奔放に飛び回る妻を自由にさせる、理解ある夫――安倍総理のそんなスタンスが女性からの支持率を上げてきた。だが、総理も今度ばかりは後悔しているかもしれない。この疑惑は簡単には晴れない。
■問題だらけの土地取引
「近いうちに、あの小学校にどんな人物がいくら寄付をしていたか、リストが出てくるでしょう。ここに名前が挙がる人脈を精査されれば、安倍総理は大ダメージを受ける。トランプ政権ともまずまずうまくやれているし、当分政権は安泰だと思っていたけど、これは本当にまずいかもしれない」 ある官邸スタッフはこう漏らした。
誰がどう見ても、真っ黒な土地取引――それがこともあろうに、安倍総理を直撃し、官邸に激震が走っている。
同校の経営母体が、「教育勅語」を園児に毎朝暗唱させる「愛国教育」で有名な、大阪市の塚本幼稚園を運営する学校法人森友学園であること、さらに、同校の名誉校長に安倍総理の妻・昭恵夫人が就任していることは、本誌先週号でも報じた通りだ。
「土地は広さ8770平方メートル、鑑定評価額9億5600万円。もともとは近くにある伊丹空港の騒音防止のための緩衝地帯として国が買収していましたが、'05年以降区画整理・集約され、売りに出されたという経緯があります」(民進党衆院議員)
これに対して、森友学園による購入価格は1億3400万円。8億円あまりの割引は、「土地の地下に埋まったゴミ処理費用を補填するためのもの」というが、同学園の理事長・籠池泰典氏は「(ゴミ処理にかかった費用は)1億円くらい」と証言しており、金額が明らかに食い違っている。
〈近畿財務局管財部次長「きちんと期日までに小学校が実際にできるかどうかというところでまず、もしできなければ事業予定者とはいえ(中略)土地を更地にして返して下さいよということを義務づけています」
委員「来年の4月にもう開校になっているのですね(中略)それから寄附金で建物を作ると。これだけでも10数億はかかるはずですよね。(中略)非常に異例な形だなという感じの印象を持っています」「今までの案件と随分、性格を異にするような案件のように私は思っています」〉
この時すでに、取引について「問題ない」と強弁する財務局官僚に対し、審議委員たちが強烈な違和感を抱いていたことがうかがえる。
しかしその後、森友学園には、校舎・体育館の木造化による国土交通省からの補助金6200万円なども出されることが決まった。これらを合わせて、同学園はほぼ「実質負担額ゼロ円」で土地を取得したというから、疑念は深まる。
「普通の公立学校の教育を受けると、せっかくここ(注・塚本幼稚園)で芯ができたものが揺らいでしまう」「日本を誇りに思える子供たちがたくさん育っていってほしい」
〈籠池先生の教育に対する熱き想いに感銘を受け、このたび名誉校長に就任させていただきました。
瑞穂の國記念小學院は、優れた道徳教育を基として、日本人としての誇りを持つ、芯の通った子どもを育てます〉
と記している。総理の妻でありながら、公立学校の教育を否定している点が、「アッキー」らしい暴走と言えよう。
■安倍晋三の名前でカネ集め
さらに今回、昭恵夫人と以前から親しかった籠池氏が、総理夫妻からの「お墨付き」を最大限に利用し、ロビイングに励んでいたことも分かった。すでに氏が「安倍晋三記念小学校」という名前を使って寄付金集めをしていたことが判明しているが、他にも不自然な動きが見られたと話すのは、ある自民党議員だ。
この間、籠池氏は府の担当課に足しげく通って陳情していたと聞きます。当然、小學院のパンフレットも持ち込んでいましたが、そこには昭恵さんの顔写真とメッセージ、また自民党の大物議員・平沼赳夫氏のメッセージも載っています。
府の職員によれば、籠池氏があまり『認可を急げ』とせっつくので、庁内でも問題視されていたそうです。しかも、安倍総理と昭恵さんの後ろ盾をちらつかせていた。これは『圧力』と見られても仕方がないでしょう」
「全国で初めての神道の小学校」をうたう小學院には、敷地内に「瑞穂神社」なる神社を設ける予定だという。また、籠池氏は周囲に、「校舎には、伊勢神宮の建物に使われる木のすぐ近くでとれた木材を使う」と豪語していた。それが前述した6200万円の補助金の根拠というわけだ。
しかし、大阪府庁関係者はこう言う。
「入学希望者は1年生の定員80名に対して50名、2年生にいたっては5名しか集まっていなかった。いずれにせよ、開校は厳しかったのではないか」
焦点は今後、誰がどのように全体像を描いて、この土地取引をリードしたのかという点に絞られてくる。いくら安倍総理夫妻の名前という「印籠」があったとはいえ、それだけで籠池氏が、自らの要求をゴリ押しできたとは思えないからだ。
ここにきて、安倍総理に近い大物の名が取り沙汰されている。
「籠池氏が安倍総理を支持する政治団体『日本会議』関西支部の幹部であることはすでに報じられていますが、それ以外にも、学校法人加計学園理事長の加計孝太郎氏が、安倍総理夫妻と籠池氏の『つなぎ役』になったのではないか、という話が永田町では出ています。
「考えてみると、安倍政権下では千葉の国際医療福祉大学成田キャンパス、宮城の東北医科薬科大学の医学部新設など、私学の新学部設立や認可が多い。こうした学校の許認可の背景が、次の火種になるかもしれない」(前出・野党衆院議員)
冒頭に引いた国有財産審議会の中で、財務局の担当者は、森友学園への土地売却を強行する理由として「小学校という公共性が高い事業だから」と繰り返していた。
しかし、森友学園が運営する塚本幼稚園では、
などと書いた文書を保護者に配布していたことがすでに判明している。こうした教育が、国有地を格安で売り払ってでも進めるべき「公共性が高い事業」かと言われれば、多くの人が首をかしげるのではないだろうか。
「一連の事態を受けて、大阪府は2月22日に臨時私学審議会を開き、認可の再検討を始めました。しかし小学校の開設認可を正式に下ろすどころか、森友学園の学校法人資格そのものを剥奪することも、すでに府の視野には入っている」(在阪の全国紙社会部記者)
なお今回、本誌は森友学園と籠池氏に取材を申し込んだが、媒体名を告げると「お断りします」と一方的に通話を切られてしまった。
あの理事長は国会に呼ばれる
今のところ、安倍総理と昭恵夫人が、この小學院用地の取引に直接かかわっていたことを示す物証はない。だが、総理が国会で「妻から森友学園の先生(注・籠池氏)の教育に対する熱意は素晴らしいと聞いている」と述べたのは事実だ。
一方の昭恵夫人は、親しい知人に対して、
「(小學院の件は)ちゃんと確認したので大丈夫よ」
仮に安倍総理や昭恵夫人、あるいは政権に近い政治家が森友学園の疑惑にかかわっていれば、総理の進退が問われる。国有地が国民の公共財産である以上、コネを使ってこれを不当に安く売却していたならば、国民に対する背任だ。
しかも小學院が開校できない場合、前述した審議会での財務局官僚の発言にもある通り、森友学園は用地を更地にして国に返還しなければならない。すでに校舎が建っていることを考えれば、なかなか難しい条件である。子供の入学を希望していた保護者たちも黙っているはずがない。
そもそも「瑞穂の国」という言葉は、安倍総理が演説や著書の中で、日本のことを指して繰り返し使ってきた言葉。籠池氏が国会に証人喚問される可能性が出てきたこともあって、官邸は戦々恐々としている。
「土地そのものを担保に、大手銀行が森友学園に5億円の融資をしたという情報も出回っています。この件はスキャンダルが次から次に出てきすぎる。正直、今のところは黙殺するしか対処法がない」(前出・官邸スタッフ)
また、この一件で、安倍総理の考えていた政権戦略も大幅に狂ってしまった。せっかくトランプ大統領との会談でアップした支持率に、悪影響が及ぶばかりではない。自民党と公明党のすきま風が強まる中で、これから政権を支える一大勢力になると期待していた、大阪維新の会の関与が疑われていることも大きな理由のひとつである。
「維新内部では、すでに複数の地方議員がこの件の『実働隊』になっていたという話が出ています。
自民党の側は、『大阪維新の松井(一郎代表・大阪府知事)が勝手にやったことだ』という形で幕引きを図ろうとしている。しかし、財務局と国交省の双方を巻き込んで、スピード認可を下ろすなんて芸当がウチだけでできるのか。しかるべき『上』の介入もあった、と見るのが自然ですよ」(維新の会関係者)
大阪の有権者は、カネにまつわる不正には敏感だ。仮に官邸が「シッポ切り」に成功して責任を維新に押し付けても、維新の支持率急落は免れない。与党寄りの野党、「ゆ党」である維新のサポートを失うのは、政権にとって大きな痛手だ。
■これは疑獄事件だ
今回の一件が意味すること――それは、維新の会に代わる新勢力・小池新党へのシフトが、安倍政権にとって喫緊の課題になったという事実だ。小池百合子東京都知事を取り込めるか否かが、政権の浮沈を左右する。すでに始まった重鎮たちの「小池シフト」について、自民党議員はこう言う。
「おくびにも出しませんが、当然、菅さんは小池さんのことを意識していますよ。下手にしゃべるとマスコミに騒がれるし、何も言わないほうが小池陣営の疑心暗鬼も誘えるので、言わないだけ。菅さんの性格ですから、『あくまでもイニシアチブ(主導権)はオレが持つ』ということです」(中堅)
「二階さんも菅さん同様、小池さんについては沈黙を守っていますが、二階・小池ラインが常に裏で意思疎通していることは間違いありません。
二階さんは幹事長だけど、夏の都議選はあくまで地方選挙ですから、都連会長の下村(博文党幹事長代行)さんに丸投げして自分は黙っていようと考えています。
安倍総理は去年の都知事選のときから『(自民党の公認候補は)増田(寛也元総務相)じゃなくて小池がいいんじゃないか』と言っていたほどだし、大阪維新を補完勢力にしたのと同様に、小池新党を取り込みたいと思っています。
まだ、安倍総理はあくまで「自分が小池を利用する側なのだ」という意識でいる。しかし「瑞穂の國記念小學院」と昭恵夫人の「暴走」に端を発する疑惑は、単に安倍政権の補完勢力の交替を促すだけのものではない。下手をすれば、安倍総理の「退陣」の二文字さえちらつく疑獄事件に発展しかねないのだ。
この潮目の変化を、政界の魑魅魍魎(ちみもうりょう=種々の妖怪変化(ようかいへんげ)。さまざまのばけもの)たちが見逃すはずはない。
これ『妻・アッキーの森友学園スキャンダルで安倍「退場」の大ピンチ 自民党の重鎮たちが「小池シフト」を始めた』と題した現代ビジネス 3/8(水) 7:01の配信記事だ。
安倍さんは余りにも自信を持ち、慢心過ぎた結果である。第1次安倍政権の失敗を教訓に、どこで心臓を鍛えたのかわからないが、かなり自信をもって第2次安倍政権を作ったが、驚くほどの運にも恵まれた。こんなに幸運な政治屋(政治家とは思っていない)は今後出る可能性は少ないだろう。たまたまの政策、宰相の名をとるふざけた政策「アベノミクス」が時の時代にそれも米国の経済に救われただけの話であるのに、それであたかも永世の天下を取ったと勘違いした政治手法が稀に見る慢心を醸し出しそれに酔った結果とも言えなくもないのだ。今回の件は単に昭恵夫人の行動だけではなく、大阪府も一枚嚙んでる事も問題だ。維新代表の松井府知事と安倍自民党の二人三脚でもある。これは戦後のロッキード事件に勝るとも劣らない疑獄事件である。事は自分で手を下さなくても、印象誘導疑獄と言える。役人の弱みに付け込んだ一番汚い手法でもある。何故なら全てファーストレディの行動を制止せず静観したからである。これは法律用語で追認と言うからである。