り出された「影の総理」の存在』と題した新恭(あらたきょう)『国家権力&メディア一刀両断』の2018.04.06の記事だ。
 
 
この記事がもし真実としたら、安倍首相本人自身指図はしてないという事だろうが、法的には罪に問われないが、事実上の執行役と言える。恐らくは安倍首相の命を受け、実際の執行役はこの人と言えるのかも知れない。