「森友学園国有地払い下げ問題」の新事実の資料が出るわ出るわ! これは財務省の反乱ではなく、安倍政権の菅官房の霞が関への「睨み」を失った黄昏では?

 とうとう財務省は観念したのか。それとも安倍晋三政権への“乱”なのか──。学校法人・森友学園大阪市)への国有地売却問題で、学園の籠池泰典前理事長が同省の担当室長と事前に値引き交渉していた疑惑について、同省が自ら過去の国会答弁をひっくり返す新しい資料や見解を、次々に明らかにしている。
 太田充理財局長は21日、参院予算委員会で、これまで「すべて廃棄した」としていた学園との交渉記録について、資料が残っていることを認めた。現在「個人情報や不開示情報がないか確認している」(太田理財局長)として、作業が終わり次第開示する方針だ。
 これに先立ち同省は1月、森友学園との売買金額について「できる限り学園との事前交渉に努める」などと書かれた内部文書を公開。「事前の価格交渉はなかった」との説明は“ウソ”であった可能性が高まった。資料は、上脇博之・神戸学院大教授の情報公開請求に対して開示された。
 これだけではない。1月末には共産党宮本岳志衆院議員に対し、201511月に安倍昭恵首相夫人付の政府職員が、国有地の交渉について同省に照会したことについて、同省は「森友学園に関係しての照会であったことは認識していたと思う」との見解を新たに示した。これも、佐川宣寿・前理財局長(現・国税庁長官)が国会で「一般的な問い合わせ」などと答弁していたことと矛盾する。
 昭恵夫人が小学校の名誉校長に就任したのは20159月。そして、昭恵夫人付の政府職員が財務省に問い合わせをしたのが同年11月。籠池氏は、この年の秋ごろから国との交渉が前に進み始め、「神風が吹いた」と証言している。
 本誌が入手した資料を総合すると、籠池氏の証言と資料に記されている経緯は一致している。同省は学園に対し、20158月までは国有地の賃料について「増額要求ができる」と考えていて、値引きの話はなかった。それが、同年121日には一変。森友学園の財務状況が厳しいことを認識しながらも、早期買い取りの方針が示され、売買金額は学園側と「(格安で)事前調整する」という方針に変わっていた。
 さらには、共産党の辰巳孝太郎参院議員が公開した音声データにも昭恵夫人の名前が登場した。売買交渉が佳境となっていた20163月、籠池氏らと近畿財務局、大阪航空局が協議した場で、籠池氏は昭恵夫人と電話でやりとりしていることを持ち出していた。

 籠池氏はその際、「昨日、我々が財務省から出た途端に、安倍夫人から電話がありましてね。(昭恵夫人は)『どうなりました?がんばってください』と言ってはったけど。何と答えたらええのか分からへんわ」と発言。このことについて安倍首相は2日の国会で「妻に確認したが、電話していない」と否定した。

 なぜ、ここにきて新しい文書や見解が次々に明らかになったのか。情報公開で資料を入手した上脇氏は、こう話す。
「これまで財務省は、情報公開請求をしても『交渉記録は存在しない』との回答だった。それが、今回の14日付で開示された文書のなかに、『財務省の内部で検討された法律相談の文書』という形で開示されました。この文書の保管期限は5年と明記されています。佐川前局長は、『交渉記録の保存は1年未満』と国会で答弁していますが、より重要な交渉記録が機密性の低い法律相談書より保存期間が短いというのは不自然。そのなかで文書を開示したのは、国民の怒りが影響したのかもしれません」
 “鉄の結束”を誇る財務省は、これまで安倍政権を徹底的に支え続けてきた。他省庁の官僚からは、加計学園問題で安倍内閣の“圧力”を記した内部文書を流出させた文部科学省と比べて「財務省はやっぱり違う」と言わしめるほどだった。
 国税庁長官に“栄転”した佐川氏も、沈黙を貫いている。昨年7月に就任して以来、一度も記者会見を開いていない。麻生太郎財務相は「国税庁所管以外に関心が集まっていたから実施しないと決めた」(129日、衆院予算委員会)と語り、大臣公認のダンマリを決め込んでいる。
 一方、日本税理士会連合会が発行する業界紙「税理士界」(115日付)のインタビュー記事には、満面の笑みを浮かべた写真とともに佐川氏が登場。国税庁という組織のリスク管理について、「縦・横・斜めの情報交換を密にする。(中略)些細な問題でも対応を誤れば、組織の信頼を失ってしまいます。それを防ぐためにも、リスク管理として、必ず上司に報告するよう徹底させています」とまで語っている。
 だが、組織内では不満がたまっている。昨年1122日に開かれた国税庁幹部と労働組合の話し合いの場では、現場の国税庁職員に佐川氏への批判があることを念頭に「現場において納税者から様々なご意見がよせられていることも承知している。(中略)年明け以降ご苦労をおかけすることとなる」(佐川氏)と弁明せざるをえない状況に追い込まれた。
 間もなく確定申告の時期を迎えるが、財務省への信頼は地に堕ちた。ある財務省OBは、「自分たちが現役の時代、国会でこんなひどい答弁を言わされることはなかった」と憤る。今回の文書公開も、安倍政権をかばいきれなくなった財務省の反乱ではないかとの推測もある。
 これまで与党が拒否してきた佐川氏の国会への参考人招致についても、風向きが変わりつつある。公明党井上義久幹事長は2日、記者会見で「基本は現職の理財局長がしっかりと答える。その上で、特別なことがあれば、現場で協議していただきたい」と、佐川氏の国会招致の可能性に言及した。
 はたして財務省は、籠池氏や秘書を通じ、昭恵夫人とどういうやり取りをしていたのか。佐川氏が再び国会にやって来て、過去の答弁をひっくり返す日は来るのか。(AERA dot.編集部・西岡千史)
 
 
財務省の”乱”で佐川国税庁長官を国会招致? 安倍昭恵夫人の関与示す資料も続々発掘AERAdot.2/2() 17:17配信 西岡千史2018.2.2 17:17の記事である。
 
 
思うに私はこれは財務省霞が関の主役としての意地を賭けた最後の反乱と見る。少なくとも霞が関の行政機関の中で財務省だけは違うと言いたいのだろうと思う。黄昏に近い安倍政権と一緒にされてはまずいと感じている。これには安倍首相の自民党総裁三選は無いと踏んだのかも知れない。黄昏と一蓮托生の回避、政権へのリセットと財務省復権の画策以外には考えられない。もしかすれば霞が関への「睨み」を失った菅官房の黄昏とも言える。