自民党の憲法改正推進本部はこの度高等教育の無償化に言及したが、今や中等教育である高校教育の義務教育化の現実を見据え、その完全無償化の方が先では?

 自民党は1日、憲法改正推進本部(本部長・保岡興治元法相)の全体会合を党本部で開き、大学など高等教育を含む教育の無償化について話し合った。貧困の連鎖を防ぐため、奨学金制度の拡充など教育の機会均等の必要性では一致したが、憲法に高等教育を「無償」と明記する改憲案には反対論が相次いだ。
 憲法26条は義務教育を無償と定めているが、無償化の範囲を高等教育まで広げ、家計負担を減らす改憲案が党内の一部や日本維新の会にある。安倍晋三首相も5月の憲法記念日にビデオメッセージで「高等教育も真に開かれたものでなければいけない」と発言した。
 1日の会合には約50人が出席。高等教育の無償化規定を憲法に盛り込む案に「自らの意思で大学に行かない人もいる。公平性の観点から問題だ」(石破茂元幹事長)「3兆円以上の財源が必要で、国民は納得しない」(山谷えり子氏)などの声が上がった。
 同本部内には無償化規定を盛り込むことは見送り、憲法26条に「経済的理由によって教育を受ける機会を奪われない」との趣旨の文言を追加する案もある。国家の政策の指針となる「プログラム規定」と位置づけ、政府に教育投資を働きかける狙いがある。
 改憲本部は教育無償化や9条改正など検討対象として挙げていた4項目の議論を一通り終え、今後、具体的な条文案づくりの作業に入る。自民党は同日付で、同本部の事務局を従来の「プロジェクトチーム」から「部署」へと格上げした。専従の職員を配置し、改憲案作りを加速する。
 
 

これ『自民改憲本部 「大学無償化」明記に反対論相次ぐ 』と題した日経デジタル2017/8/20:47の配信記事である。

 
 
 自民党は21日の党憲法改正推進本部の全体会合で、教育の充実に関する改憲条文案を大筋で了承した。教育を受ける権利を定めた26条には、教育環境の整備を国の努力義務として新たに規定した。財源確保のめどが立っていないため、教育無償化は明記しなかった。
 条文案は、26条に3項を新設。教育の意義について「国民の人格の完成、幸福の追求に欠くことのできないもの」と定めた上で、国は「教育環境の整備に努めなければならない」とした。
 26条1項には「経済的理由によつて教育上差別されない」との文言を追加。教育無償化のための改憲を唱える日本維新の会は、党の改憲案に「経済的理由によつて教育を受ける機会を奪われない」と明記していることから、維新との連携が念頭にあるとみられる。
 出席議員からは、26条1項への追加部分に関し「高価な教育でも国に受けさせる義務が生じないか」「差別しない理由を経済的な要因に限定しかねない」などと異論が出た。最終的な文言調整などの対応を細田博之本部長に一任した。
 公金支出のあり方を定めた89条についても、私学助成の合憲性を担保するため、「公の支配に属しない」との文言を「公の監督が及ばない」に変更した。
 自民党が具体的な条文案で意見集約したのは、改憲4項目のうち参院選の「合区」解消に次いで2例目。(中根政人)
 
 
こっちは『教育充実「国に努力義務」 自民改憲本部 条文案2例目了承』と題した東京新聞朝刊2018222日の記事である。
 
 
国はどうして中等教育を片付ける事無く、高等教育の無償化に言及するのだろうか。憲法は義務教育の無償化をうたっているが、今や中等教育の高校教育は義務教育化は現実である。なのにそちらは高等学校等就学支援金制度で完全無償化では無い。思うにこちらの完全無償化が先で、自由な就学目的の大学教育との整合性をとるためには、やはり義務教育化的就学制度を片付けてからと言うのが、当然ではと考える。優先の度合いの違いの感じ方の問題なのか?