2018年4月で、日銀の黒田東彦総裁の任期が切れるが、次期総裁の最有力候補も黒田本人だ。総裁続投は異例だが、日本経済には最悪の選択となる。
13年4月の異次元緩和のスタートから、まもなく5年。「資金供給量を増やせばインフレが起こる」というヘリクツで、当初は2年で2%の物価上昇率目標を掲げたが、一度も達成できず目標時期は6回も先送りされた。現在は「19年度ごろ」を目指しているが、達成可能と考えている専門家は皆無に等しい。
企業や資産家の所得や儲けを増やせば、回り回って国民の暮らしは良くなるという「トリクルダウン」の触れ込みも、ウソっぱちだった。
日銀のETF“爆買い”に支えられた株バブルで投資家はさぞかし潤っただろうが、庶民の暮らしは一向に良くならない。世論調査でも、今なお8割以上が「景気回復の実感がわかない」と答えている。経済アナリストの菊池英博氏の試算によると、アベノミクスの異次元緩和以降、実質賃金は年平均15万円も減っているのだ。
「異次元緩和は百害あって一利なし。本来なら次期総裁は出口戦略が課題となるはずが、黒田続投は異常な緩和策の継続を意味します。もはや、異次元緩和はニッチもサッチもいかない状態になっています。緩和を続ければ金融機関の経営危機を招き、かといって出口に向かえば株価は暴落、国債の引き受け手がいなくなり、長期金利も暴騰し、日本がギリシャ化しかねません。進むも地獄、退くも地獄で、火中の栗を拾う人が見当たらず、黒田総裁にお鉢が回ってきたのが実情です」(経済評論家・斎藤満氏)
2018年は日本経済にとって絶望の一年となる。