今度の松友学園問題は安倍首相夫人の昭恵さんはファーストレディ失格である

 時の総理夫人が新しく開校する小学校の名誉校長をやってくれたら、これほどの広告塔もあるまい。しかも、その学校は疑惑の土地取引と特異な教育方針で追及される始末。「ドアホ理事長」と交わってしまった安倍昭恵さん(54)の罪は、決して軽くはないのだ。
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「籠池園長、副園長の本当に熱い思いを何度も聴かせていただいて、この『瑞穂の國記念小學院』で何か私もお役に立てればいいかなと……。こちらの教育方針は、主人も大変素晴らしいと思っています」
 一昨年9月、渦中の学校法人が主催した講演会。登壇したファーストレディは総理の言葉も引用し、問題の学校を持ち上げた。
 特異な愛国教育を行う学校法人が、超格安で財務省から国有地を購入。しかも、そこに総理夫妻が登場するとなれば、世間の耳目を集めるのも当然である。国会で連日、この問題を追及される安倍総理は、
「私や妻は一切関わっていない。関わっていたら間違いなく、首相も国会議員も辞任する」
 と啖呵を切ったが、ストレスが溜まるばかりだろう。では、なぜ、総理は窮地に立たされたのか。
 やや複雑だが、問題の土地取引について説明しよう。
■「芸術品と言えるスキーム」
 森友学園大阪市)が小学校を開校するため、大阪・豊中市の国有地(8770平方メートル)を取得したいと手を挙げたのは20139月。まず、10年以内の買受けを約した定期借地契約を結び、廃材や汚染土を撤去した。その後、小学校の建設工事に着手。ところが、基礎工事中に地下深くから新たなゴミが見つかった。すると、学校側は突然、「この土地を買いたい」と言い出したのである。
 話はアッという間に進んだ。この土地の鑑定価格は95600万円。これから大阪航空局が見積もったゴミの撤去・処分費用約81900万円などを引いた13400万円で、売買契約を結んだのだ。値引き率86%という信じがたい安さで国有地を購入したことになる。民進党森友学園調査チーム座長の今井雅人代議士によれば、
「そもそも、買受け特約付き定期借地契約は過去にほとんど例がない。また、ゴミの撤去費用の見積もりは第三者の専門業者が行うものです。ところが、今回は近畿財務局の依頼で大阪航空局が行っており、これも前例がない。その上、土地の代金13400万円についても、年1100万円の分割払いを認めている。ありえないことばかり重なっている。ウルトラCの技を合法の中で組み合わせた芸術品と言えるスキームです。私は、裏で口利きした国会議員が絶対にいると見ています」
 他方、こんな見方もある。
 森友学園が開校を予定している小学校の名称は「瑞穂の國記念小學院」である。だが、当初、籠池泰典理事長(64)は「安倍晋三記念小学校」にするつもりだった。
「安倍さんにすれば、幾ら何でも総理・総裁の名前を冠にするのはまずいと考え、再三断ったそうです」
 と、自民党のベテラン議員が語る。
「ただ、その後も安倍晋三記念小学校を作ると言って、勝手に寄附集めをした。一方、昭恵夫人は記念小學院の名誉校長に就任しています。基礎工事中に新たなゴミが見つかり、近畿財務局は森友側から『国が撤去したら開校が遅れる』と言われたわけでしょ。安倍総理夫妻が関係する学校とトラブルになったら、役人には死活問題。開校が遅れた逸失利益を払えと訴えられでもしたら、大変なことになる。これはさっさと払い下げるしかない、と考えたのかもしれません」
 総理や昭恵夫人の気持ちを考えて、“忖度処理”をしたというのである。
 超格安で国有地を手に入れた森友学園は商売上手ということになるが、
「工事中に地中から出てきたゴミは産業廃棄物とされ、法律に基づき処理しなければならない。ところが、業者は、掘り起こしたゴミの半分は、搬出せずに運動場予定地に埋めたと証言しています。搬出して処分すると金がかかる。処分費用を節約するために、埋めたのではないかとの疑惑に対し、学園側は仮置きしただけと説明しています」(社会部記者)
■食い違う言い分
 第1次安倍政権後、昭恵夫人は、塚本幼稚園のPTAを通じ、籠池理事長と知り合ったとされる。籠池理事長は以前、本誌(「週刊新潮」)の取材に対し、
「(昭恵さんは)かれこれ4回くらい(幼稚園に)来られたかな。最後にいらっしゃった時、小学校開設の話があって、『名誉校長をお願いできますか』と言ったら快諾していただきまして、現在に至ってるわけです」
 と話している。一方、安倍総理昭恵夫人が、
「突然、理事長から講演で紹介され、引き受けてもらわないと困ると言われて、最終的に受けた」
 と説明し、両者の言い分は食い違っている。
 
■総理も激怒
 
叱られるのはいつものこと
「今度の一件は、彼女が名誉校長への就任を打診された時、バシッと断っていたら、済んでいた話です」とは、官邸関係者。
「問題が発覚した当初、総理は名誉校長になった経緯を聞いたものの、彼女の説明は要領を得なかった。その後、事務所が調査し、再び昭恵さんに聞くと、真相を話した。総理は『何で断らなかったんだ』と激怒し、名誉校長を辞めさせたんです」
 
 昭恵夫人安倍総理から叱られるのは、いつものことだという。
「地元の下関に居酒屋『UZU』を発展させた『UZUハウス』を作ると言い出した時。昨年夏、反原発のミュージシャン、三宅洋平氏にフェイスブックで“公邸でお待ちしてます!”と呼び掛け、あろうことか一緒に飲んだ際、総理に電話。三宅氏に電話を代り、話をさせたことで叱られています。その度にアッキーは落ち込んで、反省します。が、しばらくすると、また天真爛漫な彼女に戻って、同じことを繰り返すのです」(同)
 左の三宅氏に右の籠池理事長。昭恵夫人も朱に交われば赤くなるの典型である。とはいえ、安倍側近からは、こんな指摘もあって、
「安倍さんは、昭恵さんが名誉校長をやっているとは知らなかったようです。そもそも、籠池氏側から安倍晋三記念小学校という命名の許可を求められた際、総理をやっている間は絶対無理と言って断った。ところが、彼女はそういう経緯も関係なく名誉校長を引き受けちゃったんですよ。夫は断ったのに、妻は簡単に引き受ける。あの夫婦は家では完全に没交渉ですからね、こういうことが起きるんです」
 安倍事務所も昭恵夫人森友学園の土地取引にはタッチしていなかったのが不幸中の幸いか。安倍総理も周囲に、
「法的には何ら問題ない。堂々としていればいい」
 と話しているという。
 だが、結果として国有地はバナナの叩き売りのように安価で買われた。この責任は誰が取るのか。少なくとも安倍夫妻に全くないとは言えないのではないか。
特集「国有地を9割引き! 幼稚園児に反中反韓教育! 校庭に産廃を埋め戻し!森友学園『ドアホ理事長』と交わった『安倍昭恵』」より
 
 
これ『安倍総理が激怒 森友学園「ドアホ」理事長と交わった昭恵夫人の罪』と題した週刊新潮 316日号 2017/3/9発売の特集記事である。
 
 
これなんぞ、首相が何も言わなくとも役人の安倍首相夫妻に対する忖度以外の何物でも無い。安倍首相がむきになって国会答弁したが、周りが気を遣った、それしかない。だからこそ通常夫人と言えども権力者の一員としては、気を遣った節度ある行動が求められているのである。そういう意味においては、首相夫人の昭恵さんはファーストレディ失格である。