築地市場移転は東京オリンピックの被害者である

 築地市場移転は東京オリンピックの被害者 まるでオリンピックが“人質”だ。2日、東京五輪主要組織のトップが集まった会合の場で、都心と選手村を結ぶ予定の「環状2号」について、「工事がきちんと着手できるのか。早く我々にご明示いただきたい」と、小池都知事にクギを刺したのは、五輪組織委会長の森元首相だ。
 環2は築地市場跡地に敷設する計画で、移転延期により来年4月予定の着工は遅れる。そのため、移転推進派は「五輪に間に合うのか」の大合唱だが、ホンネは五輪よりも跡地売却の優先だ。

■ハナから築地の一等地売却ありきの計画
豊洲新市場の整備計画はハナから築地市場跡地の売却ありき。都心の一等地に23ヘクタール、東京ドーム5個分の広大な土地を売りさばかなければ、建設費捻出でベラボーに膨らんだ都の“隠れ借金”を返済できないのです」(臨海部開発問題を考える都民連絡会の市川隆夫事務局長)
 都の財政には一般会計とは別に切り離して、都営住宅事業など15項目の「特別会計」と、水道・地下鉄・バスなど11項目の「公営企業会計」がある。
 豊洲の整備費を負担するのは、公営企業会計の「中央卸売市場会計」。その財政状況は当初予算から3倍弱、2752億円に拡大した新市場の建設費の影響によって、ズタボロだ。
 2011年度決算で45億1756万円だった「負債」は、14年2月末の着工後、新市場の建設が本格化した同年度決算では2675億6486万円まで拡大。その後もうなぎ上りで、今年度末には4777億5119万円、ナント5年前の105倍に達する見込み。ついに資本の合計額3783億3615万円を1000億円近くオーバーする債務超過状態に陥ってしまうのだ。
 この間、11年度決算で1500億円を超えていた剰余金は底をつき、それでも高騰する建設費を賄い切れず、国の国債にあたる「企業債」をジャンジャン発行。11年度末に約1054億円だった発行残高は、今年度末には約3763億円に膨らむ見通しだ。
 築地市場の使用料など今年度の事業収入は270億8100万円と、負債総額の5・5%に過ぎない。
 しかも「公営企業会計」は独立採算制が原則で、一般会計からの補填は許されない。市場会計を預かる都の中央卸売市場財務課に返済計画を聞くと、「築地市場跡地の処分収入を充当することを想定しています」と悪びれもせず答えた。
 80年以上にわたって培われた築地の歴史と文化、世界に誇るブランド力が、都の一般会計から切り離した「隠れ借金」のカタに取られてしまって、いいのか。


これ『新市場建設で膨れあがった 都の「隠れ借金」 5 年で 100 倍増』と題した日刊ゲンダイ9月5日の記事である。


 先日終わったばかりのリオのオリンピック、そして2年後に迫っている韓国平昌冬季オリンピックもかなり金がかかる。やはりオリンピックはそれなりの経済大国でなければ開けないだろう。我が日本も、東京都だから出来るのであって、とてもじゃないが地方県では無理で、国よりの特別交付金の当て無しでは無理である。長野オリンピックを見るまでも無く、その後の経済失速は覚悟をしなければならない。こんなリスクを負っての開催は慈善事業の意識なくしては無理だろう。だとしたならそれにかかる資金を増大する社会保障費に充当した方がまだ良い。築地は東京オリンピックの被害者である。