長野県軽井沢町でのスキー事故 これは国の構造社会組織犯罪と言える

 事故を起こしたバスは14日午後11時に東京都内を出発し、15日午前7時半、長野県内のスキー場に到着。運転手は仮眠を取り、同日午後3時半に別の乗客を乗せ午後9時半に東京に戻る予定だった。東京を出て戻るまでの計22時間半に2人態勢で14時間半運転する。日中の運転しない時間は8時間だ。

 40代の元スキーツアーバス運転手は、仮眠の場所を「倉庫」と表現。「熟睡できず、疲れが取れないまま運転する」と打ち明けた。別のバス会社の幹部は「冬の峠道は本当に危ない。うちは1泊じゃないと受けない」と話す。事故を起こしたバス会社の指定する仮眠の場所や時間は不明だが、死亡した運転手は健康診断も受けていない65歳と57歳だった。

 スキーツアーでは十数年前からこうした運行が増えたという。2000年以降の規制緩和で貸し切りバス事業が免許制から許可制となり、新規参入が相次ぐ一方、スキー・スノーボード人口は14年時点で最盛期の1993年の約4割に減った。競争相手が増え、パイは縮む構図で、「もともと格安ツアーが多い上に旅行会社はさらに値切ってくる」(東京都内の観光バス業者)と、コストカットの圧力は高まる一方だ。

 運転手の高齢化も懸念されている。都内のバス会社社員は「仕事が危険で、休みは固定されず、給料も安い。若い運転手が増えないのは当たり前だ」と指摘。「高齢ドライバーはつぶし(転職)もきかず、低賃金に甘んじざるを得ないので、バス会社にとって都合がいい」と声を落とす。20年以上バスガイドを務める女性(42)は「夜行バスを60歳前後の2人で運行するなど信じられない」と話す。

 埼玉県内のバス会社幹部は「運行管理の専従社員の人件費など安全にはコストがかかる。経費節減で安全が犠牲になっていたのでは」と疑問を呈した。

 こうした格安ツアーがアルバイトや仕送り頼みの大学生を引きつけている。事故を起こしたバスの乗客39人のうち学生は8割で、死亡した12人も全員が19〜22歳の学生だった。【関谷俊介、飯山太郎、藤田剛】
 
 
これ『スキーバス 安全対策置き去りか「過酷」な競争』と題した毎日新聞1162124分の報道記事である。
 
 
 おとといから連日この事故のニュースであり、昨日はその原因究明が専門的コメンテーターによってワイドショー的に報道されている。不謹慎と思われるかも知れないが、皆さんその事故の物理的原因のみに傾斜されている。そんなの警察機構が科学的にいずれ証明してくれると思っているが、なにせ我々人間は即知りたがるから、テレビ局も芸能ニュース的に特集を組むのであろうが、私はそんな事より、ここに至るまでの運送事業的構造に着目したい。何故そこに至ったかの原因をである。物理的原因は後に譲りたい。
 私はこのツアーを企画した東京・渋谷区の「キースツアー」が13日で一人8000円位の料金にまず驚いた。そして30人弱のツアー客がこのバスに乗って行った。その運行だけを請け負ったこの東京・羽村市にあるバス運行会社「イーエスピー」がこの運行で請け負った料金は19万円との事。例えばこのスキー客が現地の宿泊施設で1泊するとすれば、最低でも料金は運賃とリフト代や宿泊費などを含めて、1万3000円~2万円弱は通常かかるのではないか。さすれば前記の料金の計算は成り立たなくなり、それでも運行されたと言う事は、その歪が運賃や宿泊費であろう事は容易に察っせられる。友人の子供さんに聞いた話によれば、目に見えたのが宿の朝食だそうである。学校の給食より酷いのだそうである。我々みたいに定年を過ぎ、楽しむ旅行者はまず選ばないが、それらを安くした事をお祭りのように自慢しあう、要は余り金のない大学生連中はこぞってフランクに選ぶのだそうである。私はそれは当事者が意識するかしないかに拘わらず、これはこう言う社会構造状況を作った政治にあると思っている。
 全てこう言う社会構造を作ったのは、遡(さかのぼ)れば何の事ない自民党をぶっこわすとして登場した小泉純一郎内閣の自民党だった。そしてあの時経済財政政策担当大臣に任命された竹中平蔵と二人で、自民党より日本社会を壊したのがルーツである。
小泉は「小さな政府」指向が信条で「官から民へ」という理念に凝り固まり、それらを遂行せんがため、竹中平蔵を内閣の経済司令塔に選んだ、結果その歪が現在社会構造の良き習性までもが壊され現在に至った経過も少なからずあるのである。それにもがき苦しんでいるのも現在の自民党でもあるのだ。一番良い例が正社員を少なくし臨時社員=契約社員を多くした社会構造がデフレ不況の元凶と言えなくはないのである。全てがそのせいとは言えないが少なくともその時が初めであり原因だから、私は今回のこの事故、国の構造社会組織犯罪と断定した所以である。